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ソフトバンク宮川氏が「日本はただ安い国になり、開発力落ちた」、値上げの必要性を指摘
2025年2月10日 17:54
ソフトバンク代表取締役社長執行役員兼CEOである宮川潤一氏は、10日の決算会見で、物価高などを踏まえて携帯電話の料金プラン値上げについて語った。
宮川氏は、従業員や取引先の給与アップのため、はたまた通信やIT技術における開発力の向上のためにも値上げの必要性を説いたが、「今は企業努力で吸収している。(大手携帯会社が)4社いて先陣を切ることは勇気がいる。今は動く気はない」とした。
ワイモバイル→ソフトバンクへの移行は今回も増加
競合他社のNTTドコモが昨秋、20GB→30GBに増量し、実質値下げに踏み切った一方、ソフトバンクとしてはワイモバイルブランドの料金で増量する方針を採用。ahamoの改定直後は影響を受けたが、今はもうその影響はなくなったという。
さらに、ワイモバイルが多くのユーザーから支持され、契約者が増え、そのなかに、ソフトバンクの「ペイトク」で使い放題の料金へ切り替えるユーザーがいる、と宮川氏。その結果、ワイモバイルからソフトバンクへの移行はさらに進んだ。
「将棋では歩が(敵陣に入って)金になる。社内では“と金プロジェクト”と呼ぶこともある」と宮川氏は語り、4年前の官製値下げの影響を脱しつつある。
物価高を踏まえると……
一方で、AIやネットワークへの投資の一環としてAIデータセンターを大阪・堺(250MWクラスを想定)や北海道・苫小牧(同300MWクラス)に設置する方針だ。将来的には大規模データセンターを支える電力も自社でまかなうことも視野に入れているという宮川氏は、現状は電気代がここ数年、右肩上がりで上昇していると解説。
宮川氏は「通信業界は値下げの議論ばかりしている。一番、心配なのは取引先でベースアップ(給与増)しているかどうか。好循環になるよう正常化してほしい」としたほか、自社スタッフの給与増も必要と説明。
はたまた「5Gへの投資でも、『こんなもの』と言っていることが悲しくてしかたない。日本はただ安いだけの国になってしまった。開発力が本当に落ちた。どこかで声を上げるつもり」と憂慮する。
とはいえ、競合がいるなかで率先した値上げには勇気必要であり、「ソフトバンクの業績も増収増益で『なぜ』と言われる」(宮川氏)と、理解を得られにくい状況との認識を示し、「今は(料金値上げに)動く気はない」とした。
前週に開催されたKDDI、NTT(持株)の決算でも、単純な値上げは難しいものの、付加価値を追加することでの料金改定が必要といった見方が示されていた。