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スマホのアプリストア、他社も提供できるように――公取委の法案が国会で可決

 4月26日に国会に提出された「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案」が、6月12日の参議院本会議において可決され、成立した。

 スマートフォンの急速な普及を踏まえ、モバイルOSやアプリストア、ブラウザ、検索エンジンなど、中核を担う「特定ソフトウェア」について、セキュリティの確保などを図る。また、消費者が多様なサービスを選択できるよう、競争環境を整備する。

 たとえばiOSではアップル(Apple)の「App Store」、Androidではグーグル(Google)の「Google Play」というように、アプリを入手するための経路は基本的に限定されている。

 こうした状況が「特定少数の有力な事業者による寡占状態」とされ、新規参入が難しいことや、独占禁止法による対応では時間がかかることなどを考慮し、今回の法案が可決された。

 公正取引委員会は、特定ソフトウェアを提供する事業者のうち、一定規模以上の事業を行う事業者を「規制対象事業者」として指定。そのうえで、禁止事項や遵守事項を定め、違反がある場合は是正を図っていく。

 たとえばアプリストアについて、自社のものに限定するなど、ほかの事業者によるアプリストアの提供を妨害する行為は違反とされる。一方、Webサイトからアプリを直接ダウンロードする“サイドローディング”の許容までは義務付けない。

 また、他社の課金システムやブラウザエンジンの使用を妨害する行為なども違反とされる。

 こうした違反については「正当化事由」が設けられ、セキュリティやプライバシーの観点から必要な措置とされる場合は、違反とされず容認される。

 公正取引委員会では、事業者に対して基準を明確に示すため、関係行政機関と連携してガイドラインを策定する予定。また、関係行政機関との連携体制の整備なども図られる。