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IIJ、23年第1四半期決算は増収減益――モバイル事業は法人向けが好調

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は8日、2024年3月期第1四半期決算を発表した。売上高は前期比+5.6%の614.2億円、営業利益は-0.5%の50.0億円、当期利益は-18.4%の35.8億円となり増収減益で着地した。

 今回の減益原因について代表取締役社長の勝 栄二郎氏は「ウズベキスタンの事業で期ズレが発生した。ハードや人的な準備は順調しているが、内部的な手続きの承認の問題が長引いていると聞いている」とした。

左から専務取締役CFOの渡井 昭久氏、代表取締役社長の勝 栄二郎氏、代表取締役会長の鈴木 幸一氏

モバイル関連は増益

 モバイルサービス関連の売上高は前年同期から+5.7億円で、主に法人向け事業が成長をけん引した。

 法人回線やMVNE(他社MVNOへのサービス販売)などが含まれる法人向けインターネット接続サービスの売上高は、+13.2%増の107.7億円。このうち法人モバイルは+19.5%の31.5億円、MVNEは+8.2%の26.3億円となった。

 法人モバイルの第1四半期末時点での契約数は、前四半期比+14.1万回線の195.1万回線となった。背景として、既存のGPSトラッカー案件に追加発注があったほか、訪日外国人増加に伴うSIM提供数の増加などが挙げられる。

 MVNE事業の第1四半期末時点での回線数は、前四半期比-0.5%の111.5万回線、顧客数は前年同期から13社増えた184社にのぼる。

 一方、個人向けモバイル「IIJmio」は、売上高-2.6%の51.7億円、第1四半期末時点での契約数は前四半期比-0.3万回線の120.3万回線となった。回線数が微減となったことについて、勝社長は「第1四半期は、キャンペーンをある程度控えていたと言うこともあり、流動性が低下し乗り換えが減少した影響では」と見解を示した。

 なお、ギガプランの回線数は、第1四半期時点で92.8万回線(+2万回線)となった。

NTTの回線品質問題でユーザーから苦情

 ここからは、説明会後半の主な質疑をご紹介する。回答者は、代表取締役会長の鈴木 幸一氏と勝社長。

――キャリアから新料金プランが発表されているが、影響はあるか? OCN モバイル ONEの新規受け付け終了は、影響はあったか?

勝社長
 評価にはもう少し時間がかかると思う。

 OCN モバイル ONEのドコモ統合については、7月に入ってからの動きとして、多少IIJmioに移ってきている傾向がある。

――KDDIが(ドコモと共に)筆頭株主になったが、サービス面で変化など影響はあるか?

勝社長
 これまで特にNTTを優遇していたわけではなく、価格等で判断したと思っており、これはこれ以降も変わらないと考える。

 今後は新しいサービスを共同で開発するなど協業は今後起こる可能性があると思っている。

 たとえば、新しいクラウドのサービスを一緒に開発するなどは、場合によってあり得ると考えている。

――KDDIがNTTと共に筆頭株主になったが、鈴木会長の受け止めは? かなりKDDI 代表取締役会長の田中 孝司氏と話し合いがあったみたいだが。

鈴木会長
 だいぶ前から、インフラを提供する会社として、(大株主が)NTTだけというのはおかしいのではないかと話があった。

 (NTTが株式を取得した頃は)IIJが非常に苦しい時期だったが、(今回のKDDI株式取得については)あまり不自然な形ではないし、KDDI 田中会長とは昔から親友で早い段階からそういった話があった。今回は偶然この時期になった。

――政府がNTT株を放出する件についての受け止めは?

鈴木会長
 昔から言われていること。特にコメントする立場にはない。

――IIJmioについて、NTTドコモの回線が3月頃から一部地域でネットワーク品質が低下しているという事象が起きている。ここ数カ月で改善されているようだが、IIJmioのタイプD(ドコモ回線)でそういったネットワーク品質の低下による影響はあったか?

勝社長
 最近、第1四半期で質の低下による苦情が少し寄せられるようになった。ドコモにはもちろん伝えている。

 残念なのは、そういうことをドコモが発表したが、その前にうち(IIJ)には連絡が全くなかった。そういうこともあり、非常にフォローしているが、最近やはり苦情が少しずつ増えてきたなということがある。