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楽天の携帯網は「今までとは次元の違う安定性」、三木谷氏が語る
2018年12月7日 15:23
楽天モバイルネットワークは、2019年に開始する予定の携帯電話事業に関連して、基地局のアンテナ工事を開始するにあたり「基地局工事安全祈願祭」を開催、その模様を報道陣にも公開した。楽天 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏が挨拶したほか、祈願祭の後には囲み取材にも応じた。
価格だけではなく技術的にも新風を
三木谷氏は囲み取材に応じ、「政府でも携帯電話料金を下げようという動きがあるが、楽天グループとして、我々の技術力で革新的なプラットフォームを作ることで、携帯業界に価格だけではなく、技術的にも新風を吹き込みたい。
その上で、技術はもとより、アンテナがないと携帯電話はつながらない。これをしっかり安全に建てていくというオペレーションもやっていく。これから新しいステージに入るが、頑張っていきたい」と、意気込みを語っている。
スピードは「他社と同等かそれ以上」
ネットワークの繋がりやすさ、価格・プランについて聞かれると、「KDDI、auとのローミングがあり、我々のネットワークからつながるものもある。基本的には他社と同様の、全国での繋がり具合になる。
ネットワークスピードについては、我々のネットワークについては他社と同等、あるいはそれ以上を実現できるのではないか」とコメント、価格などについては「戦略上、ちょっと秘密にしておきたいというところもある。コメントは差し控える」とした。
通信障害への対策「今までとは次元の違う安定性」
前日の6日にソフトバンクが大規模な通信障害を発生させたことに関連し受け止めを聞かれると、「携帯電話はライフライン。我々は従来のネットワーク構造とは違い、非常に安定して、オートマティックで対応できる。
フェイルオーバーという仕組みで、(異常発生時には)自動的にたくさんのサーバーをたてることになる。クラウドのITシステムが安定しているのと同様に、楽天のモバイル網の安定性に関しても、今までとは次元の違う安定性を提供できる。今までと違って、集中化ではなく分散化した技術。より(大規模通信障害の)リスクは低い。
冗長構成について、今までの携帯ネットワークよりも安全なものになると信じているが、一層気を引き締めて、安定性を追求していきたい」と、仮想化を中心とした構成の強みを語った。
KDDIとの提携、競争は?
KDDIとの提携により競争が鈍るのではないかという懸念に対しては、「それはまったくない。ローミングなどの契約の中で、営業やマーケティング、価格戦略に対する拘束は一切含まれていない。新規に周波数を獲得した事業者に与えられたミッションをしっかりと認識した上で、安定性、高速なネットワークを、使いやすい値段で提供していく」と、しっかりと競争していく方針を示している。
楽天がKDDIに対して物流・決済基盤を提供する点でも新たな競争状態になると問われると、「これについては(ローミング契約とは逆に)我々が料金をいただく形になる。今、さまざまなサービスを提供している中で、ギブアンドテイクもある。プラットフォームを提供することで、逆に我々も売上を上げていくこともある。競争と協調、その兼ね合いが、携帯電話のみならずIT分野で絡んでくるだろう」とコメントしている。
基地局工事安全祈願祭
三木谷氏は基地局工事安全祈願祭の開始にあたり「おかけさまで、基地局の(用地・建設の)契約がどんどん進んでいる。そんな中、ついに1号となるアンテナ工事が始まる。来年の10月からのサービスインに向けて、全速力で、一致団結で進めていく必要がある。一方で、事故がないように、安全に進めていくことも極めて重要」と述べて、楽天グループの創業時から世話になり「楽天の守護神」という、愛宕神社に祈願祭を依頼したことを紹介した。
会場は楽天本社近くの広場(屋上庭園)で、アンテナの設置場所ではないものの、参考としてノキア製の基地局アンテナも展示されていた。
このほか、楽天本社内にて、基地局用地の獲得・契約を行う業務のフロアも報道陣に公開された。先日の決算会見で写真は公開されていたが、楽天の社員が数百名規模(500名以下)で集まって仕事をしている様子が披露された。
同社はまず東名阪でエリアを構築することから、現在は都市部を中心に基地局用地の交渉を進めている。週間・月間などいずれでも契約のペースは目標を上回っているという。また人員も、しばらくは拡充させていく方針とのことだった。