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「NTT法」見直しに向けた議論、KDDI・ソフトバンク・楽天モバイルの3社が意見

 12日に総務省で開かれた「情報通信審議会 電気通信事業政策部会 通信政策特別委員会(第2回)」で「NTT法」見直しに向けた議論が行われた。会合ではKDDI、ソフトバンク、楽天モバイル各社のトップが意見を述べた。

 各社では、電話からインターネットの時代への移ろいを踏まえて時代の変化に応じたNTT法の見直しにはおおむね賛成する意見を示した。一方で光ファイバーや局舎などNTTがほぼ独占的に持つ「ボトルネック設備」を保有したままの完全民営化には反対の意見が出た。

KDDI

 KDDIの髙橋誠社長は、ボトルネック設備の公益性の確保を訴える。光ファイバー網は携帯電話基地局の整備にも必要不可欠で今後、MECなどの普及により全国にある局舎の重要性がますます上がるなか、NTT法はNTTと他社との公平性を担保する根拠のひとつであることや外資規制の必要性もあわせて、ボトルネック設備を有したままのNTT完全民営化には反対の立場を示した。

ソフトバンク

 ソフトバンク 宮川潤一社長は、国際競争力を高めるためにNTTを完全民営化する論調へ疑問投げかける。

「GAFAMと通信事業者はコスト事業構造が違う」と指摘し「そもそもの事業構造に差異のある通信事業者とプラットフォーマーを比較するのは適切ではない」と説明。国際競争力の強化には積極的な設備投資・研究開発を推進する政策こそが重要とした。

楽天モバイル

 楽天モバイル 三木谷浩史会長は、携帯電話料金を低廉化させた同社の実績を紹介。競争の促進が進んだ現状から「NTT法の廃止はこれに真っ向から逆行する」と語気を強める。

 かつて日本で生まれたサービスなどは世界でエコシステムを構築できなかったとも語り、日本の通信技術の世界シェアが低いことを説明。「真の国際競争力は企業統合ではなく競争とイノベーションから生まれる」として、NTTの統合で技術競争力が生まれるという一部の政治家の意見を「ちゃんちゃらおかしい。むしろガラパゴスに戻る」と批判した。