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米司法省がアップルを提訴、スマホ市場独占で

 米司法省は21日(現地時間)、アップルを反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴したと発表した。スマートフォン市場を独占した、あるいは独占しようと試みたと指摘し、米国のユーザーにスマートフォンを乗り換えづらくし、アプリやサービスのイノベーションを損なったと主張している。

会見で訴訟について説明するメリック・ガーランド米国司法長官

 司法省では、アップルはiPhoneによってスマートフォン市場で独占的な支配力を持ち、持続的な違法行為を行っていると説明。ガーラント米国司法長官は、会見冒頭で「iPhoneは10年以上にわたり、アップルの売上の大半を占めてきた。米国のスマホ市場のうち、高性能端末市場におけるアップルのシェアは70%を越え、スマホ市場全体でも65%を越えている。アップルはスマートフォン市場で独占的な力を維持してきたが、それは単に競争で優位に立ったからではなく、反トラスト法に違反することによってだ」とコメント。消費者にとって、選択肢が減り、端末価格の上昇や品質の低下、アプリやアクセサリーへの影響などがあったとした。

 発表文では、その例として、iPhoneからの乗り換えを容易にするような幅広い機能を持つアプリの成長を阻害したとされている。また、モバイル向けのクラウドストリーミングサービスを抑圧し、高額なスマートフォンを買わずともクラウドベースで高品質なゲームなどを楽しめるようにするアプリやサービスの開発を妨害したという。

 また、クロスプラットフォームのメッセージングアプリの排除や、サードパーティ製スマートウォッチの機能制限によってApple Watchを購入すると、iPhoneを買い続けなければならないと説明する。

 このほか、サードパーティのデジタルウォレットを制限し、クロスプラットフォームのサードパーティ製デジタルウォレットを阻害していることにも触れられている。

 上記の例以外にも、Webブラウザ、位置情報サービス、ニュース購読などにもアップルの行為が影響を及ぼしており、「アップルの反競争的で排他的な行為が止められない限り、アップルはiPhoneの独占を拡大し、定着させるだろう」と指摘。米国のスマートフォン市場を開放して、消費者のためにスマホ価格を引き下げ、開発者の手数料を削減して将来にわたりイノベーションが続くことを目指す、と訴訟の目的を示している。