石川温の「スマホ業界 Watch」

「Galaxy S26」は4キャリア激戦へ、カギを握るのはキャリアショップ

 サムスン電子が攻勢を強めている。

 2026年2月25日(米国時間)、新製品「Galaxy S26シリーズ」を発表。今回、日本市場は「一次販売国」に昇格し、グローバルとほぼ同時の3月12日に発売となる。

 販売キャリアもNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクに加えて、楽天モバイルも取り扱う。アメリカ・サンフランシスコで開催されたGalaxy Unpackedでは4キャリアの端末担当者が揃っていた。

 Galaxyのハイエンドモデルは大画面でSnapdragonの最新チップを搭載するなど、サクサクとネットやゲームが使えるということで、ARPUの高いユーザーが多いとされる。当然のことながら、データ使い放題プランを契約しているユーザーが多く、キャリアにとってみれば「優良顧客」であることは間違いない。

 そのため、ソフトバンクや楽天モバイルは、長年、Galaxyを取り扱ってきたNTTドコモやKDDIのGalaxyユーザーを奪おうと虎視眈々と狙っている。

 今回、Galaxy S26シリーズは、見た目は前モデルのGalaxy S25シリーズとあまり違いはない。ハードウェア的には「プライバシーディスプレイ」として、のぞき見防止機能がとても優れている。

 ソフトバンクのコンシューマ事業推進統括 モバイル事業推進本部、郷司雅通本部長は「動画撮影時に水平を保てる『水平ロック』や『プライバシーディスプレイ』はショップのスタッフがトークしやすい進化と言えるので、とても期待できる」と語る。

ソフトバンクの郷司氏

 一方、NTTドコモ・プロダクトマーケティング本部、大井達郎プロダクトクリエーション部長は「ビジネス目線だとGalaxy AIにかなり期待している。ユーザーが自分で考え、プロセスを踏んで機能にたどり着くのではなく、直感的に使えるよう、AIがアシストしてくるので、リテラシーが低い方でもハイエンド端末を使いこなせる機会が増えるのではないか」と見る。

ドコモの大井氏

 実際、Galaxy S26シリーズには「Now Nudge」として、メッセージで「土曜日、空いている?」という内容を受け取ったら、Galaxy AIが自動的に内容を判別し、カレンダーアプリをすぐに起動できるよう、リンクを表示するといった提案をしてくれる。

 ただ、正直言って、こうしたGalaxy AIの進化が一般のユーザーにどこまで伝わるかというのはかなり不透明と言わざるを得ない。

 そんななか重要となってくるのが、キャリアショップでの接客だ。各キャリアとも「ショップ店員がAIに優れたGalaxyをどうやって売るか」が勝負となっている。

 楽天モバイルでは「サムスンにご協力いただき、店舗クルーへ教育を行った。今回、端末展示をする店舗が50店舗あり、そちらには専用什器を置いて、実際に試せるようにする」(デバイスビジネス部デバイス販売課、溝口雅紀シニアマネージャー)という。

楽天の内田氏(左)と溝口氏(右)

 楽天モバイルのショップ数は全国で1600店舗になる。ただし、「3モデルの展示は50店舗だが、販売自体は全店舗で行う。無印のS26に関しては、かなり幅広い店舗で展示する」(デバイスビジネス部デアバイス戦略課、内田有喜ヴァイスシニアマネージャー)とのことだ。

 ソフトバンクの郷司氏は「我々の強みとして、Galaxyの魅力を伝える『Galaxyアンバサダー』が1000名ほど在籍している。彼らがデモや販売を行っていく。アンバサダーとそうでない店員では、販売数が2倍近く違ってくる。アンバサダーに就任しているスタッフは満足度も高く、離職率は10%低下しているというデータもある。いまは1000人規模だが、26年度にはさらに500人、増やしたいと考えている」という。

 Galaxyアンバサダーに期待しているのはNTTドコモも同じだ。

 大井氏は「ドコモショップのGalaxyアンバサダーは約1000名。ショップ店員が自ら手を挙げてGalaxyアンバサダーの認定を受けている。Galaxyを愛しているショップ店員が端末の魅力をお客さんに伝えている。ここが大きな武器になっている」という。

 ちなみにNTTドコモがサムスン電子の端末を扱い始めたのはいまから16年前の2010年2月のことになる。初期のGalaxyかと思いきや、ケータイの「docomo PRO Series」のなかにあったWindows Moible端末、「SC-01B」だ。

 大井氏は「Galaxyはハードウェアとソフトウェアが一体で進化をしてきた。長年、ドコモとサムスン電子は信頼できるパートナーとして、一緒になってユーザーに価値を提供してきた。結果として、最先端の機能に魅力を感じる、先進的なユーザーに支持されてきたように感じる」と振り返る。

 メディアとして注目と言えばプライバシーディスプレイを搭載したGalaxy S26 Ultraということになるが、キャリア的には価格面もあり、無印のS26のニーズが高いと見ているようだ。

 一方で、今回、サムスン電子は日本でもGalaxy S26+を投入する。これまで日本では無印とUltraの2モデル体制だっただけに、S26+がどれだけ売れるかは未知数と言える。

 実際、NTTドコモの大井氏も「我々としてはチャレンジングな商品だと思っている。画面が大きいが、価格面も含めてどれだけ支持してもらえるか。まずは見ていきたい」と語る。

 発売日以降、まずはスマホやGalaxyが好きな人が買うことを考えると、Galaxy S26 Ultraがスタートダッシュを決めることだろう。そのあと、無印が販売台数を伸ばしつつ、S26+がどこまで浸透するのか。まさにショップ店員の腕の見せ所と言えそうだ。

石川 温

スマホ/ケータイジャーナリスト。月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。