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PerfumeをIOWNで”再現”、大阪・関西万博のNTTパビリオン

 NTT(持株)は、4月13日から始まる大阪・関西万博の「IOWN」を中心としたNTTパビリオンの内容を報道陣向けに説明した。

ミャクミャクとNTT島田明社長

Perfume登場のイベント、笑顔で揺れる幕にもうひとりの自分

 NTTパビリオンのテーマは「Parallel Travel」。コミュニケーションの進化について展示する「Zone1」、IOWNによる体験を楽しめる「Zone2」、もうひとりの自分(Another me)に出会える「Zone3」の3部構成で、1回につき20分、最大70人のツアー形式となる。

 万博の開幕に先立ち、4月2日には大阪・夢洲と吹田万博記念公園をリアルタイムに接続して、人気音楽グループの「Perfume」によるパフォーマンスを伝送、立体的で眼の前にいるかのように再現する。世界初とする試みで、万博記念公園では20台以上のカメラやセンサーにより数m単位でPerfumeのダンスなど空間を計測し、点群データと画像を組み合わせてリアルタイムに高解像度化。夢洲会場では、データの再現のため、100個以上の振動を再現する部品を床に埋め込み、吹田から届くデータを位置情報を含めて、高精度に再現する。

 リアルタイムな3D点群データ作成には「動的3D空間伝送再現技術」、触覚振動の認識には「触覚振動音場提示技術」という技術を用いており、IOWN-APNで音や映像、触覚をリアルタイムに伝送する。万博会期中には、NTTパビリオンの「Zone2」で、収録したデータを元にした体験プログラムを楽しめる。

 また、NTTパビリオン自体にも仕掛けがあり、会場内の来客者の笑顔を認知、それを反映すると外部の幕が揺れる。あわせて音を鳴らし、パビリオン外の人にも揺れる幕が目に入ることでNTTパビリオンに興味を持ってもらうことを意図しているという。IOWN光コンピューティングを活用しており、映像データが転送されるとAIで解析して、建物の幕にフィードバックしているという。

 ほかに、バーチャルパビリオンでは「Another Me Planet」を提供。アバターである「Another Me」を生成し、未来の職業に就いた自分からNTT独自技術による合成音声によるメッセージを受け取ったり、NTTのAI技術「tsuzumi」を用いて対話を楽しめたりする。

 パビリオン外でもZone3の出口付近に、公衆電話風の筐体の受話器をあげて3桁の番号を押すと「誰もが共感するワンシーン」が受話器越しに聞こえる「せかいがきこえる伝話」、「いのち動的平衡館」とIOWN-APNで接続され、お互いの心拍を感じられる「いのちふれあう伝話」も用意される。

 同日、パビリオンのアテンダントユニフォームも公開された。ANREALAGEの森永邦彦氏によるデザインで暑さ対策のために空調服機能を備える。

IOWNのユースケースなど

コミュニケーションの未来と社会課題解決をアピール

 NTT 代表取締役社長の島田明氏は、大阪万博を通じて「まるで隣にいるような、存在を感じる未来のコミュニケーションを創出」と「低消費電力社会を光で実現」という2つのテーマでメッセージを発信したいと話す。

 通信の進化とともに、手紙、電報から電話、リモート会議など、よりリアリティを感じられる手段が発達してきた。島田氏は、新型コロナウイルスの世界的大流行を契機に「リモート」が急速に進展したことに触れ、今後は月など宇宙まで広がると見通しを示す。

 未来では、互いの距離感を感じさせない自然なコミュニケーションがテクノロジーの進歩により可能になるとして、大阪万博では未来のコミュニケーションのイメージとしてPerfumeが出演するリアルタイムの空間伝送体験を出展する。

 加えて、観客の盛り上がりでイルミネーションが変化するスタジアムなど、未来の街のイメージをパビリオンの揺れる幕に込めた。パビリオンの幕は笑顔が多ければ多いほど揺れるという。こうした展示で未来のコミュニケーションを表現する。

 また、コンピューターの進化とともに増大する電力消費という社会課題の解決に向けた取り組みへのメッセージも伝える。パビリオン内では、初の光電融合デバイスをサーバーに実装。ハードウェア効率的に使用する技術も組み合わせて全体として消費電力を1/8とする「IOWN 光コンピューティング」を使用する。同技術は2026年度に商用化を目指している。

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