スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

「Google Pixel 8 Pro」はAIもカメラも愉快! ちょっと別格な一台かもかも

 AI機能がすごーい! と話題のGoogle最新スマートフォン「Google Pixel 8」シリーズ「Google Pixel 8」「Google Pixel 8 Pro」の2機種がラインナップされているが、俺の場合は「Google Pixel 8 Pro」を購入した。

「Google Pixel 8 Pro」は3色展開だが、キャンディカラーっぽい色「Bay」を買った。とてもイイ色で満足。

 容量256GBの「Google Pixel 8 Pro」をGoogleストアで買ったが、ストア価格は16万9900円。ただ、下取りに出した「Google Pixel 7 Pro」の額が7万100円となったので、差し引き9万9800円となった。また、5万円のストアクレジットがプレゼントされたので、これも差し引きすると4万9800円で買えたことになる。

手にした感じは、それまで使っていたGoogle Pixel 7 Proとそーんなに変わらない。ただ背面がマット質感になったのはちょっと新鮮。

 あと、Googleストア全品に使える1000円引きクーポンがメールで届いた。また、「Google Pixel 8 Pro」本体といっしょに機種限定の2500円割り引き券が送られてきたりもした。さらに限定Google PixelポーチとGoogle創立25周年ピンバッジも送られてきた。

ピンバッジも送られてきた。「Google Pixel 8 Pro」がちょうどよく入るポーチも。ポーチはGoogleロゴ入りの布袋に入っていた。

 いろいろくれるGoogle先生。でも、なんかクーポン持て余しそう……。

 さておき「Google Pixel 8 Pro」、2023年10月8日に注文し、10月12日に手元に届き、現在までの約2カ月弱使ってきた。率直な印象を言うと「iPhone 15 Pro Maxより優れている箇所がけっこうある」という感じ。

 また一瞬、「Google Pixel 8 Proをおサイフケータイ対応のメインスマートフォンとして使おうかな」とか思ったものの、「やっぱiPhone+iPad+MacのAppleエコシステムから抜けられないニャ」とも思った。てなわけで今回は、俺にいろいろ思わせまくりの「Google Pixel 8 Pro」を2カ月弱使ってきた印象を書いてゆきたいッ!!!

AIスマートフォン、おもしろ~い♪ すっご~い♪ ツカエる~♪

 まず「Google Pixel 8 Pro」についての概要から書こうと思ったが、既に概要もレビューも出まくりの「Google Pixel 8 Pro」。概要は公式ページをチェックしていただくことにして、「「Google Pixel 8 Pro」のどこが良かったか」について書き綴ってみたい。

 使い始めて速攻で良かったのは、GoogleのAI。チップセットとして搭載されているGoogle Tensor G3は、Google独自のもので、AIの機械学習処理が得意。それを活かしていろいろなAI機能を搭載しているのであった。

 具体的には、動画のなかの雑音や不要音を消してくれる「音声消しゴムマジック」とか、通話中の音声を明瞭にする「クリア音声通話」とか。Google Pixel 7シリーズの頃からある、画像中の不要物を消してくれる「消しゴムマジック」も健在。

 そんなGoogle AIのなかで、購入直後からいま現在まで楽しめているのが「編集マジック」。静止画編集をAIが手助けしてくれる機能で、画像生成AI技術が使われている。

(1)「Google Pixel 8 Pro」のフォトアプリから写真を1枚選び、「編集」に入る。左下に見える色付き丸アイコンをタップして「編集マジック」を開始する。(2)処理対象を囲んだり塗りつぶしたりして選択。ペットボトルが選ばれた状態だ。(3)ペットボトルのサイズや位置を変えて処理を進める。(4)すると指定したサイズ・位置にペットボトルが現れる。ペットボトルがあった元の位置は、AIが背景を生成して自然に仕上げてくれる。なお、編集マジックで処理したい写真は、「Google Pixel 8 Pro」で撮影したものに限られるわけではなく、フォトアプリ上に保存されていれば何でもOK。
こちらは猫を選択しサイズを変えて移動したもの。猫がいた元の位置は地面が生成されて自然な見栄えになる。消しゴムマジックでも似たことができるが、消しゴムマジックの消し方はもうちょっと雑で不自然なことがある。
編集マジックではAIが空を自動認識し、空を描き変えることができる。これは「ゴールデンアワー」を選んでの「空の生成」。4パターンの空が生成され、好みのものを選んで保存することができる。気に入らなかったら再度生成させることもできる。生成枚数などは前出のペットボトルや猫の例も同様で4パターンだ。
こちらはカテゴリーが少し異なる「ツール」の「ベストテイク」だ。右のヒト~、目を見開き過ぎですよ~。AIが同じ人の別の顔をフォトアプリから見つけてきてくれる。これならOKと思える顔写真を選ぶと、顔が自動的に合成される。この機能は1人以上の人間が写っている写真で、同じ服など顔周辺が画像的に近いものが「合成対象の顔」と判断されるようだ。

 編集マジックは、画像生成AIが活躍する機能。「Google Pixel 8 Pro」上で生成されているようで、10~15秒ほどの生成待ち時間があるが、多くのケースで非常に自然な画像を生成し、写真上に自動合成してくれる。

 写真内にある「写っていてほしくない対象を消す機能」として「消しゴムマジック」がある。あの機能は消す対象が大きいとか、対象の周辺が複雑だとかだと、キレイに消えないことが少なくなかった。

 一方、編集マジックでは、たとえば風景のなかに大きく人物が写り込んだ場合、人物を選択して縮小などして画面外に移動してしまえば人物を丸ごと消せる。人物がいた位置には背景を作り出して「人物なし写真を生成・合成」してくれる。
 画像生成AIの「Adobe Firefly」を搭載している最新のPhotoshopでも同じようなことができる。だが、「Google Pixel 8 Pro」だとアプリの使いこなしもほぼ不要だし、スマートフォン上で短時間でこういう生成と合成ができるのは非常に愉快だし実用性も高い。

 こういう楽しさと平易さ、そして高い実用性を感じてしまうと、「Google Pixel 8 Proは別格・別次元のスマートフォン」と思ってしまう。あるいは「Google Pixel 8 Proは先端を独走しているスマートフォン」だとも感じられる。

 上記のベストテイクも凄いですな。AIが写真ライブラリ内から同じ人物を探してきて、顔だけ合成してくれるという機能だ。たぶん「自然な雰囲気で合成する」という理由から、同じ服装や髪型である写真からしか顔を選び出してくれないが、「Google Pixel 8 Pro」からは「人物写真はとりあえず何枚も撮っておく」のがいいのかも。「いちばんいい顔」を後から合成できるからだ。

 ……もしかして自分の顔に別人の顔を合成できる? とか思ったが、服装や、もしかしたら環境などまで近い写真でないと「合成候補の顔」を抽出しないようなので、顔すげ替えフェイク写真などは簡単に作れないような気がする。まあそのほうがトラブルがなくていいと思うが。

「Google Pixel 8 Pro」、カメラ機能も、イイんスよ~

 あと「Google Pixel 8 Pro」のカメラ機能。3つのカメラを搭載していて、どれも高画素。そして写りもイイのであった。

左側の黒い楕円内に3つのカメラが内蔵されている。左から、広角カメラ(4800万画素)、超広角カメラ(5000万画素)、望遠カメラ(4800万画素)。各カメラともオートフォーカス対応・手ブレ補正機能を搭載している。「Google Pixel 8 Pro」のフロントカメラもオートフォーカス対応だ。

 「Google Pixel 8 Pro」で撮り歩いたりしているが、なーんか、印象としては「iPhone 15 Pro Max」より自然な感じの写真が撮れることが多い。「iPhone 15 Pro Max」は「よりキレイに見せるため盛りがち」という雰囲気があるが、「Google Pixel 8 Pro」は「ときどき盛るけど全体的にナチュラル」という印象がある。

それぞれ、超広角カメラ、広角カメラ、望遠カメラで撮ったもの。肉眼で見た風景に近い色合いで撮れた。
日没前の雲。コントラスト差がある被写体だったが、階調もなかなかよく出ていて、複雑な雲の細部もきめ細かく描写されている。
食べ物はこんな感じに。これも見た目に近い。
黒猫ちゃん。望遠レンズは解像感も高く良好な描写になることが多い。

 ナチュラルな色味の写真が撮れる感じの「Google Pixel 8 Pro」。色補正とかそーゆーのはユーザーやAIに任せる方向なのかもしれない。カメラとして純粋に性能を高めるというスタンスなのかもしれない。

 そんなふうに思うのは、設定に「プロ」というカテゴリーがあって、そこに「カメラ好き・写真好きが使いたがるであろー設定が用意されているというのもある。「ですよねー、ソレって普通に必須設定ですよねー」と歓迎したくなる、スマートフォンのカメラ機能にはあまり見られない設定。

「Google Pixel 8 Pro」のカメラ機能の設定表示。「全般」のところには、スマートフォンではよくある設定項目が並ぶ。だが「プロ」のところには、撮影時に12MPへピクセルビニングする設定と、50MPで撮像素子の画素をそのまま使った高解像度記録を設定できる。ただし高解像度記録に設定すると、シャッターが切れるまで1秒くらいかかる長秒レリーズの撮影となる。さらに、レンズ(カメラ)の切り替えを「手動」で行える設定も! いや~ん、ステキ!

 最近の多眼カメラ搭載スマートフォンは、撮影時にどのカメラ(レンズ)が使われているのかわかりにくい。メインカメラ(広角カメラ)で撮っているつもりが、じつは近接撮影(マクロ撮影)のため超広角カメラでのデジタルズーム撮影だったり。

 また、「Google Pixel 8 Pro」の場合、標準設定でのレンズ倍率が、「.5×」「1×」「2×」「5×」と並んでいる。これをタップすることで、どのカメラを使うかを切り換えられる。

 だが、「.5×」「1×」「2×」「5×」のうち、「2×」はデジタルズームによる撮影で、使われているカメラは「1×」だ。それと、これらの数値をタップしたとき、ちょっとズレて「1×」が「1.1×」になったりするとデジタルズームが使われる撮影になる。最近のデジタルズームは高画質で撮影できたりはするものの、デジタルズーム不使用での(光学レンズと撮像素子の品質を最大限に発揮できる)撮影よりは画質が劣る。

 「Google Pixel 8 Pro」のプロ設定で、レンズ(カメラ)の切り替えを「手動」に設定すると、レンズの切り替えボタンが「UW(ウルトラワイド/超広角カメラ)」「W(ワイド/広角カメラ)」「T(テレ/望遠カメラ)」になる。搭載された3つのカメラをダイレクトに選べて、デジタルズーム撮影を行いにくくさせる設定だ。「手動」にしてもデジタルズーム撮影はできるが、どのカメラを使うかがわかりやすく、レンズと撮像素子の性能を容易に発揮させられて便利だし気持ちイイ! というわけだ。

 なお、プロ設定の項目を変更すると、通常設定で使えた機能が使えなくなる場合がある。自動でのマクロ撮影なんかがそうだ。

 しかし、プロ設定内の各設定ををUIの浅い階層でオンオフできたりする使い勝手があるので、「いったんプロ設定をイジると元に戻すのが面倒」という遠回り感はない。「この被写体は50MPで撮るしレンズも手動で切り換えたい!」と思っても、3~4タップで設定を終えられる。

 こういう作りもあり、Googleは「Google Pixel 8 Pro」のカメラ機能をより純粋に機材として捉えているのかもしれない、的に思ったりした。また、こういう機能性が使いやすく作り込まれていて、けっこービックリした俺であった。Google、やるな、と。

全体的に快適、高次元でまとまったハイエンド端末

 「Google Pixel 8 Pro」を使っていて感じるのは、前述のAI関連機能やカメラ機能の実用性。これらが非常に便利で愉快なので、「Google Pixel 8 Pro」のほかの部分が「無難で普通」に感じられたりもする。

 だが、あらためて積極的に感じ直してみると、いろいろ高次元でまとめられているハイエンド端末だと思う。「これ買っときゃ間違いがない」みたいな。

 たとえば顔認証や指紋認証の動作。どちらも俊敏で正確。とくに顔認証は速攻で認証するので、画面の指紋センサーに指を当てる機会があまりないほどだ。

指紋センサーは画面下方。顔認証はAndroid端末の生体認証としては最高レベル。これは「新しい機械学習の進歩」によるものだそうだ。そのため、顔認証でGoogleウォレットなどの決済も行える。

 あと「Pixel 8/8 Pro」には、7年間のソフトウェアサポートが提供されるが、ナニゲに凄いですな。OS、セキュリティ、新機能のアップデートが2030年10月まで提供される……そんなに先まで! バッテリーヘタったり膨らんだりするのが先か、アップデート終了が先か? バッテリーが先かもしれニャい!

 ともあれ、AIなどソフトウェア的な実用性が高まっていき続け、「Google Pixel 8 Pro」本体の処理能力が足りない時代が来たらクラウドでも処理するようになると予想しつつ、昨今のスマートフォン価格高騰の現状を横目で見たりすると、長い期間安心して使えるのは嬉しい。まあでも俺の場合、仕事での必要性と好奇心から、来年もまた新機種買っちゃいそうではあるが。

 「Google Pixel 8 Pro」の便利……っていうかユニークな機能として温度センサーがある。ハードウェアとして、カメラ部のLEDライト下にセンサーがあり、「温度計」アプリ(要ダウンロード)を使って対象の温度を測れるというものだ。

カメラ部右側のLEDランプの下にあるのが温度センサー。
「Google Pixel 8 Pro」では、いろいろなモノの表面温度を手軽に計測可能。体温測定の対応が予定されているらしい。

 温度計、あればあったで便利っぽいが、個人的にはサーモグラフィーを搭載してほしかったな、と。でもそんなセンサー搭載したら端末が20万円とか30万円になっちゃうのかも。

 ともあれ、全体的に「ここがイヤ」「これは不便」ってところがない「Google Pixel 8 Pro」。抜け目のなくてシッカリまとまっている端末だと感じる。

 あと……ロック解除が速く、また必要に応じてロック解除延長も可能(携帯時や特定の場所などでロック解除したままにできる/Android 10以降でのみ動作)。そしておサイフケータイにも対応している「Google Pixel 8 Pro」。

Android 10以降の端末ならロック解除延長を設定することにより、一定条件下で端末をロック解除したままにできる。外出中のスマートフォン使用や決済なんかがよりスムーズになるかもしれない。

 なのでぇ~やっぱりぃ~前述のとおりぃ~「「Google Pixel 8 Pro」をおサイフケータイ対応のメインスマートフォンとして使おうかな」とか思ったりしている。iPhone+iPad+MacのAppleエコシステムから抜けられないニャ~とも思っているわけだが、iPhoneを絶対にメインとして使わなきゃいけない理由ってのもそーんなにない。iPhoneをサブ機にすればいいのかもしれない。

 でもモバイル環境を急に変えずとも……「Google Pixel 8 Pro」を決済用メイン端末にするというテもある。どうせGoogleサービスを多用する俺なので、それらは「Google Pixel 8 Pro」で使ったほうが少し快適だし……。あとカメラも多用するし。

 あーでもそうするとiPhoneがフェードアウトしそうな気も。iPhoneはApple Watchと組み合わせて使うからフェードアウトはない気もするが……。

 あーでもでも、「Google Pixel Watch 2」を使えばいいのか。あーでもそうやって急にPixel寄りになると、慣れているiPhone+iPad+Macの三位一体Appleエコシステムが揺らぐ気もするぅ~。

 などと、「Google Pixel 8 Pro」の利便さ愉快さを知ったばかりに、俺のモバイルスタイルを変えるべきかどうすべきか的な悩みが生まれたりしている。んんん~どうしようマジで。

 ともあれ「Google Pixel 8 Pro」はかなり完成度が高いツカエる端末。実質かなり安く手に入れることもできる。いい端末をお得に買って長く使い続けたい、とか思う方にはとくにマッチしそう。興味があればぜひジックリとチェックしてみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。