IIJ、1枚のSIMで複数キャリアに接続できる「マルチプロファイルSIM」を開発

　インターネットイニシアティブ（IIJ）は25日、1枚のSIMで複数の携帯電話網に接続できる「マルチプロファイルSIM」を開発したと発表した。今後パートナー企業との概念実証（PoC）を実施する。

　携帯電話網の大規模障害発生時に、ほかの携帯電話網に接続するよう「ローミング」や「デュアルSIM」を活用することが叫ばれている。

　一方で、IIJは、ローミングを利用する場合「加入者データベース（HLR/HSS）が正常に動作しなくなるような障害が発生した場合は、すべての携帯電話網を利用することができなくなる」としている。

　また、デュアルSIMでは、デバイスに複数のSIMスロットを用意する必要があり、ハードウェアの設計変更が必要となり、部品のコストや基板上の実装面積など高いハードルがあるとIIJは指摘する。

　今回の「マルチプロファイルSIM」では、1枚のSIMカードのなかに、IIJと別の通信事業者のプロファイルを保持しており、デバイスからのコマンドにより、利用するプロファイルを自由に入れ替えられる。これにより、既存のデバイスでもソフトウェアの小規模な改修で、「マルチプロファイルSIM」に対応させられるという。

　たとえば、通信障害時に、サーバーとの接続不能を検知したデバイスが、SIMカード内のプロファイルを切り替えることで、異なる携帯電話網に接続し、通信を確保できる。

　IIJ広報部によると、今回の「マルチプロファイルSIM」開発にあたり、SIMカード供給ベンダーと協力のうえ開発されたという。ベンダー名については非公開としている。

　「マルチプロファイルSIM」は、IIJの法人向けMVNO通信サービス「IIJモバイルサービス」活用ソリューションとして今後提供されるとしている。

　なお、「マルチプロファイルSIM」は、10月26日～28日に幕張メッセ（千葉県千葉市）で開催される「第13回Japan IT Week 秋（IoT&5Gソリューション展【秋】）」のコネクシオブースで、エッジコンピューティング・ゲートウェイ「CONEXIOBlackBear」の活用事例として参考展示される。

【追記 2022/10/25 12:39】
SIMカードベンダーとの協力関係について追記しました。