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KDDIスマートドローン、「Starlink連携」や「ドローンスクール開設」を発表

 KDDIスマートドローンは、Starlinkとスマートドローンを活用し、携帯回線圏外の場所で遠隔自律飛行を実現する取り組みを発表した。

 12月5日に改正航空法が施行され、有人地帯でのドローンの目視外飛行などが可能になることを踏まえたものとなっている。

Starlinkを活用し「圏外で遠隔飛行」を実現

 山間部や島嶼部においては、集落では携帯回線が利用できるが集落と集落の間や、集落のない場所では、携帯回線が利用できない場所が存在する。

 これまでのドローン遠隔制御には、携帯回線を使用しているためこれらの圏外となる地域では遠隔制御などができなかった。

 今回の取り組みは、Starlinkを使ってau基地局を開設し周辺をエリア化することで、山間部などの工事現場などこれまで遠隔操作ができなかった場所で利用できるようになる。

 KDDIスマートドローンでは、遠隔操作や基地局開設などをまとめて提供する。

 Starlink活用のメリットとしてKDDIスマートドローン 代表取締役社長の博野 雅文氏は「人が入っていない山間部をルート設定できるため、かなり有効な手立てになる」と説明。

 設置に関する費用については、個別に算出するため予想は難しいとしながらも、設置にかかる時間については「一概に示すことは難しいが、ネットワーク関係に関わっていた経験上、基地局の建設にはバックホールの確保が難しく時間がかかっていた。(ここを、Starlinkで解消できるので)、これまでよりも時間としてかなり短縮できると思っている」と考えを示した。

KDDIスマートドローンの博野 雅文社長

スマートドローンアカデミーの開設

 また、新たな取り組みとして「KDDIスマートドローンアカデミー」を開設する。同社の実績や経験、ノウハウをもとに専門性の高いドローンを活用するためのスキル習得を目的に、カリキュラムを提供するという。

 国家資格である「一等無人航空機操縦士」「二等無人航空機操縦士」を取得できるコースのほか、「鉄塔点検」や「外壁点検」、「撮影」、「洗浄」、「物流」、「運航管理」、「教育」といった領域に特化した専門コースを用意する。

 直営のアカデミーとして、栃木県小山と千葉県君津に開設するほか、全国のパートナースクールと連携し、同社の認定コースを受講できる体制の構築を目指す。博野氏によると、現在は5~10校のスクールと、提携に向け検討を進めているという。

法改正により、有人地帯の目視外飛行が解禁に

 12月5日の改正航空法の施行により、これまで飛行できなかった「有人地帯の目視外飛行」(レベル4)について、ドローンの認証「第一種機体認証」や操縦士の技能証明「一等操縦者技能証明」、個別の許可承認を取得することで飛行できるようになった。

 また、これまで個別の許可が必要だった「無人地帯での目視外飛行」(レベル3)について、第二種機体認証と二等操縦者技能証明があれば、個別の許可承認なく飛行できるようになった。これにより、目視外飛行の普及がますます進むという。

 目視外飛行では、山間部や島しょ部などで長距離のドローン配送や、複雑な構造物の自動/少人数での点検、現場に人を派遣しなくても点検や監視ができる。

さまざまなソリューションで事業拡大を目指す

 国内のドローン市場規模は、2021年度に2308億円、2022年度予測で3099億円、2027年には7933億円との予測がでており、今後もドローン市場が拡大することが予測されている。

 KDDIスマートドローンでは、遠隔操作や自律飛行ができるドローン運行のシステム構築や、物流や点検監視領域などでのオペレーション実績を積み重ねてきた。

 近年では、地域配送を効率化する「AirTruck Starter Pack」を共同で開発し、陸送と組み合わせて最適な物流の構築を目指している。

 点検監視領域においては、たとえば国道1号線のバイパス工事で、地下でトンネル工事を実施している地上部の点検業務にあてられているなど、公共工事の領域でも活用されている。

 目視外飛行の取り組みとして、日本航空とKDDIと連携し目視外飛行を前提とした運航体制の構築を進めており、1人のオペレーターが複数の機体操作を行う「1対多運航」を目指して取り組みを進めているという。

 博野氏は、ドローン事業のビジネス性について「正直言うと、ドローン単独で経済性をあわせるのは難しい」とコメント。「陸送との組み合わせや1対多運航が実現できれば」とし、さまざまなソリューションとの組み合わせで事業拡大を目指す考えを示した。