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ソフトバンク宮川社長、“料金プラン値上げ”しない理由を語る

 「本当は料金プランを値上げしたい」――そう語ったのは、ソフトバンク代表取締役社長執行役員兼CEOの宮川潤一氏。5日、2025年第1四半期の業績説明会での質疑でのことだ。

宮川氏

 5月の決算説明会でも値上げには慎重な姿勢を示していた同氏だが、NTTドコモやKDDIが値上げにもなった新料金プランを導入したことを踏まえ、あらためて今回の会見でも、携帯電話サービスの料金プランに質問が集中した。

手数料値上げはコスト増踏まえ

 ソフトバンクでは、8月20日に事務手数料を値上げする。同様の値上げは、5日、NTTドコモも発表しているが、両社の違いはオンラインショップでの手数料。

 ドコモは引き続き無料だが、ソフトバンクは無料だったものを有償化する。店頭よりも1100円安いが、無料だったものを有料化することになる。

 これに宮川社長は「最低賃金も6%上昇することになり、ショップクルーや建設・保守スタッフなどの賃上げもある」と手数料改定の背景に、人件費などのコスト増を挙げる。

料金プランの値上げは?

 そうした理由であれば、料金プランの値上げも……と考えたくなる。実際、宮川氏は、2024年度の決算説明会で、いくどか、値上げの必要性を訴えてきた。

 しかし、実際、他社が値上げに踏み込むと、前回5月の決算で宮川氏は、一転して値上げへ慎重な姿勢を見せた。

 今回も値上げに関する考えを問われた宮川氏は、「もともとMNPには強かった。モバイル事業のARPUが下落したのは法人が下がった影響。コンシューマーは順調」として、他社の料金改定の影響はなく、料金を改定しない同社サービスが好調と語る。

 他社との競争において、競争の主な要素となっているのはやはり料金、とした宮川氏は、ワイモバイルやLINEMOといった割安な料金プランでまず加入してもらい、その後、ソフトバンクブランドへ移行してもらう「と金プロジェクト」も順調であり、「エントリーしやすい構造を変えるつもりはない」と説明。

 料金面での競争の影響が大きいことから、「値上げしたい気持ちはすごくある」としつつも「(ユーザーに)受け入れられるかどうか。これが全て。」とコメント。

 宮川氏自身もSNSなどでユーザーの声をつぶさにチェックしているといい、「(値上げした他社の料金への)満足度が低いのではないか。それでお客さまが離れるような業界にしてはまずい。ギリギリがどこか、検討している」と述べ、まだ料金を値上げできる時期ではないとした。

忘れてはいけない「楽天」

 ただ、慎重なだけではなく、もうひとつ、料金面での取り組みで注目すべき存在として宮川氏が挙げたのが「楽天モバイル」だ。

宮川氏
「低容量プラン、価格の話で行くと、もっと強敵は楽天。そこは楽天と戦っている。ドコモもauも強敵だが、楽天も忘れてはいけない。古い3社が同じ方向だと(楽天が)漁夫の利を得ないか」

 宮川氏の説明は、ユーザーの動向を見つつ現状の料金プランで競争力を発揮する一方、最大3278円で使い放題という「Rakuten 最強プラン」を提供する楽天モバイルの存在を警戒するというもの。値上げを先行したドコモ・auに、ソフトバンクがすぐさま追随しない背景が示された。