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クアルコム講演「cdma2000で実現する安く効率的なデータ通信」
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23日から24日の両日にわたり、マーカスエバンスによる「次世代モバイル・ビジネス・プロセスへの移行」と題したコンファレンスが、都内のウェスティンホテル東京で開催されている。ここでは、クアルコムジャパンの松本社長の講演をレポートする。
ドコモもお客様
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クアルコムジャパン代表取締役社長 松本徹三氏
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松本社長はまず、3Gへのスケジュールに関して「ドコモのFOMAが延期になり話題になったが、もともと5月から1年かけて15万台という話だったのが、当初4000台になっただけ。ドコモの販売台数から見れば、15万台でもトライアルと言ってよく、その規模を見直しただけだろう。これは相当難しいから、正式サービスインまで慎重に進めようというのはプロとして当然のこと」と述べた。
「ドコモがW-CDMAでauはcdma2000だから、クアルコムはドコモとライバル関係にあると見られがちだが、そんなことはない。W-CDMAもCDMAで、CDMAは全部クアルコムの技術を使っており、cdmaOneでもW-CDMAでも、HDRでもロイヤリティは同率でいただいている。したがって、ドコモもわが社のお客様」と、受講者の期待を裏切る(?)先制パンチとも言えるコメントで講演をスタートした。
cdma2000はデータ通信の効率を高める技術
業界では次世代携帯電話を指して3Gと呼ばれているが、1Gはアナログ、2GはデジタルTDMAを指すのに対して、3Gは誰も明確な定義をしていないと指摘。「次世代技術ということであいまいに使われているが、あえて言えばCDMAを指すと言えるかもしれない」。CDMAは周波数の有効利用の点で優れており、有限な資源である無線帯域を使う移動体通信では、周波数を効率的に利用することが重要だと強調した。
松本氏は、cdmaOneからcdma2000へのロードマップを挙げながら「DS CDMA(W-CDMA)は個人的にはそれほど良いとは思っていない。世界的には、2GHzの広帯域を持っていて、すぐ使えるという通信事業者はそう多くない」と述べ、「cdma2000なら、バンド幅を広げなくてもできる。auは、最大伝送速度153.6kbpsのcdma2000 1Xを今年10月に東名阪で開始。さらに、2002年秋に導入予定のcdma2000 1xEV-DO(1x Evolved - Data Only、以後HDR)では、最大伝送速度2.4Mbpsとなるが、いずれも従来の1.25MHz帯でサービスでき、設備投資が押さえられる。また、HDRが導入されれば、cdma2000 1XとHDRは当初からデュアルモードで利用できる。利用帯域や既存インフラを変えずに同じことができるなら、その方がいい」とcdma2000のメリットを強調した。
HDRは、基地局単位のスループットを重視した仕組みとなっており、データ通信の効率が良いのが特長と言われる。「2倍のトラフィックを処理できれば、同じ設備で2倍のユーザー数をサポートできる。また、同じユーザー数であれば、料金を半分まで下げられる。W-CDMAの倍から3倍のパフォーマンスになる見込みだ」。
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cdma2000ロードマップ。auでは、HDRまで1.25MHz帯域のままで提供できる
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無線I/Fとモバイルネットワーク。ドコモのW-CDMAではどちらも従来と違う規格を採用するため、まったく新しいインフラ構築が必要
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音声にデータのトラフィックが影響されないシステム
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日本、欧州、北米など各地域で2Gから3Gへの道のりが異なる
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また、松本氏は「音声とデータは切り離すべき」と述べた。「インターネットは構内はLAN、外はIP網という形で、電話(ボイス)網と完全に切り離したから成功した。音声のコミュニケーションとその他のものは全く違う。人間はバッファもないし、データ圧縮/復元機能もエラー訂正機能もないプアな端末だ。また、音質が悪いと気分が悪くなったりするぜいたくな端末でもある。データでは2秒遅れてもなんの問題もない場合も多いが、音声通話は遅延を許容しない。0.4秒遅れただけでも違和感を感じる」。
「日本の人口から見て、音声のトラフィックは増えてもあと20%程度だろう。一方データのトラフィックは、何年か後には音声の数倍になるだろう」。こうした状況から、周波数を節約できる効率の良いシステム、音声通話に影響されないシステムが必要となる。安くて効率的なシステムを導入しなくては、勝ち残っていけなくなる。特に欧州では移動体通信事業者が帯域を買っているから、なおのことだ」。
・ 第7回:cdma2000とは
(工藤 ひろえ)
2001/03/23 21:38
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