ニュース
ビデオカメラの排熱技術が“着るクーラー”に、「REON POCKET」のこれまでと今後の展開
2026年5月14日 00:00
ソニーサーモテクノロジーの“着るクーラー”「REON POCKET」が存在感を増している。国内に加えて欧州でも販売しており、2026年には米国やオセアニアでの展開を目指す。11日、報道陣向けの説明会でREON POCKETの現状と展望を、ソニーサーモテクノロジー 代表取締役の伊藤健二氏が語った。
ビデオカメラの排熱技術を“着るクーラー”に
ソニーサーモテクノロジーは、ソニーの事業だったREONを承継しており、REON POCKET以外にも温度ソリューション・IoTクラウドの「REON BIZ」や個人向けの温度調節デバイスとクラウドを提供する「REON WIZ」を手がける。
同社の代表を務める伊藤氏は、ソニーでビデオカメラの設計に携わっていた。高解像度化が進むとともに課題となるのが排熱処理だった。伊藤氏はカメラの熱処理の設計を担ってきた経験から、この技術はウェアラブルクーラーに活かせると考えたのが2017年。2019年には、ソニーの新規事業立ち上げ支援を活用して、REON POCKETのクラウドファンディングを開始した。
クラウドファンディングは6日で約7000万円の支援が集まり、「REON POCKET 1」も一般販売から2日で1万台を売り切るなど、順調な滑り出しを見せた。その後、後継モデルの発売を重ね、2023年に新会社を設立し、2024年から事業を開始した。「意思決定のスピードが上がり、2024年、2025年と連続で前年比1.5倍、利益は2020年比で10倍に成長できた」と話す。都市部の温度が上昇傾向にあることが影響しつつも、企業としての機動力が上がったことは大きかったという。
通勤に合わせた新スタンダードモデル
2026年、同社ではハイエンドモデル「REON POCKET PRO Plus」とスタンダードモデル「REON POCKET 6」の2機種を立て続けに発表した。
特にREON POCKET 6は日本の通勤利用にフォーカスを当てているという。同社の調べによれば、REON POCKETの利用は通勤時が過半数を占める。小型でありながら、PRO/PRO Plusと同様に、2つのサーモモジュールで冷やす位置を変えて冷感を維持する「DUAL サーモモジュール」を搭載し、ベイパーチャンバーによる放熱機構を備え、冷温部の温度を従来比で最大2度下げた。
形状についても、日本人からは大きいとされるREON POCKET PRO/PRO Plusよりも小型でフィットしやすい。上位モデル同様の首にフィットしやすい「アダプティブ・ホールドデザイン」を採用しており、排気部分に当たるパーツは長さや角度が調節できるようになった。通勤時の利用が多いという実態を踏まえ、本体色は目立ちにくいライトグレーで仕上げられている。
海外展開強化、国内でも露出を拡大
今後の展開として、グローバル市場での販売をさらに加速させる。冷房設備の普及率が低いドイツやフランスなどの欧州では、熱波の影響もあり急速に需要が伸びている。
今夏にはアメリカやニュージーランドでの販売も開始し、展開国を世界22カ国に拡大する。欧米市場では主に欧米人の体格に合わせたハイエンドの「REON POCKET PRO Plus」を展開し、日本を含むアジア圏では「REON POCKET 6」を推奨するなど、地域に合わせて棲み分ける。
需要増に伴う供給不足の課題に対しても対策を講じる。例年、本格的な猛暑を迎える前に売り切れてしまうことが多かったが、今年から生産拠点をベトナムへ移管。国境を越えた在庫融通を含め、サプライチェーンを最適化することで品切れを防ぐ。
また、伊藤氏は身につけるデバイスとしての「安全設計」の重要性も強調した。昨今、ポータブル扇風機などの事故が取り沙汰される中、REON POCKET 6では本体内部の複数センサーに加え、純正USBケーブル側にも温度センサーを搭載。コネクター部への水やゴミの侵入によるショートを検知し、ハードウェア的に電源を遮断する徹底した安全対策を施している。
国内の調査では「REON POCKET」の認知度は約11%で徐々に拡大しつつある。認知している人のうち、REON POCKETを購入した人は44%に上り、伊藤氏は「暑さに対するテクノロジーが求められている」と見解を述べる。6月下旬からは関東圏を中心にテレビCMや電車広告(山手線など)を投入し、通勤客に向けて本格的なプロモーションを展開していく方針を示している。




























