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大阪・関西万博の「未来の都市」パビリオンが完成、KDDIと日立の「Mirai Meeting」などが公開

 大阪・関西万博内のフューチャーライフ万博「未来の都市」が完成し、11日、記念式典が行われた。プラチナパートナーとして協賛するKDDIは、日立製作所と共同で「Mirai Meeting」を展示するほか、KDDIのメタバース「αUメタバース」で「未来の都市」パビリオンと連携した「バーチャル未来の都市」を提供する。

記念式典には松田次期社長も参加

 2025年日本国際博覧会協会 事務総長の石毛博行氏は「企業や団体の垣根を越えた共同作業は、ほかに例のない協力形態で、パビリオンの内容や発注形態、業務方法などさまざまな問題を乗り越えてきた」とコメント。パビリオンの魅力について「万博最大級のパビリオン」、「日本の企業団体が新たな共創活動にチャレンジしたこと」、「子供や学生が楽しみながら学べるパビリオン」の3つを紹介した。

2025年日本国際博覧会協会 事務総長の石毛博行氏

 未来の都市パビリオンは、幅約150m×奥行き33mで万博内最大級のパビリオン。表面の外壁はメッシュのスクリーンが使用されており、周囲を歩くとモアレが発生する仕掛けが施されている。また、光触媒により汚れがつきにくいよう工夫されている。

 また、パビリオンのすぐ裏手は大阪湾で、神戸から姫路、淡路島までを一望できる。石毛氏は「明石海峡に沈む夕日が大変きれい、夜には未来の都市パビリオンもライトアップされ本当にすばらしい」と語る。

式典が開催されたパビリオンの奥には大阪湾が一望できる

 記念式典には、4月からKDDI代表取締役社長 CEOに就任する同社取締役執行役員常務の松田浩路氏が登壇。テープカットで、パビリオン完成を祝った。

会場には、KDDI次期社長の松田浩路氏の姿も
パビリオンの前には、協賛企業、団体の看板
Society 5.0をテーマに、原始時代(Society 0)から未来の生活までを表現した展示から始まる
ホールB手前には、未来の技術が体験できる映像コンテンツが展示されている。正面から見ると立体的に映像を楽しめる仕掛けも
会場は、3つのホールに分かれている。2つめのホールBにはKDDIと日立製作所の展示、3つめのホールCにはそのほかの展示が運営されている
ホール間のコリドールには、二酸化炭素を吸収する素材が採用されている

KDDIと日立製作所の「Mirai Meeting」

 KDDIと日立製作所は、未来の都市パビリオン内で「Society 5.0と未来の都市」をテーマとした共同展示「Mirai Meeting」(ミライミーティング)を提供する。

 「未来は自分たちで変えられる」をコンセプトにした体験型の展示で、劇場型の「Mirai Theater」(ミライシアター)とゲーム感覚で社会課題の解決を体験できる「Mirai Arcade」(ミライアーケード)の2つで構成されている。

 シアターでは、高さ6m×幅150mの大型スクリーンが設置されており、2035年の未来に住む子供からのSOSを受け取り、参加者自身の選択で課題解決に導くストーリーで物語が展開される。物語の途中で参加者がスマートフォンやタブレットで解決策を提案していくことで、公演ごとに違ったストーリーが展開される。

参加者の選択によってストーリーは変化する
シアターでは120人が同時に参加できる

 アーケードでは、大型タッチパネルが備えられたゲームコーナー。最大3人が協力しながら画面に現れる課題に対して「ミライボール」を投げて、課題を解決し未来を自身の手で変えられることを体験できる。

ミライボールを投げて、社会課題を解決する

未来の都市をメタバースで体験できる「バーチャル未来の都市」

KDDI 事業創造本部 Web3推進部長の館林俊平氏と2025年日本国際博覧会協会 企業局企業部 担当部長の高見明伸氏

 また、KDDIのメタバース「αUメタバース」上で、4月13日から「バーチャル未来の都市」の提供が開始される。基本プレイは無料。

 ユーザーがバーチャル未来都市に降り立つと、最初に未来研究所のミライ所長。ユーザーは、街を巡り未来のヒントを考える未来サーチを依頼される。そこから、“脱炭素社会の実現”や“人手不足解消”などさまざまな課題解決に導く技術を巡っていく流れが体験できる。

 物語を導くアイテムとして、所長から「リサーチノート」が渡される。このノートをヒントに、街中のさまざまなスポットを探索して未来の技術を発見していく。探索によりリサーチノートがどんどん埋まっていくようになっており、ノートを完成させると万博のデジタルウォレット「EXPO 2025デジタルウォレット」で、限定デザインのNFTを獲得できる。

バーチャル未来の都市を巡り、リサーチノートを埋めていく
アバターをカスタマイズできる機能も
「Mirai Theater」など万博会場のパビリオンも体験できる

 バーチャル未来都市の作成にあたっては、空想地図作家の今和泉隆行氏も参画し、KDDIなど事業者が考える技術から逆算された都市設計ではなく、ユーザーが実際に暮らしていく街をしっかりと描き、そこから生まれる課題と解決策というアプローチで設計された。

バーチャル未来の都市
街にさまざまな技術がちりばめられている
「Mirai Theater」も登場

万博会場の展示とも連携

 αUの「バーチャル未来の都市」で登場する技術の多くは万博会場内の「未来の都市」内で展示されており、たとえばバーチャル上で見たい技術に目星を付けておき訪れたり、逆に万博で見た技術をあらためてバーチャル上で体験したりできる。

 実際の展示との連携も考えられており、たとえば「Mirai Theater」では、万博会場でのストーリーがバーチャルでも見られるようになったり、会場内の説明が閲覧できたり、ユーザーが万博会場内のコンテンツと同じ体験ができるよう設計されている。

 KDDI 事業創造本部 Web3推進部長の館林俊平氏は「各社課題に対する解決策を展示しているが、実際に自分たちの街にどのようにう実装されていくのかは、(万博のパビリオン内では)限りある空間でなかなか想像しづらい。バーチャルであれば空間の制約がなくなるため、実際に実装した姿を見て頂ける」とコメント。

KDDI 事業創造本部 Web3推進部長の館林俊平氏

 ユーザーを「バーチャル未来の都市」に招き入れる導入については、αUメタバースからジャンプできる導線やバーチャル万博アプリ「バーチャル万博 ~空飛ぶ夢洲~」(NTT提供)からもアクセスできるようにするという。

GINZA 456で先行体験会を実施

 「バーチャル未来の都市」の提供に先立ち、3月14日~10月までの期間中、KDDIのコンセプトショップ「GINZA 456」(東京都中央区)で先行体験会が実施される。

 プレイできるのは、ベータ版で開発中の一部エリアが体験できるという。

 参加料は無料、事前予約不要で参加できる。

クボタでは無人自動運転の農耕車両のコンセプトモデルが公開

 このほか、11の企業と団体による展示が公開された。

 たとえば、クボタのブースでは、未来の「汎用プラットフォームロボット(Versatile Platform Robot)」のコンセプトモデル「Type:V」が世界初公開された。

 農業における各種作業を完全無人で行う未来の食を支えるロボットで、データに基づいた精密な農作業や、これまで残っていた手作業の代替や、土木、建築作業まで完全無人で行うことを目指している。

クボタ 代表取締役社長の北尾裕一氏とコンセプトモデル「Type:V」