石野純也の「スマホとお金」
楽天の新プラン「Rakuten最強U-NEXT」登場! 実際オトク? 徹底解剖で分かったコト
2025年6月26日 00:00
これまで、“ワンプラン”を貫いてきた楽天モバイルが、新料金プランの「Rakuten最強U-NEXT」を導入します。同社代表取締役会長の三木谷浩史氏が「特例」と述べていたように、同プランは現行の「Rakuten最強プラン」と併存します。
Rakuten最強U-NEXTの特徴は、その名のとおり、Rakuten最強プランとU-NEXTのサービスがセットになっていること。2つを別々に契約するより、安価な料金で使えるメリットがあります。
一方で、個別に契約できるRakuten最強プランやU-NEXTとは、仕様に若干の差分もあります。人によっては、Rakuten最強U-NEXTではなく、Rakuten最強プランとU-NEXTを別個に契約した方がいいことも。ここでは、この新料金プランの特徴を解説するとともに、それぞれを個別で契約したときとの料金やサービス差も比較していきます。
回線と映像サービスがセットで4378円、割引も対象に
Rakuten最強U-NEXTは、Rakuten最強プランとU-NEXTのサービスがセットになった料金。データ容量は無制限で、料金は税込みで4378円。これまでと同様、「最強家族プログラム」や「最強こどもプログラム」なども適用されます。家族2回線以上で契約した場合には、110円の割引を受けることができ、料金は4268円まで下がります。
通常のRakuten最強プランは、20GB超過時が無制限になり、料金は3278円。U-NEXTは2189円です。2つを合算すると、料金は5467円。セットにすることで、1089円もの割引になる格好です。楽天モバイルの料金を基準に考えると、U-NEXTがわずか1100円で契約できるということです。
逆に、U-NEXTを基準にすると、楽天モバイルのデータ容量無制限の回線を2189円で利用できると捉えることも可能。楽天モバイルのユーザーがU-NEXTを契約するモチベーションになりそうなのはもちろんのこと、U-NEXTユーザーが追加で楽天モバイル回線も申し込むきっかけにもなりそうな料金プランで、シナジー効果が発揮されそうな予感がします。
同様のパックプランは、これまで他キャリアも導入してきました。
映像サービスとセットになった料金という点で代表的なのは、auの「Netflixパック」。この料金体系は6月に導入された「auバリューリンクプラン」にも受け継がれており、9207円の料金に、Netflixの「広告つきスタンダードプラン」(月額890円)やKDDIとテレビ朝日が立ち上げた「Telasa」(月額990円)が含まれています。
auバリューリンクプランは8008円のため、1199円の追加料金で計1880円ぶんの映像サービスが利用できる形になります。
また、6月にドコモが導入した「ドコモMAX」も、通信とスポーツ映像配信サービスの「DAZN for docomo」がセットになった料金プラン。こちらは、最大8448円の料金の中に、月額4200円のDAZNが含まれています。その意味では、Rakuten最強U-NEXTも時流に合った料金プランと言えます。
無制限のフラットレートがRakuten最強プランとの違い
一方で、通常のRakuten最強プランとRakuten最強U-NEXTでは、通信料金側の仕様にも違いがあります。SPUでポイントがプラス4%になったり、海外ローミングが2GBまで無料になったりする点はRakuten最強プランと同じですが、Rakuten最強U-NEXTは段階制ではなく、無制限のフラットな料金体系になっています。
通常のRakuten最強プランは、3GBと20GBの2つが閾値に設定されており、ここを超えると料金が変動。3GB以下は1078円、3GB超20GB以下は2178円になり、それを超えた場合にのみ3278円の料金がかかります。
毎月のデータ使用量が3GB以下で、1078円で済んでいた人がRakuten最強U-NEXTに切り替えると、問答無用で4378円がかかってしまいます。
この場合だと、U-NEXTに対して3300円払っているのとほぼ同義です。3GB超20GB以下でも、2178円から4378円に料金が上がるため、その差額は2200円。Rakuten最強プランとU-NEXTをそれぞれ契約すると、ほぼ変わらない金額になってきます。
もちろん、Rakuten最強U-NEXTならデータ容量を気にせず使えるメリットはありますが、家に固定回線があり、あまり外出しないという場合には、必ずしもトクになるとは限りません。
その意味で、Rakuten最強U-NEXTは、外出先でも動画をたくさん見るようなヘビーユーザー向けの料金プランと言えます。実際、三木谷氏も「U-NEXTに入る方は、そもそも20GBとかではなく、大量にデータを使う方という認識。データ(使用量)を気にせず使ってよということで、この料金設定にした」と語っています。
U-NEXTそのものを、楽天モバイル回線で利用することを想定しているというわけです。逆に、スマートTVなど、家庭内でのみU-NEXTを楽しむというようなケースでは、上記のように、通常のRakuten最強プランとU-NEXTという組み合わせの方がお得になることもあります。
“ツープラン”になる楽天モバイルの料金ですが、選択肢が増えたことで、どちらにすればいいのか考える余地ができたと言えそうです。
ポイントまで加味すると割高になるケースも
もう1つ注意したいのが、U-NEXT側の仕様が若干異なること。料金的な最大の違いは、通常のU-NEXTにつく1200円ぶんのポイントがつかないことです。
U-NEXTは、月額2189円ですが、そこに1200円のぶんのポイントがつき、実質989円で利用が可能なサービス。このポイントで、有料配信されている映像などを購入することができます。
また、ポイントは、U-NEXT内の新作映画などに限らず、映画の割引チケットへの交換やNHKオンデマンドの視聴、ライブ配信チケットの購入などが可能。
さらに、U-NEXT HOLDINGSとヤマダホールディングス傘下のMVNOであるY.U-mobileでは、1200ポイントで10GBのデータ容量を購入することもできます。
このポイントをフル活用していた人の場合、Rakuten最強U-NEXTを契約するよりも、Rakuten最強プランとU-NEXTを個別に契約した方がお得になります。3278円と実質989円の合計は、実質4267円になり、Rakuten最強U-NEXTの料金である4378円を下回るからです。
Rakuten最強U-NEXTはセット割引に見える一方で、ポイントを削ったぶん安くなっていると捉えることも可能。ここにも、選択を検討する余地があります。
もっとも、これはあくまで実質料金。ポイントなどは特に必要なく、見放題になっている映像だけを楽しみたいとしても、U-NEXT単体にはその選択肢がありません。
その意味では、楽天モバイルのデータ通信を常に20GB超使い、かつU-NEXTのポイントサービスが不要という人には、いい料金プランと言えます。
ユーザーがお得に使えるのはもちろん、楽天モバイルにとっても、契約の促進やARPU(1ユーザーあたりの平均収入)の底上げ、さらには解約抑止といった効果があります。
これは、U-NEXTも同様。その意味では、ユーザーにとっても楽天モバイルにとっても、さらにはU-NEXTにとっても、“三方よし”の料金プランに仕上がっていると言えるかもしれません。