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Pixel 8 Proの温度センサーはどれくらい正確なのかな?

Pixel 8 Proの温度センサーの精度を確認してみたい

 見た目はGoogle Pixel 7 Proとそんなに変わらないPixel 8 Proだけれども、全く新しい機能として「温度センサー」というものが追加されている。今回はこの温度センサーがどれくらい正確なのかを確かめてみたい。

Pixel 8 Pro背面のライトの下、矢印の先にあるのが温度センサー

 正確さをどう担保するのかは難しいところだが、さすがに熱した油に指を突っ込んで「200℃!ヨシ!」みたいに体感温度で測るのはいろいろ無理。

 なので、手持ちの業務用放射温度計(シンワ製、測定範囲:マイナス60~+550℃)と比較することにした。もちろんこの放射温度計が確実に正確である保証はない。あくまでも通常の放射温度計と比較してこれくらいの違いがある(ない)んだな、という参考になれば。

シンワ製の業務用放射温度計

 温度測定するには、Pixel 8 Proで「温度計」アプリを起動する。アプリ自体にはただただ温度を測るだけの機能しかなく、使い方も最初に計測したい対象物の材質を11種類から選択し、センサーを5cm以内に近づけて画面をタップするだけのシンプルなものだ。

「温度計」アプリ
デフォルトのほか、計11種類の「材質」から選択して温度計測する

 ちなみにPixel 8 Proの測定範囲はマイナス20~+150℃なので、200℃の油は測れない。とりあえず冷たいものからアッツいものまで、いくつか試してみよう。

最初に、いれたばかりのコーヒー(ラテ、保温マグ入り)を計測。「56.9℃」だった
放射温度計で計測。こちらは「56.8℃」で、ほとんど同じ
冷凍庫から取り出したばかりの雪見だいふく「マイナス20.8℃」。下限はマイナス20℃のはずだが、ちゃんと表示された
放射温度計では「マイナス19℃」。冷凍庫から取り出した後はぐんぐん温度が上がっていくので、この温度差は仕方がない。やはりアイスはさっさと食べるに限る
朝の日陰の路面温度は、ちょうど「10.0℃」(材質は「デフォルト」とした)
放射温度計は「7.9℃」を示した。放射率0.92(石)で測定したため差が大きくなったのかも
測定範囲外になることを想定しつつ、熱した油も念のため測定。やはり「不明」となった
放射温度計では「235℃」に。コンロの設定で180℃にしたはずだが……。これから揚げ物を作る時はコンロの温度設定はアテにしないことにする

 サンプル数はあまり多くできなかったけれども、それなりに正確っぽい値で計測できている様子。材質を最初に選択するところから考えて、おそらく材質ごとに異なる「放射率」を変えて測定しているものと思われ、Pixel 8 Proと手持ちの放射温度計は基本的に同じ仕組みなのだろう。

 ただ、Pixel 8 Proは5cm以内にまで近づけないと正確な測定ができないため、離れたところからでも計測可能な業務用製品の使い勝手には及ばない。とはいえ、放射率の値をいちいち設定することなく、わずか数タップで気になった物の温度をサッと測れるお手軽さはうれしい。

 性能面から考えて業務用途ではなく個人用途となり、そうなると具体的な使い道がなかなか思い浮かばないな~という感じではある。

 コーヒーをドリップするのに最適な温度に調整したいときとか、茶葉の旨さを一番引き出せる適温のお茶をお客さんに出したいときとか、これからの季節はトイレで用を足すときにあらかじめ便座の温度を調べて「ヒャッ!」ってならないようにしたいときとか、だろうか……。

 現在は体温測定には利用できないが、将来的に(少なくとも米国では)対応する計画があるようなので、そのときには日々の健康管理にも役立てられることだろう。

 しかしこの温度計機能、なんとなく、かつて存在したスマホ内蔵の放射線測定機能の面影がちらついてしまうのだけれど、そう思うのは筆者だけだろうか。