ニュース
楽天、全社をあげて自前基地局の用地交渉中
2018年11月8日 18:07
楽天は、2018年度第3四半期決算説明会を開催し、携帯電話事業参入にあたってKDDIと提携したことや、自社ネットワークの構築を急いでいる様子などを説明した。
同社では、2019年10月の携帯電話事業参入を予定しているが、サービス開始当初から全国をカバーするのは難しい。このため、初期の基地局設置は東名阪を優先させる形で行い、それ以外の地域はKDDIと沖縄セルラーが保有するネットワークを2026年までを期限にローミング使用する形となる。
今回の決算説明会では、改めて決済・物流・通信の3分野でKDDIと両社が保有するインフラを相互に活用していくことに触れられたが、これに関する新たな発表は無かった。
楽天モバイルネットワーク 代表取締役社長の山田善久氏は、参入に向けての進捗を説明。同氏は、「大きなステップを一歩一歩着実にこなし、2019年10月のローンチに向けて順調に進めている」とコメントするとともに、同社が使用する通信機器のベンダー構成を明らかにした。
同社が開示した資料によると、RANがNokia、Altiostar、伝送がOKI、富士通、Cisco、Ciena、コアがNokia、Cisco、BSS/OSSがNEC、Netcracker、InnoEye Technologies、ハードウェアがQuanta Computer、ラボがTech Mahindraという構成になっている。
屋外基地局の開設計画については、総務省に提出した計画では2026年3月までに2万7337カ所を開設するとしていたが、規模感については触れないまでも、これを前倒ししていく方針。このため、2026年までとしているKDDIとのローミングの解消も早まる可能性があるという。
また、当初、2018年~2028年の10年間で6000億円をこうした設備投資に費やすとしていたが、こちらは計画を下回る見込みとする。
山田氏は、楽天グループ内からかなりの人員を投入して基地局を設置が見込めるビルや土地のオーナーと交渉を行っている様子を示しながら、「自社ネットワークの早期配備に向けて計画を加速している」と述べた。
質疑応答では、NTTドコモなどの大手が値下げを発表する中で料金施策はどうなるのか、MVNO並みとしていた料金について、さらに踏み込んでいくのかといった質問が飛んだが、山田氏は「1年先ですし、他社さんがどうというよりは、ユーザー視点で非常に魅力的な価格で提供したいという思いでやってきたので、短期的に他社さんがどうだから、こういう風にしようという話はあまり考えていない。最終的な価格戦略は決まっていないが、期待されていると思うので、それに応えられる価格にできれば」と述べるにとどまった。