法林岳之・石川温・石野純也・佐藤文彦のスマホ会議(仮)
AIスマホ普及の壁と、ハードウェア畑の新CEOを迎えるアップル Pixel 10aや注目の最新ミッドクラス端末を総ざらい
2026年5月15日 00:00
ソフトバンクのAIフォンの実力はいかに
佐藤
アメリカのBrain Technologiesが開発する「Natural AI Phone」が、ソフトバンクから発売されましたが、どのように見られていますか。
石川氏
ちょっと、デザインにやる気を感じない。AIにばかり力を入れているし、使ってみても、いまいちどうしたらいいのかわからない。
石野氏
そうなんですよ。いまいち、何ができるのかがわからない。
石川氏
コンセプトとしては、AIエージェントを入れて、アプリを起動せずに操作をする。これからのトレンドですが、今後グーグルやサムスンも取り組んでくる領域です。グーグルが本気で取り組んできたとき、そっちでいいとなりかねない。
石野氏
サムスンの発表会のときに、グーグルの人が来ていて、みんなのチャットからGeminiでピザをオーダーするといった動きを披露していました。これは次のAndroid OSの布石とされているので、Natural AI Phoneは、プラットフォーマーが同じ取り組みをしてきたときに、果たしてどうするのか。
石川氏
グーグルとしては、広告との兼ね合いとか、アプリビジネスをやっていかなければならないので、食い合わないためにAIではできないこともある。そこでBrain Technologiesが攻めていくという気概があればいいけど、CEOに聞いても、そこまで考えられている感じがしませんでした。
法林氏
とりあえず作りましたっていう感じだよね。
石野氏
0からAIフォンを設計したのが強みと言っていますが、動きはめちゃくちゃAndroidですし。
石川氏
しかも、AIボタンはNothing Phone (3a)と同じ位置。
石野氏
やっていること自体は面白いんですけどね。いかんせん、できることが少なすぎる。何か買うとき、ヤフーやアマゾン、楽天を横断して探してくれるのはいいけど、自分は購入しようとしたらエラーが出ちゃいました。初期のスマートスピーカー感があるというか、こちら側で何ができるのかを探っていかないといけない。
石川氏
エージェントを目の前にして、何をすればいいのかわからない状態ね。
石野氏
そうです。しかも、できない指示を出すと、勝手にアプリをインストールし始めたりする。その割に、セットアップするときのチュートリアルで、2分の動画を見ないといけない。
石川氏
そもそも、ソフトバンクでAIフォンを出したいなら、LINEヤフーのAgent iを載せるべき。グループで統一できていない。
法林氏
Yahoo!ショッピングで、ポイントがお得にもらえるタイミングを教えてもらえるとかは便利だけど、それくらい細かい部分に寄っていかないと、何からやればいいのかがわからないよね。
石野氏
ポイントの部分はいいですよね。僕はそれで、1000円分も得しました。
関口
ユーザーのことを理解して、サポートするというと、ドコモのSyncMeに先を越されている状態ですかね。
石野氏
そうですね。Natural AI Phoneは、理解してもらうための情報を手動で蓄積しなければいけません。あと、「記憶の蓄積」は、どういうシーンでやるべきなのかがわからない。自動じゃなく、手動にしている時点で負けている。
石川氏
AIを育てようと思ったら、まずメイン端末にしないといけないハードルがある。SyncMeはアプリさえ入れればいいので、ハードルが全然違う。
石野氏
ちょっと感動したのは、LINEを立ち上げずに、勝手にやり取りしてくれて、便利だなと思いました。ただ、それも機能をユーザーが探し当てないといけない。スマートフォンでやりたいことは多種多様なので、すべてに応えてくれるようにならないと、わざわざAIを立ち上げなくなる。あと、裏でAIが変なメッセージを送っていないかという不安もあります。
関口
会社員だと、管理者の許諾がないと、仕事に関する情報をAIに渡せないといった問題もありますよね。
法林氏
AIをスマートフォンに組み込んでいくにあたって、最大の壁は、ユーザーの情報の扱い方になる。
石川氏
結局、ユーザーのデータを持っているメーカーが強くなるので、グーグルが本気で取り組んだらできるでしょうし、楽天がやっても面白いかも。
法林氏
このままだと、新しいものが好きな人だけが触って、飽きておしまいになりそう。
石川氏
それでいうと、Brain Technologiesが、AIの分野でそこまで存在感がない。先日、OpenAIがスマートフォンを作るという噂が出ていたので、ChatGPTをガンガン使えるスマートフォンが出てきたら、乗り換えようと思う人も出てくるかもしれません。AIの大手が本気で作るAIスマートフォンが出てきたら、パラダイムシフトが起きるかもしれない。
石野氏
ただ、Open AIもグーグルも、ネットの中の話しか分からない。一方で、ドコモは決済情報みたいな、外の世界の情報も持っているのが強い。
進化幅の少ないPixel 10aはいまでもコスパ優秀?
関口
グーグルの話が出たので、新端末のGoogle Pixel 10aについてもお話しいただけますか。
石野氏
現時点ではBrain Technologiesのほうが高度なAIを動かしていますが、近いうちにPixelでもキャッチアップはされると思います。Pixel 10aに関しては、AIとかはあまり関係なく、グーグルが売りに来ている端末です。ただ、Pixel 9aとほぼ変わらないので、なかなか選ぶのが難しいところですね。
石川氏
結局、スマートフォンは2年に1回くらいしか進化しないことがよくわかる。
石野氏
それにしても、進化させていなさすぎる。カメラがフラットになったのも、大きい変化と言えるのか。そこで、困ったときのIsai Blue。
関口
Isai Blueというカラーネームに関しては、以前LGが「isai」という端末を出していたので、商標的に大丈夫かという話も出ましたね。
法林氏
問題は、Pixelの担当者がLGのisaiを認識していなかったこと。
石川氏
グーグル側がわかっていなかったというのがショックでしたね。
関口
製品の完成度についてはいかがですか。
石野氏
もともと売れていたPixel 9aを、ほぼ完全に踏襲しているので、当然悪い端末ではありません。使い勝手もいいし、コストパフォーマンスもいい。カメラもきれいで、動きもサクサクなので、あまり欠点はありません。
一方で、グーグルはこれだけAIと言っているなかで、メモリは据え置きだし、相変わらずPixelスクリーンショットも使えない。マジックサジェストも使えないので、これでいいのかなという疑問はあります。
法林氏
Pixel 9aが出たときに感じたのは、秋に出るフラッグシップモデルとの差別化をしたいという意図。それを今年も踏襲した感じがする。ただ、7万9900円に抑えてきたのはよかったと思う。
ユーザーがチップセットを見て選ぶような機種ではないですから、8万円を切っているのは大きい。
石川氏
ただ、Pixel 10aはAirDropと接続できるのに、なぜPixel 9aではできないのかといった疑問はある。Pixelの悪い癖が出ている。
石野氏
マーケティングですよね。あと、Pixel 10に搭載されているTensor G5のGPUは、あまり評判がよくなくて、ゲームが全然動かない。GPUスペック的には、Pixel 10aに搭載されるTensor G4のほうが高かったりするので、スマートフォンゲームをカジュアルに楽しみたい、スマートフォンをいろいろな用途で使いたいというニーズだと、Tensor G4のほうがいいという話もあります。
佐藤
石野さんがおっしゃる通りで、Tensor G5は3Dグラフィック系のゲームが、壊滅的に動きません。
石野氏
ゲーム制作会社からも、Tensor G5は対応しないとアナウンスがあるくらいです。
佐藤
そうですね。有名なアプリゲームにおいて、Pixel 10シリーズは動作対象端末から外されています。出たばかりのフラッグシップモデルが対象外になるとは、どういうことかと思いました。ゲームに限定すると、評判は悪いです。
石野氏
Apple Siliconと比べると、Google Tensorはこういうやらかしが多いように見えますね。
Galaxy A57 5Gは今後のプロモーションに期待
関口
同じくミッドクラスの端末としては、Galaxy A57 5Gも発売されています。
石野氏
このクラスの端末でも、ちゃんと発表会はしたほうがいいと思います。ほかのメーカーはやっていますから。サムスンは、ハイエンドモデルが売れていますが、ミッドクラスはほかのメーカーに攻められている印象もあるので、もう少し丁寧に説明する機会を作っていいんじゃないでしょうか。
石川氏
ドコモでも採用されるミッドクラスの端末として重宝されるので、もっとアピールがあってもいい。
法林氏
Galaxy Aシリーズの中では、それなりに扱えるスペックのものを持ってきているのはいい。あと、本体が薄くなったり、6年のアップデート保証があったりと、悪くない端末になっている。
石野氏
悪くないですよね。だからこそ、ちゃんと発表会をやっていい。Galaxy S、Galaxy Zをあれだけ大々的にアピールするなら、もう少しGalaxy Aにリソースを割いてもいいと思います。
関口
サムスン関連だと、海外版GalaxyにFeliCaを搭載し、Samsung Walletでチャージできるようになるというニュースも出ています。
石野氏
もともとチップはType-Fになっているので、あとはソフトウェアで有効化すればいいという話ですね。
石川氏
ICカードのSuicaは、一時期発行できないといった問題もあったので、スマートフォンで対応したほうがいいという考えにJR東日本がなったのかもしれません。
石野氏
Xでポストしたら、韓国人からの反応が、かなりありました。
法林氏
Samsung Walletで言うと、起動方法が好きになれない。下からスワイプして起動するので、Androidのジェスチャー操作と干渉して、使いにくい。
石野氏
しかし、Samsung Payはポイントを配りまくっていますよね。Galaxyを持っているだけで儲かりますよ(笑)。
佐藤
そこまでですか(笑)。
石野氏
儲かるは大袈裟ですけど、大盤振る舞いです。
販路を広げるNothingはブランディングにも注目
関口
ミッドクラスの新端末としては、Nothing Phone (4a)/(4a) Proも出ました。
法林氏
佐藤くんは、先行販売に並んで買っていたね。
佐藤
はい。Proのほうを買いました。
法林氏
僕もProを買った。デザイン的なインパクトがあるのがいい。
石川氏
Nothingこそ、ユーザー層を考えると、AirDropに対応して欲しい。とはいえ、プロモーションがうまくいっていて、狙った層に届いている印象があります。世界的にはモトローラも同じ層を狙っていますが、日本ではあまりなので、Nothingはうまくやっていると思います。
石野氏
スタートアップということもあり、年々販路を広げているのも見て取れます。今回はau Flex Styleで取り扱われるのが大きいニュースですね。
石川氏
ただ、この先Nothingが販路を広げて、4キャリアで同時発売となった場合、ブランドイメージに合っているのかという疑問はある。
法林氏
ソフトバンクはNatural AI Phoneがあるから。
石川氏
カール・ペイ氏も、尖ったブランドとして、シェアを大きくとるつもりはないと話していますが、売れていったときに、ブランドイメージをどう維持するのかは注目ですね。
関口
ahamo限定販売みたいな形ならありですかね。
石野氏
そういう形はありですね。しかしauは、困ったときは半透明なんですかね(笑)。
法林氏
台数か、売り上げかという話はあるけど、au Flex Stlyeで取り扱われる端末として、Nothing Phone (4a)と、OPPO Find N6がある。どっちが評価されるかな。
石川氏
それは入荷台数が全然違いますからね。
石野氏
OPPOとしては、ミッドクラスは普通のキャリアモデルとして採用されていますからね。au Flex Stlyeは、数が出ないモデルとか、新興メーカーの端末を取り扱うところになると思います。
折りたたみスマートフォンの「折り目」は本当に重要か
関口
OPPOのお話が出たので、折りたたみモデルのOPPO Find N6についてもうかがえますか。
法林氏
すごい端末だとは思う。折り目はほぼ見えないし、ペンも使えて薄い。ただ、どうしても価格が引っかかる。
石野氏
あと、そもそもの話として、フォルダブルスマートフォンユーザーは、そこまで折り目を気にしていないと思います。
法林氏
画面が点灯していると、あまり気にならないよね。
石川氏
折り目のあるなしで、端末は選ばないよね。
石野氏
そうですよね。Galaxy Z Fold7を使っていても、全然気になりません。
佐藤
折り目が気になるからと、これまで買ってこなかった人に対して訴求したいということではないですか?
石野氏
そういう人は、折り目を気にしているというより、折り目を買わない理由にしているだけだと思いますよ。
関口
発表会のプレゼンでは、折り目に関する話から始まっていきましたよね。
石野氏
ちょっと折り目に振りすぎていませんか。
法林氏
アドバンテージを折り目に振りすぎているよね。
石野氏
ほかにもすごいところはたくさんあるのに。
石川氏
技術的にはすごいことなので、社内的にアピールしていきたいのはわかるけど、ユーザーの気づきになるかというと、そこではない気がする。
石野氏
どちらかというと、折りたたみモデルなのにカメラがすごいとか、薄いのにペンが使えるとか。そういう部分のほうが響きそうなのに、アピールは全然ない。
石川氏
そもそも、Androidの折りたたみ市場で戦っても、市場が小さいのであまり意味がない。OPPOとしても、秋にアップルが折りたたみを出すのに先駆けて、十分対抗できる製品であることをアピールしたい。
折りたたみiPhoneが出ることで、何世代もやってきたAndroidメーカーはすごいという評価も得られるでしょう。ただ、アップルが折りたたみを出すと、それだけですごいって騒がれそうな気もする。
石野氏
アップルは、どこまでハードウェアで迫れるのか。Galaxyも、7世代やってきて、ようやくこの薄さですから。
法林氏
Galaxy Z Fold7が出たときは驚いたけど、今回OPPO Find N6に先を行かれた感覚もある。サムスンは、すごいものを作りはするけど、その先に踏み込めず、抜かれていく印象もある。スマートリングとかもそうで、先進的なところはあるけど、ある程度まで行った後に、それを突き詰められない部分がある。
石川氏
それでいうと、Galaxy VRも遥か昔からやっていたのに、あきらめたタイミングでアップルから製品がでて、再度やらざるを得なくなっている。技術があるので先行するけど、あきらめも早い。
中国メーカーは、国内だけでも市場が大きいので、そこで売れればいい。アップルはひたすら待って、製品を出し続けられる。
法林氏
OPPOはOSのベースがAndroidではあるけど、グーグル感というか、Androidらしさがあまりない。中国ではGoogle Playがない状態で売っているので、GMS(Google Mobile Service)絡みの部分がおまけになっている。
石川氏
あと、iOSに対するあこがれが強い。中途半端というか、プライドのなさが中国メーカーっぽい。
石野氏
それは昔のサムスンもそうですからね。大きくなっていくと、自分たちで考え始めます。
HTCはauとのタッグでスマートグラスを発売
佐藤
スマートフォンではありませんが、HTCからスマートグラスのHTC VIVE Eagleが登場しました。
石野氏
HTCとauのロゴが並んで、懐かしい気持ちになりましたね。製品としては、ディスプレイがついていなくて、音声だけの案内になるのがちょっと引っ掛かります。
関口
やっぱり、ディスプレイは欲しいですかね。
石野氏
カメラがあるのはいいですけど、翻訳が音声だけだと、やっぱりちょっと厳しいです。
石川氏
ただ、メガネレンズがディスプレイだと、視力は落ちそうだよね。
関口
音声だけだと考えると、VIVE Eagleの8万2500円からは、ちょっと高く感じますかね。
石野氏
そうですね。カメラ付きで、AIを動かすと考えても、競争力は心配になります。一方で、ディスプレイではないので、普通のメガネ屋さんで度入りレンズに交換できるのはメリットですね。
関口
スマートグラスだと、MetaのRay-Banモデルも、日本に上陸することが発表されていますね。
石野氏
加えて、グーグルもスマートグラスを用意しているはずです。
石川氏
ただ、日本でカメラ付きメガネを使うと、痴漢と間違われそうですよね。
石野氏
でも、カメラがないとAIをフル活用できない。
法林氏
シャッター音もそうだけど、こういう制約のせいで、日本の技術が出遅れていく気がしちゃうよね。
日本市場に本気で攻め込むアマゾンのスマートホーム新製品
関口
アマゾン・ジャパンは、Ringシリーズの最新機種を発表しています。
石川氏
僕はもう自宅につけましたよ。
石野氏
スマートホームは、グーグルのやる気がいまいちなんですよね。
法林氏
Google TVは頑張っているけどね。スマート家電と言う意味では、シャオミのほうがデバイス数が多い。
石川氏
アマゾンは日本市場に本気ですよね。日本専用モデルを作り、住宅メーカーと協力して販売する。人生でドアホンを購入するタイミングは、1回あるか程度ですし、普通はあまり選ばない。
アマゾンの発表会の1週間ほど前に、パナソニックがドアホンの新製品を出していますが、それが9年ぶりの新モデルらしい。それを考えると、アマゾンがいかに本気かがわかります。
法林氏
ドアホンみたいなカメラは、自治体から補助金が出るので、積極的に使って欲しいね。
CEO交代で今後のアップルはどうなる?
佐藤
業界のニュースとしては、アップルのティム・クックCEOが退任すると。
石川氏
昨年末くらいから準備が進んでいたので、どんどん人が辞めていたんだと思います。半導体の担当者も辞めると言っていたけど、引き止められて、今度ハードウェアの責任者になる。
石野氏
新しいCEOのジョン・ターナス氏は、ハードウェア畑の人で、前回のiPhoneの発表イベント時には、eSIMの紹介をしていました。そういう意味では、通信業界にはいい効果が出るかもしれません。
関口
アップルが新製品を出すたびに、「創業者の意志が……」みたいな話が出ますが、新しいCEOになって、どう変わりますかね。
石川氏
そもそも、そんなものはないですからね。
法林氏
スティーブ・ジョブス氏も、アップルを一度離れて、戻っている人だからね。
石川氏
ただ、スティーブ・ジョブス氏のカリスマ性がすごかったので、ティム・クック氏としては、そこを重視するのではなく、規模の拡大を目指して、4倍まで会社を大きくした。しっかりと歴史に名を残した経営者だと思います。
石野氏
ものづくりの人ではないと言われつつ、Apple WatchやVision Proを出したり、iPhoneを今の形にしたのもティム・クック氏です。慎重ではありますが、ポートフォリオはしっかりと広げています。
法林氏
製品だけじゃなく、稼ぐネタを作るのは上手だった。経営者的だよね。
石川氏
革新的ではないけど、後出しで負けないじゃんけんをしてきた。Apple Watchも、ウェアラブルという分野でサムスンがゴーグルで失敗したタイミングで、違う形のものを出している。
新しくハードウェア畑の人がトップになったことで、アップルはまだまだ強いかなと思います。AIを活用するためにはハードが必要で、いまはMac miniが売れまくっているし、MacBook Neoとか、iPhone 17eのような、垂直統合の強みが出ている製品も作っている。強いポジションはまだ揺るがないかな。
法林氏
サプライチェーンも含めた構築がうまかった。
石川氏
そうですね。それを象徴するのが、今年発売された廉価モデル2製品です。
石野氏
iPhoneをこれだけ広げたのも、ティム・クック氏の功績です。小さいモデル、大きいモデルといろいろな試行錯誤もしています。
法林氏
業界内を見ていると思うけど、石川くんはずっとiPhone Airを使い続けていて、えらいよね。
石川氏
バッテリー以外はいいですからね。
関口
石野さん、佐藤さんも使っていますね。
法林氏
僕は毎年Pro Maxを買っているけど、重くて嫌になってきた。
石野氏
重さ、デザインも含めて、機材っぽいんですよね。ただ、売れ行きは例年より好調みたいです。特に中国人はオレンジが好きで、各メーカーがパクってきています。
石川氏
iPhoneを売ってきたマーケティングの過程で、ハイエンドがいいという蓄積をしてきたので、小さいモデル、薄いモデルが妥協に見えてしまう部分はある。今までのマーケティングがうまくいきすぎている結果、新しいものが受け入れられなくなってきています。
法林氏
ただ、iPhoneのカメラに対する不満はよく聞く。
関口
これからのアップルという意味で、AIのためにデータを活用できているのかといった課題がありますが、ハードウェア畑の人がリーダーシップをとることで、どうなっていくでしょうか。
石川氏
やらざるを得ないのは事実です。ハードウェアが強い会社で、どれくらいのものを作るのかという落としどころは求められる。そこでぶち当たるのがスティーブ・ジョブス氏の遺言で、ユーザーのデータを守るという意志をどこまで尊重するのか。
ユーザーのデータをクラウドでこねくり回したら、面白いものができますから、アップルとしては難しいタイミングが来ていますね。
法林氏
アップルは製品が注目されているけど、その裏側にある部分に、足りないところが多い。iCloudは誰が作ったデータセンターなのかとか、AIはグーグル頼みだったりとか。これが続いていった先で、新しいことができるのかという不安はある。
関口
ハードウェアとパーソナライズ化されたソフトウェアの連携で言うと、Apple Watchは他社を突き放しているような印象がありますが、AIはそうでもないですよね。この違いは何なのでしょうか。
法林氏
ハードウェアは結局入り口で、ユーザーとの接点になる。入口は作ることができたけど、これからの勝負は入った後の世界になっていく。パーソナルクラウドというやり方をしたときに、アップルのAIがうまくいくかという不安要素は残る。
石川氏
あと、AIにおける勝者が出るのかという疑問もある。リードしている会社がタイミングによってころころ変わるので、そこをいたずらに追いかけないという考えはある。
関口
いまは安くAIが提供されていますが、勝者が出たときに、提供価格が上がる可能性もあります。そうなると、お金を払う人が減って、AIの進化も止まるタイミングが来るかもしれないので、現時点での遅れは、あまり気にしなくてもいいと考えられますよね。
石野氏
それもそうですし、AIを動かすにはハードウェアが必要です。現時点でも、オンデバイスAIを動かすのであれば、iPhoneは最高峰の処理能力を持っているので、そういう生き残り方はあります。
法林氏
ただ、AIの進化を考えると、クラウドが自由に使えないのが痛いと思う。そこを追いかけないという手はあるし、データセンターを買うという選択肢もあるけどね。
石川氏
ちょっと前に、KDDIとAWSが組んでいて、KDDIのネットワーク内にAWSのサーバーを入れて、セキュアにいろいろなことができるというサービスをやっていましたが、最近話を聞かなくなっていた。詳しく聞いたら、やってみたのはいいけど、活用する人が全然いなかったらしい。
これを聞いて、ソフトバンクがAI-RANと言っているけど、果たして使う人がいるのかという疑念を抱き始めました。
法林氏
何に使うかと言う部分だよね。
関口
人じゃなく、IoT、機械のほうですよね。
石野氏
機械もそうですが、それがドコモのネットワークにつながったときに遅くなるといったことがあると、そんなAIサーバーにニーズがあるのかという疑問も出てきます。
石川氏
そもそも、人間として活用する方法が思いついていない。
法林氏
Natural AI Phoneにも通じるけど、いざAIを活用できるデバイスを渡されても、何に使えばいいかわからない。細かい部分で、経費の計算みたいな分析には役立つけど、会社の業務が革新的になるかと言うと疑問。
石野氏
Web3ほどではないですけど、バブル感がありますよね。
石川氏
まだ中身はあるけどね。経費精算がチャットボックスからできたりして便利だけど、便利さを実感しているのは一部で、それが一般のユーザー、企業に広まるかと言うと難しい。
法林氏
なかなか大変だよね。
石野氏
その利便性を享受するために、いくら払えばいいのかという話にもなります。グーグルみたいに、クラウドサービスにしれっとAIを内包して、使わないと損という形のほうが賢いです。
法林氏
マイクロソフトも同じ方向に行ったしね。
石川氏
そうなると、AI一本鎗のOpenAIとかは、厳しくなってくるかもしれません。
石野氏
やっぱり、クラウドサービス込みですよね。
























