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大阪・関西万博のデジタルウォレット新機能、顔認証決済や限定特典がもらえるステータス制度などが新登場

 2025年日本国際博覧会協会は1日、大阪・関西万博のデジタルウォレット「EXPO2025デジタルウォレットサービス」の新しい機能を発表し、提供を開始した。

 新しい機能は、電子マネーの「ミャクペ!」、ポイント「ミャクポ!」、万博独自NFT「ミャクーン!」の3種類。また、ミャクペ!などデジタルウォレットの利用状況に応じて設定されるステータス制度「ミャクミャク リワードプログラム」のスタートや、デジタルウォレット専用ミャクミャクデザインが初披露された。

電子マネー「ミャクペ!」

 ミャクペ!は、万博会場内外で利用できる電子マネーで、チャージした残高から利用ごとに引き落とされる。チャージは、銀行口座やクレジットカード、ギフトコードなどからできる。

 決済方法は、コード決済(ユーザースキャン方式)とApple PayやGoogle Payなどと連携したVisaのタッチ決済、iD決済。会場内では、顔写真を登録すると顔認証での決済も利用できる。

 サービスを手がける三井住友フィナンシャルグループ 専務執行役員の磯和啓雄氏は、同社も関わりがあるキッザニアの独自通貨「キッゾ」を挙げ、「子供たちは、キッザニアでの職業体験を通じてキッゾを獲得し、買い物することで、楽しみながら社会参加の感覚や価値観の共有を体験しながらキッザニアワールドに没入している。今回の万博でも同じように『ミャクペ!』を通じて、ほかの決済方法では体験できない万博ならではの決済を体験できる」と説明する。

三井住友フィナンシャルグループ 専務執行役員の磯和啓雄氏

 また、顔認証決済については「これだけ大規模に(顔認証決済を)やることは日本で今までなかった。未来社会の実験場という形でさまざまな新しい取り組みに挑戦していきたいと、未来の日本や世界の成長につながるようなプロジェクトだ」とコメント。顔認証決済については、NECの顔認証技術を活用したものだという。

 顔認証決済では、市中に普及している決済端末「stera terminal」を利用して決済する。小さい画面がある決済側には、カメラが搭載されており、現状はコード決済時などにスマートフォンのコードの読み込みなどで利用されているが、万博会場内ではこのカメラで顔認証を行う。受け付けるスタッフ側の画面では、認証後に「登録された顔写真」が表示され、スタッフが確認して決済が完了するしくみ。後ろに並んでいる人など、決済しているユーザー以外の顔が入り込み、認証してしまうケースなども想定し、スタッフ確認のフローが取り入れられている。

コード決済。店舗の二次元コードを読み取り、金額を入力、スタッフの確認の元決済ボタンを押して決済するながれ
顔認証決済。ユーザー側の画面上部にあるカメラで顔認証を行う
顔認証決済のスタッフ側画面。認証の結果、登録されている写真で本人かどうか最終確認する

 なお、決済時には、ミャクペ!オリジナルの決済音が鳴る。オリジナル決済音が鳴るのは、コード決済時にユーザーのスマートフォンから鳴るほか、万博会場内での顔認証決済時に決済端末から鳴る。

ポイントシステム「ミャクポ!」

 「ミャクポ!」は、万博機運熟成や、エコロジー活動、ヘルスケア、SDGs関連の活動やイベント参加などによって貯まる万博独自のポイントサービス。万博開催前からでも、協賛企業や自治体の制度、イベントなどで貯めることができるほか、提携ポイントからの交換によっても貯められる。貯めたポイントは、万博オリジナルグッズや万博入場券などと交換できる。万博期間中は、会場内でのミャクミャクグリーティングやオリジナルツアーなど体験型のサービスなどが企画検討されている。

「ミャクポ!」を説明するりそな銀行 執行役員の川邉秀文氏

 ポイント交換は、大同生命の「KENCO SUPPORT PROGRAM」やJR西日本の「WESTERポイント」(10月)、ロイヤルマーケティングとKDDIの「Pontaポイント」から交換できる。また、岸和田市はポイントラリーキャンペーンを実施し、対象イベントに参加するとポイントがもらえる施策も行われる。

 「ミャクポ!」は、りそな銀行がサービスを提供する。プラットフォームは、三菱総合研究所の「Region Ring」を使用し、ブロックチェーンを活用したポイントサービスが展開される。

独自のNFT「ミャクーン!」

 「ミャクーン!」は万博独自のNFTで、各種キャンペーンやステータス制度「ミャクミャク リワードプログラム」のステータス特典などで提供されるNFTを保存、管理したり、ユーザー自身が作成、撮影した画像をアップロードしてオリジナルのNFT作品を作ったりできる。

「ミャクーン!」を説明するSBI ホールディングス 執行役員の藤本守氏

 「ミャクミャク リワードプログラム」では、ステータスに応じたNFT作品を獲得でき、ステータスが上がるにつれてレアリティ度が上がっていくようになるという。今後、さまざまなキャンペーンを通じてコレクションできるNFT作品の配布を展開するとしている。

ミャクミャク リワードプログラム

 「ミャクミャク リワードプログラム」は、「EXPO2025デジタルウォレットサービス」のサービス利用状況などで設定されるステータス制度。たとえば、電子マネー「ミャクペ!」では、チャージ金額に応じてステータスが設定される。

 ステータスは、「STANDARD」「BRONZE」「SILVER」「GOLD」「PLATINUM」「DIAMOND」「LEGEND」の7段階が用意されている。ステータス特典として、「STANDARD」~「GOLD」ステータスのユーザーには、ミャクーン!のNFTが進呈される。「PLATINUM」~「LEGEND」では、会期中に会場内でのラウンジ利用やパビリオンの優先/特別入場などのサービスが利用できるという。

 ステータスを上げる条件は、今後ミャクポ!の参加や万博入場チケット、イベント参加などの条件が企画されているとしている。

事業連携サービス

 「EXPO2025デジタルウォレットサービス」では、機能拡充のほか、地域の店舗などと連携したサービスを展開している。

 たとえば、関西の飲食店と連携しNFTクーポンを配布している。1日現在で80店舗以上の飲食店と提携しているという。店舗独自の会員証を獲得できる機能も提供されており、訪問回数などの条件をクリアすることで、レベルアップする施策も実施されている。アクティビティに応じて特典を獲得できるデジタルガチャも用意されており、限定グッズやクーポンなどが獲得できる。

限定クーポンやグッズが当たるデジタルガチャ

 また、JR西日本などの交通機関や自治体と連携したNFTスタンプラリーやイベント参加証明書のNFTを提供している。

事業連携サービスを説明するHashPort 代表取締役 CEOの吉田世博氏

PSYCHIC FEVERとミャクミャクも登場

ミャクミャクとPSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE

 会場には、「PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE」と万博のキャラクター「ミャクミャク」が登場。今回発表された電子マネー「ミャクペ!」の顔認証決済を実際に体験したPSYCHIC FEVERの渡邉廉は「すごく便利。初めて顔認証というものに挑戦して、僕もプライベートで使っていきたい」とコメント。

顔認証決済を体験する渡邉廉
ミャクポ!オリジナルグッズを手に取るJIMMY

 デジタルウォレットの一連の新機能に触れた小波津志は「デジタルウォレットのたくさんの新しい機能、僕たちもとても楽しみになった。是非、皆さんと一緒に万博を盛り上げていけたら」と意気込みを語った。

デジタルウォレット専用ミャクミャクデザイン
デジタルウォレット専用ミャクミャクデザインのTシャツを披露するPSYCHIC FEVER