ケータイ用語の基礎知識
第793回:LTEカテゴリー1 とは
2017年2月14日 11:59
LTE規格に当初から盛り込まれていた「低速度通信」
LTEカテゴリー1(LTE Cat.1)は、正確にはLTE Use Equipment 1といいます。「User Equipment」とは、「端末」を意味する英語です。つまり、これはLTEの端末に関わる規格その一である、というわけです。
カテゴリー1は、Release 8という、LTE標準の中でも比較的古い規格で定められました。通信データ速度が上り最大5Mbps、下り10Mbps、周波数帯域幅は20MHzで、MIMOも使用せず、電力消費もその分少ないため、現在流行しつつあるスマートメーターなどのIoT関連機器向けに、カテゴリー1の端末を使った実験、検証などが多く進められています。
最高伝送速度 | 変調方式 | MIMO |
下り10Mbps 上り5Mbps | 下りQPSK・16QAM・64QAM 上りQPSK・16QAM | 使用しない |
カテゴリー1の特長としては、現在運用中のLTEネットワークがそのまま利用でき、改修などがほぼ必要ないということが挙げられるでしょう。なにしろ、LTEとしては古くから含まれている規格です。使う周波数帯は現在のLTEバンドそのままです。もっとも既存のコアネットワークは、小容量データ向けに最適化されていなければ、その点での改良が必要との指摘はあります。
新しい規格として制定されたNB-IoTなどとは異なり、実用化までの道のりが短くサービス運用の時期が設定しやすい規格であると言えます。ただし、省電力化などの余地が小さいため、電力供給などの必要な条件を満たせる機器向けの規格と言えそうです。たとえば、これまで3GやPHSベースで作られてきたM2M向け通信機器の置き換えなどが用途としては考えやすいでしょう。
ソフトバンクが東京ガスと実証実験を
実際に、日本国内でもLTEカテゴリー1を使ったIoT向け機器の実証実験が始まっています。
たとえば、ソフトバンクと東京ガスでは2017年3月まで、LTEカテゴリー1を利用した、ガスの「消し忘れ見守りサービス」の共同実証実験を行っています。この実験は、外出先からガスの消し忘れの確認や遮断依頼ができるというもので、東京都内の約500戸で、通信の成功率や通信時間などのデータを取得し、実際にサービスとして利用できるレベルかを確認することになっています。
レンジャーシステムではLTEカテゴリー1対応のゲートウェイ装置を、法人向けに提供しています。