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KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの3社が「NTT法改正案」閣議決定に「廃止前提で極めて強い懸念」

 KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの3社は、3月1日に閣議決定された、NTT法改正案に対する見解を表明した。

 総務省の有識者会合で議論が進められているにも関わらず、「令和7年(2025年)の通常国会をめど」と記され、NTT法を廃止する時期が示されていることから、「法制度のあり方を方向づけるとともに拙速な議論を招きかねず、極めて強い懸念がある」として、慎重に政策を議論するよう求めている。

 NTTだけが保有する管路・洞道(トンネル類)を通信各社が利用しており、NTT法がもし廃止されれば公正競争への影響が懸念されている。また、全国あまねく通話サービスの提供が義務化されている(ユニバーサルサービス)ことや、外資に対する規制は、日本の通信インフラに対して、安全保障上の観点を含めて影響が大きいとして、「地域の事業者、国民の声に十分耳を傾ける必要がある」と指摘し、より慎重に政策を議論するよう求めている。

 NTT法廃止論については、2023年春ごろ、自民党の一部から突然示された。当初は防衛費をまかなうアイデアとして政府が保有するNTT株式を売却するといったものだったが、そのアイデアは立ち消え。昨秋ごろからNTT側もNTT法の廃止や、公正競争を担保するために電気通信事業法を改正する案などを主張しているが、競合各社はNTTのあり方を定めるNTT法だからこそ強い拘束力が発生し得ると指摘する。

 また、競合各社は、NTTの主張のうち、NTTの社名変更や、研究開発の開示義務などはNTT法の改正により、NTT側の主張を実現してもよいのでは、としている。