ニュース
ドコモ「XR City」を商用化、「街中でXR体験」を全国展開へ
2022年7月14日 00:00
NTTドコモは、AR技術を活用し街中でスマートフォンを使って「新感覚のあそび」を提供する「XR City」を7月14日10時から提供を開始する。屋内外の提供エリアで、通信キャリアを問わず、アプリをダウンロードしたユーザーのスマートフォンで「XR City」を利用できる。
提供エリア
サービス開始時点(14日)での提供エリアは、埼玉県庁(埼玉県さいたま市)、新宿中央公園(東京都新宿区)、Hisaya-odori Park(愛知県名古屋市)、HEP FIVE・ナビオ ダイニング・阪急三番街・阪急32番街 空庭Dining(大阪府大阪市)、神戸阪急(兵庫県神戸市)、淡路島公園アニメパーク「ニジゲンノモリ」(兵庫県淡路市)、キャナルシティ博多(福岡県福岡市)。
8月からは、東京ドームシティ(東京都文京区)、Hareza池袋と周辺地域(東京都豊島区)、三井ショッピングパーク ららぽーとTOKYO-BAY(千葉県船橋市)が加わり、合計10エリアで展開される。
展開コンテンツ
展開されるコンテンツは、ARを利用してSNS映えする写真や動画が撮影できる「ARフィルター」や、SCRAPとコラボした「謎解きコンテンツ」などを展開する。
このほか、SDGsがテーマのものや、ロールプレイングゲーム(RPG)、街歩きをしながらドラマのストーリーを楽しめる「街回遊コンテンツ」、ARでガチャが楽しめるコンテンツなどをラインアップしている。
また、他社の人気ゲームやキャラクターを使ったコンテンツも展開される。
コロプラの「白猫プロジェクト NEW WORLD'S」の期間限定コンテンツでは、同作品のキャラクターやオブジェクトなどがARで登場し、動くキャラクターやARのイベントなどを楽しめる。また、同作品のゲームアプリと連携し、特典がもらえるイベントも開催される。
ほかにも、「ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ」や、「チェインクロニクル」、「ファンタシースターオンライン2」とタイアップしたコンテンツを展開する。
コンテンツを体験してみた(写真24枚)
実際に、どのようなコンテンツが提供されるのか? 今回は一般公開に先立ち「XR City」のコンテンツを体験してきた。「XR City」の提供は、14日10時から開始される。
スマートグラスが当たり前の「グラススタンダード」が到来する?
NTTグループ内で、ドコモはXR事業を3本柱の格好で展開していると説明するのは、ドコモ スマートライフカンパニーXR推進室 担当部長の岩崎 正典氏。
岩崎氏は、「VR・メタバース」「AR・MR」「法人向けソリューション」の3本柱で展開しているとし、今回の「XR City」は「AR・MR」の領域で中核を担うサービスだと説明する。
今回の「XR City」では、スマートグラスなど特別なものを利用せず、ユーザーが普段使っているスマートフォンで利用できる。岩崎氏は「AR・MR領域では、近い将来、スマートグラスを常時装着するグラススタンダードの時代が訪れる」と分析。今回の取り組みでは、「グラススタンダードの時代を見据えて、AR・MRの普及浸透のためのサービスとして、スマートフォン向けのアプリとして開始させる」としている。
場所を限定しないコンテンツも展開
岩崎氏は、「XR City」のARコンテンツについて、場所を限定しないコンテンツも展開すると説明。先述のARフィルターもその一つだ。
これにより、TPOにあわせてたとえば屋内での撮影や、仲間同士での協力プレイ、自宅で楽しむコンテンツなど幅広いシーンで利用できるコンテンツが展開されるという。
ビジネスとしてパートナー企業と連携
ドコモは、プラットフォームとして「XR City」を展開するが、コンテンツを提供する事業者や、体験できるエリアを提供する事業者にも大きなメリットがあると説明するのは、ドコモ スマートライフカンパニーXR推進室 担当課長の吉田 悦郎氏。
「XR City」を使って現実の場所をこれまでにない新しいデジタルな街作りができ、エリア内の活性化や多様なデータの活用、ビズネス創出の機会が提供できるという。
コンテンツを提供する事業者には、コンテンツのテンプレートやツールを提供し、取得したユーザーデータを分析しマーケティング活動にもすぐに活用できるとし、「ARコンテンツの導入から、マーケティングの活用まで、ワンストップで実現が可能となる」(吉田氏)とアピールする。
「XR City」のエコシステムと今後の展開
岩崎氏は、「XR City」により「アプリユーザー」と「エリアパートナー」(場所を提供する事業者や社団)、「コンテンツパートナー」それぞれに価値のある「エコシステム」を目指すとコメント。
街の魅力向上と、それにより人が集まり、画期的なサービスビジネスが生まれていく「デジタルを活用した未来のまちづくり」にチャレンジしていきたいと岩崎氏はアピール。
今後は、2023年3月までに合計15エリア、2027年3月までに200エリア以上へ拡大したいとしている。
岩崎氏は「『日本全国でご利用いただける』というところを目指して、拡大していく」とコメント。
27年3月までに200エリアという数字について、岩崎氏は「極めて野心的に持っている。NTTとして『ポストスマホ』というところの事業を目指している」とした。
ドコモに利益はある? 主な質疑
――これまでの実証実験で生かされたものはあるか?
岩崎氏
お客様が、どのコンテンツをどれぐらいの時間プレイされてるかや、どういうふうに人の流れが出来ていくのかといったところを実態感として得られました。
これらを参考に、コンテンツの種類や配置を考慮しながら今回の商用サービスにつなげてきました。人が集まりすぎるという部分も含め、考慮のうえサービス設定できたと思います。
――「XR City」のプラットフォームからどうやって利益を得ていくのか?
岩崎氏
パートナー事業者様からサービスの利用料を頂戴します。
また、アプリを利用いただくユーザー様からも、今後リッチなコンテンツを展開して参りますので、一部有償のコンテンツもご紹介させていただく予定です。
このほか、「XR City」をメディアとして、広告を表示することで新しい広告体験を提供していく予定です。
――ドコモのほかの事業と連携する取り組みはあるのか?
岩崎氏
お客様に便利に使っていただくためには、ファイナンス事業との連携が必要だと思っております。
サービス開始時点では展開できていませんが、今後順次展開していくことを考えていきたいと思っております。
NFT技術についても、導入をしていくかと思います。