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KDDI、モバイル事業が成長加速 ARPU上昇と解約率低下が鮮明に
2026年2月6日 22:02
KDDIは6日、2025年度第3四半期の業績説明会を開催した。子会社における不適切な取引の疑いが判明し調査が進められる中、通信サービスへの影響はないとしつつ、モバイル事業は「構造変革」が実を結び、成長フェーズへ移行しているという。なお、同社では子会社の不適切取引を受けて、決算短信の発表を延期。本稿で紹介する業績は、参考値となる。
モバイル収入が底打ちから成長加速へ
今回の説明会の最大のトピックは、主力であるモバイル事業のV字回復。2023年度に底を打ったモバイル収入(パーソナルセグメントベース)は、今期に入り成長が加速。第1四半期から第3四半期の累計では、前年同期比で約299億円の増収を記録した。
この成長を支えているのは、これまでの過度な販促競争から、LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)を重視した戦略への転換だという。
「価値づくり」戦略が奏功、ARPUが上昇
KDDIは、単なる通信プランの提供にとどまらず、金融サービスやエンターテインメント、「Pontaパス」などを組み合わせた「価値」の提供に注力している。
ARPU(客単価)は、複数のブランド間(auとUQ mobileなど)の移行がスムーズになり、特にUQ mobileからauへの上位移行によるARPU押し上げ効果が出ている。第3四半期の連結ARPU(総合ARPU)は前年同期比で190円プラスの4550円となり、着実な上昇傾向を示しました。
付加価値の提供として、金融・決済取扱高の増加や、Pontaパス会員の純増(+約35万会員)、Netflixパックの好調などがARPU上昇に寄与している。
長期利用を促進、解約率が低下
「つながる体感」の向上や、端末セット販売の推進により、顧客の契約期間が長期化している。
スマートフォンの解約率は前年同期比で改善傾向にある。特にUQ mobileでは、端末セット契約者の契約継続率がSIM単体契約者に比べて高く、ARPUも約3割高くなった。
「つながる体感価値」の向上に向け、5G SA(スタンドアローン)エリアの拡大を進めており、2026年3月期末には人口カバー率90%超を目指すとしている。また、能登半島地震などの経験を活かし、Starlinkやドローンを活用した災害対策も強化している。
主な質疑応答
――NTTドコモの前田義晃社長が、前日の決算説明会で、MNPを巡り競争の激化を語っていたが、KDDIとして新規顧客獲得を緩めていることはあるのか。
松田社長
販促費でいうとフラットです。昨年度に比べて過剰に使っているわけでもありません。端末の買い替えプログラムに関するものも、うまくバランスを取らなければならない中で、過年度の販促費はプラスに転じてきています。
――スマートフォンの純増数が他社に比べて控えめな数字だが、受け止めは。
松田社長
ここは構造改革とともにバランスを取っていかなければならないと思います。スマートフォン稼働数は、今年度末で3340万台という目標値を出していましたが、第4四半期はもう少し増えると見ています。ここを過剰に取りにいくよりも、LTVに寄与する方に振り向けています。ここだけを見て数字を上げようとしているわけではありません。
――買い替えプログラムはうまくコントロールできているのか。総務省で見直しの検討が進んでいるが、KDDIも変える可能性があるのか。
松田社長
非常にバランスが取れて、コントロールできているというのが第一印象です。これまで少し苦しんでいたため、今はコントロールできる範囲になってきたと考えています。我々としても新しい端末や機能をお届けしたいと考えているため、バランスを見定めながらやっていきたいと思います。
――コントロールとはどういうことを行っているのか。
松田社長
コントロールというより、ユーザーから持ち込まれて新しいものに買い替えたいという動きについて、過年度に見通しを見誤っていた部分があったと思います。そこをアジャストし、計画をもとにつくり上げています。そうした意味でのコントロールです。
――昨年、楽天モバイルが1000万契約を超えたことと、ローミングの期限を迎えることについて方向性を聞きたい。
松田社長
他社に関することなので受け止めは控えます。ただし、楽天モバイルとは「競争と協調」でで取り組んでいます。その中で、今年9月に迎えるローミングをどうするかについて協議しています。
先日、楽天モバイルで通信障害が発生した際には、かなり我々の方にトラフィックが来ていたことを確認しています。逆に言うと、エリアが重複していることを示しており、そうした部分は順次切っていく考えです。そのため、作られた部分は順次停波していきます。
――Netflixの加入者が9倍になったとあるが、auへの影響はどのくらい実績を得られたのか。LYPプレミアム with Netflixの影響をどう見ているのか。
松田社長
サブスクぷらすに加入いただくと最大5カ月無料になるキャンペーンで、auとUQ mobileのユーザーにしっかり入っていただいています。Netflixの商品力で入っていただいている部分もありますが、しっかり使い続けてもらうことが大事だと考えています。これを継続して、「長く使っていただく」ことにつなげたいと思います。
そうした点では、他社のプログラムとはユーザー層などが違うのではないかと見ています。
――NTTドコモが基地局数で2026年度中に追いつくとの見通しを示した。設備投資についての考えを教えてほしい。
松田社長
エリアは競争の源泉だと思っているので、しっかり取り組み、第三者評価機関で勝ち続けていきたいと考えています。
投資額については、5G基地局はしっかり投資して作り上げてきたため、少しピークアウトしています。その分、新しいAIインフラなどに振り分けることで、全体としてはフラットになるという考えです。
――他社が今年中に衛星通信を始めるが、1年先行しているアドバンテージがあると考えているか。もしくは差別化施策を考えているのか。
松田社長
お楽しみに、ということになりますが、Starlinkにしてもエリアにしても、今すぐお届けしたいという思いで進めてきました。この期間のアドバンテージについては、他社をあまり意識せず、フロントランナーとして進めていきたいと考えていますので、ご期待いただければと思います。





