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楽天G、26年度第1四半期は過去最高の売上6436億円 AIエージェント展開でエコシステム強化へ

 楽天グループは14日、2026年度第1四半期の連結決算を発表した。売上収益は第1四半期として過去最高となる6436億円(前年同期比14.4%増)を記録し、Non-GAAP営業利益は363億円と、MNO事業本格参入後初めて第1四半期での黒字化を達成した。

楽天エコシステム「1+1が2以上になる」

 今四半期の決算説明会において、楽天グループ代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏が特に時間を割いて説明したのが「楽天エコシステム(経済圏)」の優位性。

楽天モバイル 三木谷浩史代表取締役会長

 同氏は一般的な複合企業が陥りがちな「コングロマリットディスカウント(1+1が2未満になる状態)」を引き合いに出し、「我々の場合は単なるコングロマリットではなく、極めて大きなシナジーがあるグループサービスだ。1+1が2以上に極大化していく」と力説した。

 その言葉を裏付けるように、複数サービスを利用するクロスユースの状況は好調に推移。楽天エコシステムの新規利用者は、サービス利用後にクロスユースによって4.6倍のサービスを利用する傾向があるという。さらに、1つのサービスのみを利用するユーザーと比較して、3セグメントを利用するユーザーは年間売上が13.5倍に達するなど、LTV(顧客生涯価値)の最大化に大きく貢献している。

 また、2026年10月の効力発生を目指して協議が進められているフィンテック事業の再編についても言及。楽天カードや楽天銀行、楽天証券などの連携を深めることで、数百億円規模の財務シナジーや、個人・法人顧客基盤の最大化を見込んでいる。

AIエージェントを全サービスへ展開、独自のデータ資産を武器に

 楽天グループが今後の成長の柱として位置づけるのが「Rakuten AI」の展開。

 Chief AI & Data Officerのティン・ツァイ氏は、「楽天はAIの力で人間の創造力を高めるというビジョンの実現に向けて日々取り組んでいる」と語る。同氏によると、楽天はオンラインとオフラインを合わせて1000万以上のタッチポイントと、年間3兆回を超えるインタラクションから得られる膨大なデータを保有している。この独自のデータ資産が、他社AIによる代替を防ぐ「防護壁」になるという。

Group CAIDO(Chief AI & Data Officer) ティン・ツァイ氏

 楽天は現在、従来の専門特化型エージェントから、エコシステム全体を横断する「スーパーエージェント」への進化を進めている。すでに「楽天市場」や「楽天トラベル」など11のサービスにおいてAIエージェントの提供を開始しており、さらに開発中や導入計画中のものを合わせると、将来的には50以上のサービスへAIエージェントを展開する計画。

 ティン氏は「楽天エコシステム全体でAIエージェントの構築、テスト、展開を迅速に進めている」と述べ、AIを活用したパーソナライズとユーザー体験の向上によって、さらなる成長サイクルを回していく展望を示した。

主な質疑応答

――2019年以来、7年ぶりの営業黒字化となった率直な受け止めと、第1四半期が好発進となったことを踏まえた通期の業績目線について教えてほしい。

三木谷氏
 楽天モバイルという非常に壮大なプロジェクトに挑戦する中で、ユーザーの反応や楽天グループのエコシステムへの浸透により、顧客のLTV(生涯価値)が上がっていることがようやく顕在化してきました。

 当然喜ばしい結果ではありますが、これを継続していく必要があります。今後のさらなるAI活用による収益性の大きな改善や、新規獲得の好調、フィンテックグループの再編を含めた要素、そして極めて健全なバランスシートなどを考慮すると、これからの四半期およびその先に関しても大変大きな収益増が期待できると自信を持っています。

――楽天モバイルについて、U-NEXTに続くような他社サービスと紐づけた新しいプランは考えているか。

三木谷氏
 現在はセキュリティが大きな問題となっています。「オレオレ詐欺保険」はシニア層に非常に好評で、特にシニア層や子供向けのサービスについては拡充していきたいと考えています。

 コンテンツのバンドリングなども相手があることですが、できるところがあれば前向きに進めたいです。これからは単に繋がるだけでなく、セキュアに繋がる、詐欺を防止するといったことが極めて重要だと考えており、その領域を強化していきます。

――インフラコスト等で他社が値上げに動いている中、今後の値上げに関する方針を教えてほしい。

三木谷氏
 価格については戦略的な部分もあり言及は避けますが、我々は後発であり他社に比べてマーケットシェアもまだ小さいため、総合的に判断しながら長期的に考えていきたいと思っています。

――先日のKDDIの決算で松田浩路社長がローミング契約についてコメントしていたが、それに対する受け止めやコメントがあれば教えてほしい。

三木谷氏
 まずKDDIには多大なるご協力をいただき、本当に感謝しています。

 通信サービスは国の財産である周波数をお借りして提供しています。海外の何兆円というオークション費用に比べ、我が国では基本的にエンドユーザーの観点からそれほどの使用料を払わず国民のサービスとして行っています。法律も一番は「ユーザーに迷惑をかけない」ことをベースに構築されており、我々もそのような関係でKDDIさんと一緒にやってきました。

 競争はあるかもしれませんが、一番重要なのはユーザーに迷惑をかけないことであり、KDDIにもご理解いただいているのかなと考えています。

――物価高により消費者が防衛的になる懸念がある。物流業界でも人件費や輸送コストの高騰で大変な状況にある。これらに対し手を打つとなるとECのコスト上昇や消費モメンタムの低下が予測されるが、見立てと今後の打ち手について教えてほしい。

三木谷氏
 インフレになった際、ひとつはネットの価格有利性がどれくらいあるかがポイントになるとおもいます。よりネットで購入しようという動きになっていくと考えており、我々も取引回数がしっかり増えていることを確認しています。

 もうひとつはAIによる成長要素です。AIによって各種サービスやプログラミングなど、大幅なコスト削減と効率化が可能になります。また、顧客の購買体験も従来の検索ボックスから、対話型のコンサルティング的な検索に変わることで、よりニーズを満たせるようになると思います。

 楽天グループとしてはエコシステムが統合的に機能しており、広告収入も増えています。ハイパーインフレにならない限り、マネージャブルなインフレの範囲内であれば我々にとって有利に働くと考えています。多少のコスト増があったとしても、AI化による効率化で十分に吸収できる範囲だと思っています。