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ドコモ、XR事業の新会社「NTT コノキュー」設立

 NTTドコモは、XR事業の推進を目的とした新会社「NTT QONOQ」(コノキュー)の事業を10月1日から開始する。

NTT コノキュー 丸山氏

XR専業の会社を設立

 NTTコノキューは、個人・法人に対して、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)などのXR(Extended Reality)を用いて、メタバース・デジタルツイン・XR デバイスの3つの事業を展開する。

 社名の中に入る文字「QON」は、「Quest Over Network」の頭文字。あらゆる高度なネットワークを活用し、暮らしに溶け込むXRの世界を探究するという意味が込められている。また、「N」を軸に左右対称にしてネットワークを軸に仮想とリアルを行き交う様子を表しており、はじまりの合図である「キュー(Q)」がXRの時代のスタートを象徴するという。

 同社代表取締役社長に就任した丸山誠治氏が発表の場に登壇。XRの技術について「これまでできなかった表現や体験の可能性を広げる。コミュニケーションの形態に変化をもたらし、生活を豊かにする」と説明し、期待感を明らかにした。

 NTTの「Door」など、グループ各社が手掛けるXR系のサービスは、販売チャネルはグループ各社のものを活用しつつもコノキューに集約されることとなる。

 丸山氏は、XRについて「まだ市場が確立していない」として、広告やコンシューマーからの課金などビジネスモデルについては「非常に柔軟に考えている。ユーザーに価値を感じてもらいかつ、快く支払っていただけるモデルをつくりたい」と語った。

 独立会社とした理由については「XRはアーリーステージのビジネス。さらに柔軟性を高め、機動的な事業にしたい」と狙いを説明。XRはドコモのスマートライフ事業の柱のひとつと位置づけ、さらなる事業強化を図る意図を示した。

メタバース事業

 メタバース事業では、バーチャル空間ならではのコミュニケーションを楽しめるマルチデバイス型メタバース「XR World」の提供やリアルタイムのバーチャルライブを可能とする「Matrix Stream」などバーチャルアーティストのためのステージを提供する。

 10月5日からは、XR World内で「AKB48 SURREAL Theater」内でリアルとバーチャルの混合ユニット「AKB48 SURREAL」が活動を開始する予定。オリジナル楽曲「わがままメタバース」がXR Worldのテーマソングとして起用されている。

デジタルツイン事業

 デジタルツイン事業では、パートナー企業のエリアにおいてスマホをかざすとその場所に沿ったAR コンテンツが表示され、エリアへの回遊促進や店舗誘客などを実現する「XR City」を中心に、現実世界と仮想空間のシナジーによる新しい価値の提供を目指す。

XRデバイス事業

 XRデバイス事業では、自社デバイスを開発しメタバースとデジタルツインの両事業と一体で顧客体験や価値を提供する。

 具体的なかたちは現時点では明らかにされていないものの、丸山氏は軽量なグラスタイプを作りたいと説明。外部企業とのパートナーも視野に入れながらデバイスの開発を進めていくという。現在はドコモでもXRデバイスを販売しているが、今後はコノキューが中心に取り扱う考えを示した。

今後の展開は?

 今後の展開として「XR World」のパートナー企業とコンテンツの拡大、「XR City」でのエリア拡大・AR コンテンツ追加、法人向けのオフィスソリューションなどの展開を予定しているという。

 また、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の夢洲会場をオンライン空間上に3DCGで再現する「大阪・関西バーチャル会場」の実現に貢献するという。

 丸山氏は、今回の新会社スタートにあたって「世界中でいろいろなプレイヤーがXRに参入している。その中で我々は、XR専業の会社として『XRといえばコノキュー』と言われるような会社にしたい」と今後への熱意を示した。

左からAKB48 SURREALの下尾みう、千葉恵里、SURRY(パネル)、小栗有以、山内瑞葵、倉野尾成美、コノキュー 丸山氏、同 マーケティング部門 担当課長 赤沼純氏