ニュース

ギガプランが引き続き「IIJmio」をけん引、IIJの第3四半期決算は増収増益

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は8日、2023年3月期 第3四半期の決算を発表した。決算説明会には、同社代表取締役会長 Co-CEOの鈴木幸一氏、代表取締役社長 Co-CEO&COOの勝栄二郎氏、専務取締役 CFOの渡井昭久氏が登壇した。

 本稿では、主に個人向けMVNOサービス「IIJmio」に関する内容を取り上げる。

勝氏

 売上高は1853.4億円で、前年同期比11.9%の増収を記録。また、営業利益は187.9億円で、同15.3%の増益となった。

 モバイルサービスへのニーズも旺盛で、法人向けサービスも含めた総回線数は前年比で59.2万回線増えている。

 「IIJmio」については、「ギガプラン」における値下げの影響などもあり、単価が低下。一方、獲得数が増加していることもあり、増益につながった。

 また、将来原価方式に基づくNTTドコモからの接続料について、戻り効果として5億円強を計上。昨年の10.8億円とくらべて少なくなったが、外注関連費用のマイナスというかたちで処理されている。

 モバイル以外の事業も含めて好調な売上を伸ばすべく、今後は人員の増強も視野に入れる。2023年4月入社予定の内定者数は245人で、そのうちの7割は技術系の職種。また、初任給改定を予定しており、学士卒の場合は月々プラス4.8%の改定になるという。

 第3四半期末で回線数が119.7万回線の「IIJmio」については、「回線数の伸びが少し鈍くなっている」(渡井氏)。とはいえ「ギガプラン」が「IIJmio」をけん引しつつ順調に伸びていることは事実で、今後も他社との差別化を図っていくとした。

質疑応答(一部)

――先日発表されたKDDIとソフトバンクのデュアルSIMサービスについて、ソフトバンクの宮川社長が「同一番号でやれるようにしたい」と話していた。KDDIの通信障害以降、IIJも予備回線として利用されるケースが多かったと思う。そのあたりの影響をどうとらえているか。

勝氏
 (KDDIとソフトバンクの)デュアルSIMサービスの中身については、同一番号が技術的に可能かどうかを含め、具体的な内容がはっきりしていない部分もあります。

 しかし、一般論として申し上げますと、災害時には非常に役立つサービスだと思います。そういうものを自社の利益のためにやるのではなく、我々MVNOの事業者に向けても開放していただきたいと思っています。

――「IIJmio」の売上が落ちているが、その理由は。

勝氏
 昨年は音声の仕入れ価格が下がり、旧プランで使う方が多かったのですが、今年はそういうことがなくなったのが(売上減の)ひとつの理由だと思います。ただ、回線数は増えています。

――「IIJmio」の回線数の伸びも少し落ち着いてきたようだが。

勝氏
 一時、楽天(モバイル)の影響もあり、10月まで若干の“駆け込み”のような効果がありました。そこである程度伸びましたが、今は落ち着いているという状況です。

――NTTドコモとの将来原価方式について、2020年の導入以降、接続料の見通しが立てやすくなったと思うが、それでもまだ5~10億円のズレが生じている。これに対してどう評価しているのか。

勝氏
 たしかにズレは生じておりまして、改善点としては「もう少し透明性を高めてほしい」と思っています。現状では接続料の算定結果の理由などが開示されていませんので。