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【一問一答】なぜ長年見過ごされたのか、KDDI・2400億円架空取引の背景 質疑応答まとめ

 31日、KDDIは2月に明かされた子会社のビッグローブとジー・プランが関わる広告事業における不正還流取引で、特別調査委員会の調査報告とKDDIグループとしての対策や今後の方針を発表した。

 本稿では、記者説明会における質疑応答を一問一答形式でお届けする。

左=KDDIの松田浩路社長。右=KDDIの最勝寺奈苗CFO

なぜ長年にわたり見過ごされてきたのか

――なぜこのような不正が長年にわたって見過ごされてしまったのかが分かりにくい。KDDIのグループガバナンスにおいてどのような問題があったのか、なぜこんなに長い期間にわたってこの不正を見抜けなかったのか、どこに問題があると考えているか?

名取弁護士
 ひとつの大きな要因といたしましては、グループ全体としてこの事業に対する知見が非常に不十分であったということが非常に根本的な原因として挙げられると思います。

 今回の架空循環取引は、A氏らによって非常に巧妙に組み立てられており、しかもそれぞれの企業において疑問を持った方もいらしたわけなんですけども、知見の不足も相まってそこに納得してしまっていたということが重なっていたと理解しております。

――不正取引について。2025年の2月以降に経営戦略会議で髙橋誠会長(当時は社長)が指摘したということだが、きっかけはなんだったのか?

名取弁護士
 私からお答えいたしますと、2025年の2月の経営戦略会議で、当時の社長から懸念が示されたということです。特に何か基準のようなものがあってということではないと思われますが、非常にその広告代理事業の伸びが著しく、それがきっかけになり髙橋社長(当時)が懸念を持ったということだと承知しています。

松田社長
 少し補足しておきますと、マスタープランということで年度の計画を立てているわけですが、それにおける期初の計画とその進捗状況が、より大きく成長する形で出てきました。翌期の計画を承認する2月の会議の場でそういった指摘がなされて、その後に常勤監査役含めて少し動きを(調査)したという流れになっております。

――松田社長は、ビッグローブの利益が本業の通信と関係ない広告事業で伸びていたということ自体を、親会社のお立場としてはどう思っていたのか? 計画外だが伸びていることを良しとして温かい目で見守っていたのか、それがなぜ懸念に変わったのか?

松田社長
 少し先ほど申し上げましたが、今回の影響額自体はこの2年間で85%が集中する結果となっていました。本当にこの2年間の部分に伸びてきている中で、2025年2月の経営戦略会議の中での指摘があったんだと思っております。

 そうした意味では2つの目線があります。ひとつはしっかりとこれがコンプライアンス上問題ないのかということで、社内の常勤の監査役と内部監査のチームが一体となって動き始めたというタイミングです。

 それまでは、確かに期初の計画からは伸びつつあり、温かいというわけではないですが、しっかり全社として通信と新しい新規事業がうまく連携して、さらに新規事業も伸びるから通信事業も伸ばせるという、システムの更改だとかいろいろと新規通信の部分にも着手できておりましたので、そうした認識でおりました。

――原因のひとつがグループ会社に関する知見が不足していたということが大きいという話だが、ビッグローブはKDDIが過去に買収した会社。過去に買収した会社を含めて、同じようにグループ会社の中に知見がないという事業についてはどのぐらいあるのか? それについてはどのようにチェックするのか?

松田社長
 ビッグローブに関しては、通信、インターネット事業ということでかつて買収した事業です。先ほどの知見というところですが、知見と関心というのは表裏一体だと思っておりまして、知見がないからではなくてですね、関心を持たないといけないという風に思っております。

 私どもは「サテライトグロース戦略」ということで通信の周りの事業、たとえば金融や電気の小売など、そうした成長領域をこれまで関心を持って成長をさせてきている部分があります。当然ながらそういった新規事業に対する知見を蓄えて通信とのシナジーを生んでこれを成長させていくというのは私どももこれからも継続してまいりたいと思っております。

 一方で、先ほど申し上げた知見と関心ですが、関心がなかったことは非常に(今回の事案の原因として)大きいところだと思っております。ビッグローブからすると、通信が本業の中で今回の広告代理事業というものを新しく起こしました。これによって、どういう風に売上が伸びていくのかということに対する関心の度合が少なかったです。そしてKDDIからしても、ビッグローブの経営状況が伸びているという部分に対して、関心を持たなかったというところが大きな要因だという風に考えております。

――ビッグローブほどの規模の会社で、年間数百億円を社員2人で売上げるというのはきわめて優秀な社員ではないか? 事態が発覚する前までのビッグローブ内での評価はどうだったのか?

名取弁護士
 人事評価の詳細については、プライバシーの問題もありますので控えますが、確かに広告代理事業で極めて大きな利益を得たということで、社内の表彰を受けていたということはあったようです。

――最初に髙橋会長がコンプライアンスの懸念を表明したのが25年の2月。ちょうど松田社長が経営を受け継ぐタイミングだったと思うが、コンプライアンスの爆弾を抱えたまま経営トップになったが、松田社長はその件に関してはどう思われていたのか?

松田社長
 これはまさに2月中旬のタイミングなんですけれども、この指摘を受けてですね、KDDIの常勤監査役あるいはビッグローブの監査役とも、広告代理事業というものに対する監査をしっかりやるようにという指示が監査役の間でも出ておりますし、その後会計監査人と監査本部と連携してやっておりました。

 その後にさらに外部専門家を交えた調査というのも進めております。会計監査人の方からも指摘を受けるきっかけにもなっておりますので、そうしたところからここまでしっかりと調査がされてきたという風に認識をしております。

――社長に就任する時にも「解決するぞ」という意気込みがあった?

松田社長
 私が社長に就任して、いろいろな継承をさせていただいてる中のひとつの事案だと思っています。すごく成長する基盤ということはしっかりそれを受け継いで、今期の成長につなげてきているということができておりますし、そうした意味で今見ると負の側面というのも、その時にしっかり指摘があって動いてきているということですので、そうした意味では適切な形での指摘からここまで調査が進んできてるかな、という実感をしております。

――松田社長自身の経営責任については?

松田社長
 少し先ほどのスライドでも申し上げました通り、ジー・プランという実行主体、それからビッグローブという実行主体と子会社の監督責任、そしてKDDIというグループ全体を統括していかなければいけない立場としての監督責任、本当に私どもそこに非常に重い責任を感じております。

 一方で、この度の特別調査委員会によって、私やKDDIの社員、経営陣あるいはビッグローブの経営陣というところへの関与というのは認められておりませんので、そのあたりは、しっかりとこの今後のグループガバナンスとしての強化に対して、しっかり私が陣頭指揮を取ってやってまいりたいという思いです。

代理店の関与はあったのか

――今回見つかった不正広告は、ジー・プランとビッグローブのほぼ全取引(99.7%)が対象だったということだが、0.3%を除く全てが不正の架空の取引だったという理解でいいのか? 0.3%を除き、この事業においては成果物もなく広告主もいなかった、という理解でいいのか?

名取弁護士
 ご理解の通りでよろしいと思います。0.3%というのは売上高ベースですが、ここについては正規の取引先に広告主も掲載代理店もいて、成果物もあった取引でした。しかし、99.7%は架空です。広告主もおらず、掲載代理店もない、実際に広告物というのも存在しないというものでした。

――つまり、0.3%を除いて、ビッグローブとジー・プランで行われた広告代理事業の全てにおいて、数年にわたって2461億円の事業の顧客も成果物もなかったということか? そのような事業が数年にわたってどうして継続できたのか?

名取弁護士
 やはりこの広告代理事業で取り扱ったとされた事業が、アフィリエイト広告というある意味新しい形態のウェブ広告ということであったということもひとつ原因としてはあるように考えられます。

 特に知見の不足ということもありまして、役員の「実際どういうような形で広告が配信されているのか」というところに対しての知見が決定的に不足していました。発覚を免れるための(元社員Aの)説明に納得してしまったという面があったと思っております。

辺弁護士
 この広告代理事業のポイントは、直接広告主とやり取りしているわけでもないですし、広告が載る媒体とやり取りするわけでもなく、あくまで間に入って適切なところを仲介するという形で売上を上げていたというビジネスだということです。「直ちに広告にアクセスできるだとか、広告の成果物がどうなのかっていうところを確認できるものではないんだ」というような形で説明がなされていました。

 もちろんその中で直接広告の成果物を確認すべきであるとか、広告主について直接照会するべきだというご指摘があることは、我々調査委員会としてもそうだと思いますが、なかなか難しく、元社員AとBで、説明が巧妙になされていたというところがひとつのポイントであろうという風に思っております。

――間に入っている代理店が21社あったということだが、全て不正に関与してることを認識せずに関与してたという理解なのか、それとも元社員らのやってること理解した上でいわゆるグルになっていた会社はあったのか?

名取弁護士
 この調査においては、個別の取引先や代理店について、本件が架空循環取引であることを認識していたかどうかということについては必ずしも目的事項でもありません。徹底した調査が行われるわけではないという限界もあり、必ずしもその個社について認識があったかどうかというところについては、確定的な判断はしていません。認識がなかったと述べているところが大半です。

――不正だと認識していたところもある可能性があるということか?

名取弁護士
 我々のヒアリング調査に対しては、いずれの取引先についても架空循環取引であることを認識してはいなかったという説明をしております。

辺弁護士
 代理店の認識ですが、先ほど名取弁護士からお話がありました通り、我々の調査で「これグルでした」というか、全て認識して取引に入っていたということを認める代理店というのはなく、全て詳細を知らぬ間にこの取引に入っていたというところです。

 我々の調査は、当然任意の協力を得られる形で行う調査ですので、当然こちら側で入手可能なメールのやり取りであったりSNS上のやり取りは確認していますが、一方で代理店だけでやり取りしているようなものについて我々が提出を求めてもそれを拒まれるなどの事情もあります。

 全ての客観証拠を“神の目”で(俯瞰して)精査できているわけではありません。その意味で、任意の調査というところに制約もあることは確かですので、そういった前提のもとで我々が代理店の認識について確定的に評価をするということは適切ではないだろうという判断をしておりまして、この調査報告書ではその点について明記はしておりません。

 先ほど松田社長からお話があった通り、たとえば民事裁判であったり刑事告訴などの手続きの中で、その点の事実がより明らかになっていくということであると調査委員会としては考えている次第です。

――代理店は不正と認識してないということだが、代理店の協力なしにバレることなく不正な取引が続けられるものなのか?

名取弁護士
 確かにそういう疑問を持たれるという余地は大いにあると思っています。ただ一方で、元社員らにおいて下流代理店と上流代理店との間で直接接触を持たないようないろいろな工作をしていたということやそれぞれの間では、直接広告物や広告主の方に確認をするということが必ずしもされないという商慣行があったというようなこともあります。

 さらには手数料だけを引いて、資金を融通するという取引形態もこの種の取引の中にあったという実態もあり、架空循環取引という商流に入っていたということは客観的に認められても、それが直ちにその架空性の認識、循環性の認識についてあったというところまではなかなか認めにくいです。

 もちろんその会社によっては、かなり関与度合などに鑑みて架空循環取引であることを認識していた可能性もあるということは、松田社長からもお話になりました通り、我々としてもそういった認識は持っていますが、ただ確定的な判断には至っていません。

――今回代理店の中で、説明資料の中で下流から上流に資金が流れてる部分もある。これはやり取りの中で下流と上流が逆転する可能性もあるということか?

名取弁護士
 商流がたくさんありまして、その中ではある商流ではジー・プランなどから見て下流の代理店が別の商流では上流の代理店になっていたということもありました。下流や上流というのも、どこから見ての上流・下流かというところもポイントになっています。

 先ほど申し上げたのは、ビッグローブまたはジー・プランから見た上流・下流です。それをぐるぐると回すと、上流が下流になったり、下流が上流になったりするという現象も起きるということなんですが、いずれにしても上流にもなったり下流にもなったりというところは実態としてあったと判断しています。

――下流としても上流としても取引していた企業があったとして、それは共謀してその商流を装ったということにはならないのか?

名取弁護士
 そうです。共謀していたということではなく、たとえばジー・プランのところから見て下流に該当するところから、さらに客観的には上流に資金が流れているのですが、元社員らの説明では、上流という説明ではなくてさらに下流だとしている場面もありまして、認識の上では直ちに不正が出てくるということではないということでご理解いただければと思います。

――最初のきっかけが元社員Aの焦りだったとしても、その後関わった代理店については「この取引に関われば必ず儲かる」というような認識があったように見える。

名取弁護士
 それはご質問の通りでの理解で正しいと思います。特段、広告制作物というのを作るわけでもありませんし、資金を回すことによって手数料が入ってくるというものですので、関わった会社というのは、結果的にはこういう手数料がどんどん入ってくるというような仕組みになっていたということです。

辺弁護士
 動機のところ私からも補足させていただきますけれども、(当初の動機となる)数十万円の赤字(補填)や最終的な金額とのギャップはおっしゃる通りです。

 そこはあくまで開始の動機であり、そのころの金額規模は数百万ほどと、全然直近のものとは金額が違います。それで取引を繰り返すことによってどんどん金額が膨らんでいってやめられなくなってしまった。

 社内的には表彰もされて「自分が打ち立てたビジネスでまさに成功してるんだ」というような状況になっていく中で、止められなくなったというところが後半の動機としては強いと思うので、そこは区別して議論するということが適切だと思います。

――一番最初に架空の広告を受注し、お金をジー・プランやビッグローブに流す還流のスタートの地点があるはずではないか?

名取弁護士
 始まりのところは、実は必ずしも全部解明できているわけではありません。少なくとも2018年8月からということで、ここにもやはり広告の成果物というのはなくて、最初に資金を動かすというところから始まっています。その後の循環の取引と実質的に同じ形でスタートしています。


――反社会的勢力の関与については疑われないのか?

松田社長
 もともと先ほど与信の話がありましたが、こうした反社会的勢力に対する取引先のチェックというのは全て実施をしておりまして、かつ複数のデータベースとシステムを用いて実施しておりまして、確認されたものは代理店ではありませんでした。

名取弁護士
 与信管理の中で反社チェックというのはやっておりまして、そのチェックは済んでいたと。で、今回改めて反社チェックをされたという風に会社から報告も受けておりますし、それから調査委員会の方でも関係者のヒアリング、それからデジタルフォレンジックで色々な文書、電子データも含めて確認したところでして、その中で反社会的勢力と認められるような取引先は確認できませんでした。

「焦り」が原因、元社員の動機と社内風土

――元社員Aの動機は、売上や利益を改善できなければ事業から撤退しなければいけないプレッシャーがあったということだが、KDDI本体から新規事業に対して何か過度なプレッシャーのようなものはなかったのか?

松田社長
 調査委員会の方からも、過度なプレッシャーがあったとは認められておりません。自分自身が企画して提案した広告代理事業が、鳴り物入りでやってみたけれども数十万の赤字を出してしまったということが発端になり、それを「焦り」と表現しております。

 (KDDIの)経営戦略を牽引するような事業ではなかったということも申し上げましたが、そうした意味では、KDDIとしてはプレッシャーは与えていなかったという風に考えております。

辺弁護士
 この種の事案で、業績について過度なプレッシャーを会社がかけていて、それが原因になって問題行為に及んでしまうということが問題となるのは、およそ達成不能・非合理な目標を会社が設定しているであったり、あるいは目標達成しない場合に会社の上位の方からハラスメント的な追及がなされるという場合です。

 しかし、今回の調査ではそういった事情は確認されておりませんで、もともと問題となった目標も達成可能なものであったと考えております。達しなかったからといってジー・プランなどでハラスメント的な追及がなされていたわけではないと考えておりまして、その観点から私どもとしては、元社員Aの焦りを原因の主なものとしてあげています。

――最初のきっかけが元社員Aの焦りであったというのは、納得できる。今回の事案、中期戦略などにはリンクしてなかったというが、社内風土としてマスタープラン必達な雰囲気があるのではないか。こういった影響があったのか?

松田社長
 私どものグループ全体にも言えますが、やはり事業会社である以上は、しっかりその事業計画、高い目標を持ちながら立てて、それに向けて動いていくというのは当然ある行動だと思っております。

 過度なプレッシャーは、達成不能や非合理な目標設定あるいはそれに対するハラスメント的な追及がなされるというようなことのご説明を、先ほど調査委員会からいただいたと思っていますが、私どもの方はそういった高い目標を持って事業を回していくんだというものは、事業会社である以上はやっていくべきことだと思っております。

――プレゼン中で稲盛和夫氏が残したフィロソフィーの話があった。そのフィロソフィーの浸透に何か不十分な点があったとすればそれはどういったところなのか。仮にフィロソフィーがしっかりグループ会社も含めて浸透定着できていたとすれば、どんな会話があってどういった形で未然に防げたと思うか?

松田社長
 「事業の目的意義を明確にする」ことを今回の広告代理事業と照らし合わせて考えてる時にどうなのかとかですね、フェアプレイ精神を貫くっていう言葉についても、これはどういう利益の上げ方作り方をしてるかっていうことを考えてみればですね、自ずと本来であれば少しそうしたところに対する抑制が効くという風に考えております。

 ただ、それをやるにあたっても、そうしたものを浸透させるような雰囲気ができていなかったというのが今回の課題だと認識しましたので、先ほど申し上げた「ウェットな関係性」というものを、もう少しグループ内でも構築していかなければいけないと感じた次第です。

――フィロソフィー教育が形骸化しているのではないか。稲盛氏が亡くなって随分と経ち、社内で過去の人になってしまっているといった背景があり、浸透しづらくなっているのか?

松田社長
 そちらについては全くなく、今の私たちとしては、それこそがコンピタンス(強み)だと思っておりますので、それをしっかりと継承していくということは根付いてきてると思います。じゃあそれが縦のラインで本体とグループ会社の間においてどういった形で自分ごと化をして浸透してたかというところに、もう1つ課題があるという風に認識しました。

財務諸表の不自然さになぜ気付けなかったのか

――最勝寺CFOは、立場的にジー・プランとビッグローブの財務諸表も見ていると思う。貸借対照表などに違和感があることもあるのではないか。違和感を持つような不審な点はなかったのか?

最勝寺CFO
 私どもの方で確認することは可能でしたが、実際我々が検証していたのはビッグローブ全体で、広告事業に特化した形ではなかなか見れていませんでした。

 ビッグローブ自体も非常に好調でしたが、その際になぜそれが伸びているのか、広告事業がこれまでと少し違う事業であるといったところに、危機を察知してより、突っ込んだ指摘をすることができなかった点につきましては反省をしております。

 さらにどちらかと言いますと、損益計算書の方はしっかり見ていましたが、特に子会社・孫会社の貸借対照表まではなかなか確認ができておりませんでした。この辺りも今後の再発防止の中で、孫会社も含めた各社の損益計算書や貸借対照表、キャッシュフローを組織として見ていこうということで検討をすでに始めております。

――2023年3月期のビッグローブの流動資産が339億円。その翌年に535億円になって、さらに翌年には1192億円。とんでもない規模で流動資産が増えている。不審に思う点はあったのではないか?

最勝寺CFO
 おっしゃる通りです。実際この辺りの個社の細かな部分までなかなか目が行き届かなかったというのが正直なところです。この辺りは真摯に反省しています。

広告事業からの撤退と今後のグループ再編・業績への影響

――ビッグローブとジー・プランの広告代理事業について、一部の報道で撤退というような報道もあるが事実か?

松田社長
 この広告代理事業については今後は再開する予定はありません。

――ビッグローブの今後について。通信事業としてはきちんと実態がある。今後もビッグローブのブランドのまま残るのか、それとも今後再編の可能性があると考えるべきなのか?

松田社長
 ビッグローブの事業については、非常に通信に対しては信頼も置いておりますし、事業として確立しているものですので、ここはしっかりやっていきたいと思います。

 一方で今回課題になった部分、ガバナンス部分もありますので、社外取締役としても最勝寺CFOがしっかり入っていきますし、常勤監査役も2名体制ということで、その辺りは不足している部分をしっかり強化していくということでやってまいりたいと思います。

――ジー・プランのGポイント事業についてはどうなるのか?

松田社長
 Gポイントの事業というのは今回の広告代理事業とは全く別の部門で行われてるものです。またGポイント自体はお客様にもお使いいただいているところもあるので、こちらについては継続するつもりです。

――モバイル事業の戦略見直しに関わるところについて。来期から適用という話だが、2月の会見の時には話がなかったと思う。方針を変更した理由とタイミングを教えてほしい。

松田社長
 本件については、もともと我々の方針をシフトしていくということは、もう考えていたものです。2026年度からは会計処理を変更しますが、これまでのものについては第4四半期に減損しようと思っていた部分もあります。そういった意味では、ずっと考えていたものを、今回の修正のタイミングで出させていただいてるということです。

――KDDIグループの事業の多角化や今後の成長に関して。今後何か考慮する点であったりとか体制として変更する点があれば教えてほしい。

松田社長
 重要な点として、しっかりと(各社の事業に)関心を持たなければいけないということがあると思いますが、私どもこれまでも新規事業を立ち上げてきています。それを成長領域として定義してやってきておりますので、それにおける知見や専門性についてはしっかりと拡充した上で通信とのシナジーを生んでいく、それが我々の基本形だと思っておりますので、ここはしっかりこれからもやり続けていきたいと思っております。

 その際、今回の広告代理事業のように少し関心の度合が薄い、あるいは理解をしにくいというものについては、しっかりと補強していかなければいけないと考えております。