ケータイ用語の基礎知識
第792回:LPWA とは
2017年2月10日 19:11
IoT向け、低出力広域デジタル無線規格
LPWAは、「Low Power、Wide Area」の略で、その名の通り、少ない消費電力で、km単位の距離で通信できる無線通信技術の総称です。
機器のバッテリー消費を抑えながら、データを収拾する基地局まで電波を届けることができるということで、特にIoT(Internet of the Things、モノのインターネット)向けなどに有用な技術であるということ注目を集めています。
2017年現在、免許不要周波数帯の電波を利用するIEEE802.11ah(Wi-Fi HaLow)、LoRa、Wi-SUN、SIGFOXなどいくつかの規格があり、世界各国で実用化され始めています。
また、NB-IoTやLTE Cat-M1など、携帯電話に使われているLTEの周波数帯・規格を利用した通信技術もあります。
携帯電話各社もLPWAサービスに向けて試み
これまで、モバイル通信技術の進化は、主に高速化と大容量化という方向で進んできました。たとえば、1つの基地局のエリアをより細かく狭くする、あるいはより多くの周波数帯域を使うといった手法が採用されています。
しかしこれから普及が期待されるIoTデバイスでは、これまでのトレンドとは異なる技術が必要になるとされています。というのも、IoT機器は、1台1台のデータ量は非常に小さく、また電源もない場所で動き続けることも想定されています。大量のデータ通信は不要で、低消費電力であることが求められます。さらにコストを下げるには、そうしたIoTデバイスに繋がる基地局のような装置も少なくできたほうが手軽です。
そのようなわけで、IoTのためのネットワークとしては、これまでのトレンドとは逆の「低電力/広エリア」のデジタル無線規格が必要になってきたわけです。
IoTの流行に合わせて現在では、多くのLPWA規格がさまざまな団体や企業から提供されています。
日本の携帯各社もこれらの規格を利用したサービスの実用化に向けて動き始めています。
たとえば、ソフトバンクは2016年度中にも、免許不要の周波数を使う通信技術「LoRaWAN」のサービスを提供する方針です。
KDDIの場合、1月から免許不要周波数帯を利用するLoRaに対応した検証キット「LoRa PoCキット」の提供を始めています。これは、LoRaに先行にして取り組んでいるソラコムの開発したシステムと、KDDIのIoT向け回線サービス「KDDI IoTコネクトAir」を組み合わせたもので、ゲートウェイ1台と端末10台をLoRaでつないで管理する実験などが行える内容となっています。さらに、2017年内にNB-IoTあるいはLTE Cat-M1で、LTE回線を使ったLPWAサービスを提供することも明らかにしていて、当面は免許不要の方式と、LTEをベースにした方式と、それぞれ実用化の準備をすることになりそうです。
NTTドコモでも、LPWA対応IoTゲートウエイ機器向けに利用できるLTEサービスの導入を目指していますし、免許不要の「LoRa」も今後本格的に展開する方針です。