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楽天の携帯電話事業参入が決定、1.7GHz帯で

 総務省が進めていた1.7GHz帯と3.4GHz帯における携帯電話用の周波数の割当について、新規参入を表明して注目を集めていた楽天に、1.7GHz帯の免許が付与されることが決定した。

 楽天は2019年10月のサービス開始を目指す。料金プランは、ひとまずはMVNOの「楽天モバイル」の価格帯を継承する見込みで、大容量プランや法人向けプランも追加していく予定。2028年度末までの契約者数の計画は1000万契約。

 主にLTE向けとなる、1.7GHz帯と3.4GHz帯の周波数の割当に申請していたのは、NTTドコモ、KDDI・沖縄セルラー、ソフトバンク、楽天モバイルネットワークの4者。KDDIと沖縄セルラーは2社で1つの申請とみなされている。

 1.7GHz帯は、楽天とKDDI・沖縄セルラーに40MHz幅(20MHz×2)がそれぞれ割り当てられる。この周波数帯は主にFDD-LTEで利用されるとみられる。

 3.4GHz帯は、NTTドコモとソフトバンクに40MHz幅がそれぞれ割り当てられる。この周波数帯は主にTD-LTEで利用されるとみられる。

 なお、1.7GHz帯で東名阪以外が対象の40MHz幅(20MHz×2)は、4者から申請がなく、新たに割り当てられないことになった。この周波数帯については、東名阪のみでドコモがすでに利用している。東名阪以外のバンドを含めた1.7GHz帯の既存の通信設備の移行(立ち退き)費用は、1.7GHz帯で新たに周波数を獲得した2者で負担する。

 4月6日、総務省の審査結果について諮問機関である電波監理審議会が開催され、審議会の終了後、審議会会長から結果が明らかにされた。

 申請の4者について、すべて第1希望の周波数帯が割り当てられることになった。1.7GHz帯については、1805~1825MHzをKDDI・沖縄セルラーが、1825~1845MHzを楽天が利用する(対応する上りの20MHz幅も獲得する)。

 3.4GHz帯は、3400~3440MHzをソフトバンクが、3440~3480MHzをドコモが利用する。

開設計画の認定、条件の付与

 総務省により審査された基地局の開設計画は、4者ともに、必要最小限の基準をクリアできるだけの設備が開設できるとされ、審査に合格した形。

 これまでの周波数の免許付与でも度々付されてきたが、開設計画の認定にあたって、いくつかの条件が付与されている。4者共通の条件は6つで、「サービスの普及に務めること」といった常識的なものが並ぶ。

 一方、楽天は携帯電話事業に新規に参入することから、楽天のみを対象とした条件が4つ付与された。電波監理審議会会長の吉田進氏は6日の会見で、楽天に向けた4つの条件について解説している。

電波監理審議会会長の吉田進氏(京都大学名誉教授)

 ひとつは、楽天が当初はローミングでエリア展開を補完するという検討および方針についてで、「いずれは(すべて)独自でやってほしい。独自展開が原理原則と理解してほしい」とした。

 2つ目は基地局の設置場所についてで、用地の確保や整備は「最大の、非常に大きな課題になる」と指摘、「構築に一層務めること」とした。

 3つ目は無線の技術者などをしっかりと確保するよう指摘するもので、「技術要員を確保して、信頼性の担保に努めてほしい」としている。

 4つ目は、厳しい競争が予想される中で、資金の確保や財務の健全性に気をつけるよう促すもの。「今回の審査は4Gの1.7GHz帯で、今後10年の計画の審査をしたが、目前に5Gが控えており、(新技術の展開も含めると)これからも大変。(資金に)留意しながらがんばってもらいたい、というもの」と吉田氏は解説している。

 なお、総額6300億円を予定する楽天の資金調達額については、以前から足らないのではないかという指摘がある。吉田氏は「必要最小限の審査基準をクリアするだけの設備は打てるものと理解している」との認識を示している。

 吉田氏は、新規参入を歓迎するとし、「懸念は払拭していただきたい。参入が成功裏に進むことを個人的には期待している」などと語り、前述の条件の付与もエールに近いものであることを窺わせた。

 なお、4月9日には総務省で開設計画の認定交付式が開催される見込み。この交付をもって、楽天の新規参入が正式に認められることになる。