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第86回:CDMA2000 1x とは
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![大和 哲](/cda/static/image/2000/04/01/yamato.gif) |
大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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CDMA2000 1x とは
「CDMA2000 1x」は、IMT-2000として認められた第3世代(3G)の移動通信規格のひとつである「CDMA2000」のバリエーションです。2002年4月から開始されたKDDI(au)のサービスで利用されています。3Gサービスとしては、他にもNTTドコモが「FOMA」として既にサービスを開始していますが、こちらは「W-CDMA」(DS-CDMA)方式が採用されています。
auのCDMA2000 1xサービスでは、これまで最大64kbpsだったパケット通信のデータ伝送速度が最大144kbpsにまで向上します。また、当初はCDMA2000 1xで800MHz帯が使用されていますが、2002年の秋頃には東名阪において2GHz帯のサービスも開始され、デュアルバンド方式の導入により800MHz/2GHz帯のネットワークが利用可能になる予定です。
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4月1日より順次発売される「CDMA2000 1x」対応のau端末5機種。左から「A3011SA」「A3012CA」「A3013T」「A1011ST」「A1012K」
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1チャネルのみを使用するCDMA2000 1x
CDMA 2000 1xは、その名前の通り「CDMA2000」という次世代の移動通信規格のバリエーションのひとつですが、このCDMA2000は、従来のcdmaOneと同じ1.25MHz帯域幅のチャネルそれぞれのデータ伝送速度を向上させた上で、「マルチキャリア伝送方式」(Multi Carrier Division Duplex)により複数のチャネルを同時に使用することで、高速にデータを伝送する次世代の通信方式です。
CDMA2000 1xは、「その複数使うチャネル」のうち、「1つだけ」を使って通信を行なうバージョンですが、元のcdmaOne(IS-95B)よりもデータ伝送の効率化が図られていますので、その分データ伝送速度が高速になります。実際、CDMA2000の開発元であるQUALCOMMからは、CDMA2000 1x端末用の下り最大153kbps(MSM5000・6050)、上下最大307kbps(MSM5100・6100)がサポートされたチップセットが発表・出荷されており、これらを使った端末は現在のcdmaOne(IS-95B)よりも高速にデータ通信が可能になります。
また、CDMA2000では、音声を状況に応じて様々なモードに使い分けながら音源と共鳴系の特性を表すパラメータに分解して伝送することで、音声データ量を減らしつつ通話を行なう「SMV」(Selectable Mode Vocoder)が利用可能となり、通話時の音質に関しても向上すると言われています。ただし、SMVに関してはauのCDMA2000 1xサービスでは利用されていないため、音質は従来のcdmaOneとほぼ同質ということになるでしょう。
ちなみに、CDMA2000はマルチキャリア伝送方式(MC)を使うことから「MC-CDMA」とも呼ばれ、従ってCDMA2000 1xは「1x MC」、あるいはIS-95の発展系ということで「IS-95C」と呼ばれることもあります。CDMA2000の他のバリエーションとしては、チャネルと3つの周波数を使う方式の「CDMA2000 3x」(3x MC)や、1つのチャネルを音声とデータ通信両方に使うのではなく、データ通信専用に特化させて高速なデータ伝送を可能にする「1x HDR」などがあります。しかしこれらは今のところ、世界でもまだ商用サービスが行なわれておらず、将来的にサポートされる予定となっています。
スムーズに移行できるのが特徴
![](/cda/static/image/2002/04/02/cdma2s.jpg)
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4月1日に発売されたauのCDMA2000 1x対応端末。カシオ製のGPSケータイで、背面に有効31万(総画素数35万)画素のカメラを搭載している
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CDMA2000 1xの特徴としては、次世代の携帯電話でありながら、従来のcdmaOne(IS-95B)と共通な仕様が多い点が挙げられます。変調方式は「デュアルBPSK」から「QPSK」になるなどの変更はされていますが、例えば通信に使う電波の占有帯域幅やチップレートなど、通信の基本部分はほぼ同じです。そのためか、CDMA2000 1x用のシステムのほとんどは、従来のcdmaOne(IS-95B)との互換性を有しており、移行もかなりスムーズに行なうことができます。
CDMA2000 1xでは、基地局用・端末用ともに開発元であるQULCOMMからチップセットが提供されているのですが、その多くが従来のIS-95B用に使われていたものと互換性のあるものになっています。そのため、各メーカーは設計の際にこれまでIS-95B用として使っていたチップセットの代わりに、CDMA2000 1x対応のものを用意する最小限の変更で、CDMA2000 1xとIS-95Bの双方に対応できる携帯電話を作ることができます。
また利用者側も、1xのエリア外に出てしまってもcdmaOneの基地局を全国でそのまま利用可能なため、CDMA2000 1x対応の携帯電話を持っていれば、意図せずにCDMA2000 1xネットワーク内ではCDMA2000 1xを、そうでない場所ではこれまでのcdmaOne(IS-95B)のネットワークを利用して通信や通話が行なえます。移動中に通信先の基地局を切り替えるハンドオーバーも、「1xエリア」と「IS-95Bエリア」でそれぞれ可能になります。
殊にauのCDMA2000 1xの場合、ITU(国際電気通信連合)においてIMT-2000の周波数帯が2GHz帯に加えて800Mhz帯も追加周波数に認められたため、4月に始まったCDMA2000 1xのサービスでも、これまでのcdmaOneと同様に800Mhz帯が利用でき、使い勝手の上でもcdmaOneとほとんど違いのないものとなっています。
また、基地局側でも従来のIS-95B対応機材の一部を入れ替えるだけで、CDMA2000 1x用にアップグレードできるとされています。このため、W-CDMAを採用する3Gサービスと比較すると、内容的にはデータ通信速度などで劣るものの、事業者にとってはコスト的に有利で、サービスエリアも容易に広げることが可能です。auの場合、2002年4月より全国主要都市でサービスが開始されましたが、2002年度末までに人口カバー率を90%に達成させるとしています。
他の方式を採用している場合、例えばPDC方式からW-CDMAへ乗り換える場合だと、電波の帯域から通信方法に至るまで、そのほとんどに互換性がなく、携帯電話も3Gと2Gのものではシステム的にまったく別物となり、基地局から新たに作らなければならないなど、移行時のコスト面においても大きな違いがあると言えるでしょう。
・ au
http://www.au.kddi.com/
・ KDDI
http://www.kddi.com/
・ au、4月1日より第3世代携帯電話「CDMA2000 1x」を開始
・ クアルコム講演「cdma2000で実現する安く効率的なデータ通信」
・ 第7回:cdma2000とは
・ 第5回:IMT-2000とは
(大和 哲)
2002/04/02 14:03
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