レビュー
「Pixel 8」「Pixel 8 Pro」実機レビュー、グーグルのAIがもたらす「音声消しゴムマジック」が面白い!
2023年10月12日 12:24
Google(グーグル)のスマートフォン「Pixel 8」および「Pixel 8 Pro」が10月12日に発売された。直販価格では、Pixel 8は11万2900円~、Pixel 8 Proは15万9900円~となっている。
今回はこの2モデルの評価用機材を使って、気になるポイントをチェックしていく。
デザインは継承
Pixel 8の大きさは約70.8×8.9×150.5mm(幅×厚み×高さ)で、重さは約187g。ディスプレイは6.2インチ(1080×2400ドット)となっている。パネルはOLEDで最大120Hzでの駆動が可能なスムーズディスプレイを採用。
Pixel 8 Proは、Pixel 8よりもひと回り大きい約76.5×8.8×162.6mm(幅×厚み×高さ)で、重さは約213g。
ディスプレイは6.7インチ(1344×2992ドット)となっており、ピクセル密度は489PPUなので、全モデルと比べて低くなっている(Pixel 7 Proは512 ppi)ものの、精細感の低下はそこまで感じられない。
パネルはPixel 8と同じくOLEDで、駆動も最大120Hzと同等。
また、Pixel 8 Proシリーズはエッジがカーブしたディスプレイではなくフラットな形状となっている。このあたりは好みの分かれるところだが、フラットなほうが誤操作も少なく、ガラスフィルムが貼りやすいといった利点も多い。
背面の仕上げとボタン配置
背面は、Pixel 8が光沢のある仕上げでポップな印象がある。
一方、Pixel 8 Proはつや消しのマットな仕上げで、評価用機材は黒系のオブシディアン(黒曜石)だったが、触っても指紋などが目立たないようになっている。
両モデルとも、本体右側面には電源ボタンと音量ボタンを配置。これまでのPixelシリーズと同じく上に電源ボタン、下に音量ボタンと、一般的なAndroid端末とは逆なので、他メーカーのAndroid端末から移行するとなれるまで若干戸惑う。
手に持ってみると、どちらも 非常に軽く感じる。 特にPixel 8 Proは前モデルよりも1g重量は増えているが、実感としては前モデルよりも軽くなったような印象。前モデルでは、本体上部のカメラ側に重さを感じるので、Pixel 8 Proでは重量バランスを考慮した設計になっているようだ。
バッテリー
バッテリーは、Pixel 8が4575 mAhで、Pixel 8 Proが5050mAh。どちらもUSB-PD 3.0に対応しており、急速充電時には約30分で最大50%までの充電が可能。また、Qi対応のワイヤレス充電にも対応している。
プロセッサーは「Tensor G3」
プロセッサーはGoogle独自開発の「Google Tensor G3」を両モデルとも搭載する。
AI関連の計算能力も向上しており、後述する「ベストテイク」や「音声消しゴムマジック」といった機能の実現に大きく寄与しているとのこと。
ただしこのあたりの新機能は、しばらくするとそれ以前のPixelシリーズにも提供されるケースが多く、Google Tensor G3でのみ実行可能な機能というのは不明。そのため 最新機能がいち早く体験できるというのがポイント となっている。
そのほか、Pixel 8はメモリーが8GBで、ストレージは128GBもしくは256GB。
Pixel 8 Proは、メモリーが12GBでストレージは128GBもしくは256GB、512GBとなっている。
microSDには対応していないので、Pixel 8 Proに1TBモデルも欲しいところだが、よほど大量に動画を撮影するといった使い方でない限り512GBモデルでもじゅうぶんだ。
動画アプリを使ってみたら
テストとして動画編集アプリの「CapCut」で38分14秒の4K動画(12.34GB)をFHDへ変換してみたところ、Pixel 7 Proでは10分30秒だったのに対して、Pixel 8 Proは10分16秒、Pixel 8は10分18秒という結果になった。 動画エンコードに関しては前モデルよりも若干、性能アップ といったところだ。
搭載されているプロセッサーが同じということもあり、Pixel 8とPixel 8 Proでは機能としてはそこまで差はない。
カメラ機能としてはビデオ夜景モードを含む動画ブーストや、2cmまで近づいて撮影するマクロフォーカス、そして「プロ設定」がPixel 8 Proのみの機能となっている。
またPixel 8 Proのみ温度センサーを搭載しており、温度測定機能が利用可能。体温は測れないものの、ミルクの温度などを測定するときに便利だ。
カメラ、そのスペックは?
背面のカメラはPixel 8がデュアル仕様で、約5000万画素の広角(f/1.68、82°)と約1200万画素の超広角(f/2.2、125.8°)の組み合わせ。
Pixel 8 Proはトリプル仕様で、約5000万画素の広角(f/1.68、82°)と約4800万画素の超広角(f/1.95、125.5°)、約4800万画素の望遠(f/2.8、21.8°)の組み合わせ。
メインの広角は両モデルとも同じだが、Pixel 8 Proには望遠を搭載し、3つのカメラすべてが4800万画素以上のセンサーでピクセルビニングをしているため、カメラ性能としてはかなり差がある印象を受ける。
とはいえ、日常での撮影に関してはPixel 8でも十分な性能だ。
もちろん、「プロ設定」があることも関連し、スマートフォンで本格的に撮影したいユーザーはPixel 8 Proを選ぶと満足度は高そうだ。
ちなみにシャッター音は前モデルと同じ仕様とのことなので、日本以外の規制されていない国に持ち込んでもシャッター音は鳴ると思われる。
音声消しゴムマジックが秀逸
カメラ機能としては、集合写真などで複数人での撮影時に、なんどかシャッターを切ることで被写体の顔をAI合成できる「ベストテイク」や動画撮影時にノイズや音楽を消せる「音声消しゴムマジック」が搭載される。
この「音声消しゴムマジック」がかなり秀逸で、実際に試してみたところ街中でBGMとして流れているような音楽をかなりの精度で消してくれる。
さすがに最大まで消すと、会話などの音声も若干変化するため、ある程度、音声消しゴムマジックで消して、別のBGMをのせるといった編集をすれば、かなり自然な状態の動画に仕上がるはずだ。
価格やそのほかの機能
惜しむらくは、両モデルとも全機種と比べて価格が上昇していること。アメリカではそれぞれ100ドルずつ値上げとなっており、日本では税別比較で3万円前後の価格差になる。昨今の為替相場を考えれば相応な価格と言えるが、前モデルがかなり低価格な値付けだったため、やはり割高感は感じてしまう。
また、Type-C端子からのDP(Display Port)出力にも非対応となっているのはマイナスポイント。
スマートフォンからのDP出力はPCモニターやテレビなどに出力するだけでなく、最近はARグラスへの出力などにも使えるため利用シーンは増えてきている。そのため、他メーカーのミッドレンジモデルでも対応している機能だ。
しかもGoogleが行ったデモでは、外部ディスプレイへ表示できることを確認している。DP出力そのものかは不明ながら性能としては、同等の仕様を装備しているにも関わらず、ユーザーには開放していない機能となっている。それだけに出し惜しみを感じてしまう。
全体としては両モデルともバランス良く進化しており、NTTドコモからも販売されるため、5Gのバンドはn79にも対応。OSアップデートやセキュリティアップデートは、7年間に拡大されたため、長く使えることを考えるとコストパフォーマンスは高い。Pixel 6シリーズからキープコンセプトで作られてきたモデルとしては、完成形ともいえる仕上がりの端末だ。