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NTT法とは何か――NTTが語る現状とは

 自民党が防衛費の捻出などを念頭に、政府が持つNTT株の売却を検討していると一部で報道されている。その過程で改正が検討されているのが「NTT法」だ。この法律はいったいどんなものなのか。NTTがその成り立ちや現状について説明した。

NTT誕生とともに生まれたNTT法

 1985年に前身にあたる電電公社が現在のNTTとして民営化され、日本電信電話公社法が廃止。新たに「日本電信電話株式会社法」(NTT法)が成立した。その後、1988年にNTTデータ、1992年にNTTドコモと分社化が進み、1999年にはグループが再編。現時点でNTT法の規制対象となるのは、NTT(持株)とNTT東日本、NTT西日本の3社という。

 電電公社が築いたインフラの提供やさらなる研究開発がNTTが持つ会社としての役目。これらはNTT法のなかで「責務」として定められている。また同時に、発行済株式総数の1/3以上を政府が保有する義務もまた同時規定されている。政府がNTT株売却に際して法改正を検討しているのは、この規定のため。NTTの資料によれば、政府は34.35%のNTT株を保有している。

 世界を見ると、フランスのオレンジやドイツのドイツテレコムが、NTTのように政府や政府系金融機関による出資を受けている。日本の場合、NTTに政府が出資する意義として、同社が課される責務の遂行を政府が監視する役割もある。あわせて、合併や定款の変更など2/3以上の賛成が必要とされる特別決議を政府が判断できる意味合いもあるとした。

技術の「公開義務」

 現在のNTT法を取り巻く議論では、研究成果の公開義務もまた同社の足かせになっていると伝えられている。

 ただし、必ずしもすべてのことがらを公開してはいないという。同社が研究開発したもののうち、代表的なものをWebサイトで公開するなどしており、ほかにも情報誌である「技術ジャーナル」やイベント「NTT R&D FORUM」などで公開しているという。

 あわせてNTTのWebサイトに設置された問い合わせ窓口からも、具体的なものを見たい旨を問い合わせれば案内されるという。公開するか否かはその技術が公開可能な段階にあるかどうか、問い合わせの目的なども考慮されるとしており、一概に公開する・しないとは言えないようだ。

 実際にこの公開義務により、研究開発に支障が出ることはあるのか。NTTでは、グループ再編以来「そういうものであるという認識でやってきた」ともした一方、同社と連携するパートナー企業への影響を示唆した。

 ある製品を開発するとき、NTTに技術を求めた際にその企業にももちろん技術を提供するが、他社から同様の問い合わせを受ければそちらにも同様に提供することがあり、これは事前に説明されるという。

 NTT法自体の廃止も検討されているという現在。これまでも一部の見直しはあったものの、全体を見直すべきというのは今回が初めてなのではないかとNTTでは説明する。今後、政府がどのような結論を導き出すかに注目していきたい。