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Apple Intelligenceが日本語対応、何ができる? ちょっとだけ触ってみた
2025年4月1日 14:36
アップル(Apple)は、1日未明に「iOS/iPadOS 18.4」をリリースした。さまざまな機能拡充やセキュリティの向上が図られるソフトウェア更新だが、今回の18.4では、同社の生成AI「Apple Intelligence」の日本語対応が大きなアップデートだ。
徐々になじみつつある生成AIだが、「Apple Intelligence」では何ができるだろうか?
Apple Intelligenceの対象機種
具体的な機能を紹介する前に、Apple Intelligenceの対象機種は何か?
iPhoneは、最新のiPhone 16シリーズ(16eを含む)とiPhone 15 Pro/Pro Maxで利用できる。
iPadでは、M1以降のiPad ProとiPad Air、A17 Proを搭載したiPad miniで利用できる。
このほか、M1以降のMacBook AirとMacBook Pro、iMac、Mac mini、Mac Studio、M2 Ultraを搭載したMac Proで利用できる。
Apple Intelligenceの機能は、基本的にはデバイスの機能や同社アプリ内で利用できる。サードパーティ製アプリに対しては、同社はAPIを公開しているので、デベロッパーがAPIを使用することでサードパーティアプリでも、Apple Intelligenceを利用できるようになる。
作文ツール
Apple Intelligenceで一番わかりやすく実用的なものが、「作文ツール」だ。
作文ツールでは、文章の校正や要約をしてくれる。また、箇条書きや表の生成なども担ってくれ、ユーザーは文章を選択するだけで文章の内容をわかりやすく確認できる。
加えて“作文”ツールの名のとおり、AIに文章を作ってもらうことも可能。たとえば、元となる文章をビジネスライクな文章にしたり、堅い文章をフランクなものにしたりすることができる。
また、ChatGPTを使った文章作成もできる。書いて欲しい文章をプロンプトで入力すると、ChatGPTで生成した文章が、そのままカーソル位置にペーストされる。いちいちChatGPTのWebサイトやアプリを開いてコピー&ペーストしなくてもすむ。
試しに「新年度早々、電車が遅延している鬱憤を、丁寧な表現で作文して」とお願いすると、大変丁寧な文章を作文してくれた。
新年度の幕開けにあたり、晴れやかな気持ちで一歩を踏み出すべく家を出たものの、思わぬ事態が私を待ち受けておりました。それは、日々の通勤を支えてくれるはずの鉄道の遅延という小さな障害でございます。
駅に到着すると、普段は整然と動いているホームが、今朝に限って人々の行き交う波で溢れておりました。アナウンスから流れる「遅延のお知らせ」の声は、冷静ながらもどこか無機質で、その淡々とした響きが逆に焦燥感を募らせます。
新年度という節目の日に、計画通りに物事が進まないことは、心に少なからず波紋を広げるものでございます。しかし、この予期せぬ遅延も、或いは日常の一部として受け止め、心を穏やかに保つ鍛錬の機会と捉えるならば、また一歩成長への糧となるのかもしれません。
ひとしきりの鬱憤を心の中で整理し、深呼吸一つ。遅れてでも目的地へ向かうその足取りに、新たな一日の希望を乗せて進むことといたしましょう。
ビジュアルインテリジェンス
カメラを使ったAI機能「ビジュアルインテリジェンス」では、カメラで撮影した画像を調べてくれる機能だ。
iPhone 16eを除くiPhone 16ではカメラコントロールの長押し、それ以外のiPhoneでは、コントロールセンターやアクションボタンにショートカットを設定しておくと素早く起動できる。
カメラで物体を撮影し「検索」をタップすると、Googleの画像検索で、撮影した物体に近いものを検索できる。「質問」をタップすると、ChatGPT経由で質問できる。たとえば、「物は手元にあるがその名前が出てこない」場合、物体を撮影し「これはなに?」と質問すれば、それが何か教えてくれる。
Playgroundでお手軽画像生成
OSを18.4にアップデートしてしばらくすると「Playground」という見慣れないアプリアイコンが登場する。これもApple Intelligenceの主要な機能の1つで、このアプリでは生成AIを使った画像生成が体験できる。
アプリ内では、さまざまな要素を組み合わせて画像を生成できる。たとえば、「都会」と「砂漠」の要素を組み合わせると、砂漠の中に密集した建物の絵が生成される。絵のスタイルは、4月時点で「アニメ」「イラスト」「スケッチ」の3つを選べる。
要素は、プリセットのもののほか、ユーザーが撮影した写真や文字(フリーワード)を含めることもできる。たとえば、手元の紙コップを撮影し、プリセットの「春」と、テキストの「桜」を組み合わせると、背景に桜が舞っているマグカップの画像が生成され、いかにも春らしい画像が登場する。
音声アシスタントSiriにも
Apple Intelligenceは、音声アシスタントSiriにも導入された。
Siriでは、新たにテキストを入力して対話できるようになった。電車の中や図書館など、発声がためらわれる場所でも利用できる。
また、ChatGPTを使った機能も導入された。Siriがユーザーが発声/入力した内容を分析し、ChatGPTを使った方がよりよい回答を得られると判断した場合、ユーザーに「ChatGPTを使うか否か」を確認し、ChatGPTを使った回答を出力する。
Apple Intelligenceでは、ビジネスシーンから普段使いまで、直感的に使える生成AI機能が備わっている。iPhoneやiPadなどデバイスのさまざまな機能とシームレスに接続しているので、“生成AIを使っている感”なく利用できるが、一部で不安定な機能もあることは事実だ。また、現在のところサードパーティ製アプリで対応しているものも少なく、若干ではあるが現実味がないのも否めない現状もある。
今後は、各機能の改善や機能拡充とともに、APIを活用しApple Intelligenceが組み込まれたさまざまなアプリが登場することを期待したい。