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世界最小クラスのLPWA通信モジュールを共同開発、ソフトバンクと村田製作所
2019年7月4日 18:01
ソフトバンクと村田製作所は、世界最小クラスのLPWAの通信モジュール「Type 1 WG-SB0」と「Type 1SS-SB」の2モデルを共同開発した。2019年9月以降に発売される予定。価格は相場の半値程度だとしている。
世界最小のLPWA通信モジュール
「Type 1 WG-SB0」と「Type 1 SS-SB」は、ソフトバンクと村田製作所が共同で開発したLPWA通信モジュール。サイズはどちらも1cm角で、LPWA対応のモジュールとしては世界最小という。
面積比にしては、従来モデルより50%程度の縮小を実現している。NIDD(Non-IP DATA Delivery)に対応し、セキュリティの高いネットワークを構築できる。IPアドレスを持たないNIDDデバイスは、インターネットから攻撃される可能性が少なく、通信データ量は少ない。加えて、電源オンですぐに使用でき、アップデートもFOTAで可能なため、テクノロジーに詳しくないユーザーでも簡単に使うことができる。
「Type 1 WG-SB0」は、アルテア・セミコンダクター製のチップセットを搭載し、NB-IoT、Cat.M1に対応する。「Type 1SS-SB」はメディアテック製のチップセットを搭載しNB-IoTのシングルバンド対応となる。
ソフトバンクのIoTプラットフォームに対応
ソフトバンクが提供する、IoTプラットフォームに対応しており、顧客へ対しての提案は、ソフトバンクが行い、技術的なサポートについては加賀電子、Hakutoとパートナーシップを結び、サポートに当たるという。
村田製作所 モジュール事業本部 通信モジュール事業部 IoTモジュール商品部 商品技術課の兵庫弘孝氏によると「従来のLTEなどを用いたモジュールでの開発は、開発難易度が高くコストが嵩む傾向にあった。しかし今回のモジュールは、ATコマンドでの設計が可能で、開発の負担、コストの問題を解決できる」と語る。ATコマンドは米ヘイズにより開発され、広く用いられている標準的な通信機器制御コマンド。
OMA Lightweight M2Mに対応
また、OMA Lightweight M2Mに対応し、通信量と電力消費の双方を削減している。OMA Lightweight M2Mは、Open Mobile Allianceが提唱する、M2Mデバイスの管理とサービスを提供する新たなプロトコル。
通信モジュールとソフトバンクのIoTプラットフォーム間の通信量を削減すると同時に、電力消費量の削減も実現した。また、NIDDと Lightweight M2Mの両方に対応したモジュールは世界初という。
パートナーとの協力で完璧なデバイスを
今回の共同開発について、ソフトバンク デバイス技術本部 IoTデバイス統括部 技術開発部 土井正行氏によると、「ソフトバンクは、昨年からカテゴリーM1などのモジュールを提供しているが、(ソフトバンク自身)技術的に未成熟だった」という。
さらに「市場にあるモジュールも我々の要求を完璧に満たしているものはなかった。そこで今回、我々の要求を満たしており、ソフトバンクのIoTプラットフォームに簡単に接続できるものを村田製作所と共同開発した」と語った。
使用方法は柔軟に
兵庫氏は、デバイスの活用方法について「電気メーターやガスメーターなどさまざまなものが考えられると思う。消費電力も低いので低電力な同デバイスにはメリットがある」という。
さらに「デバイス自体が非常に小さくなるので、意外と内部が狭小な自動販売機などもある。ウェアラブルデバイスやトラッキングデバイスに組み込むこともあると思う」とかたった。