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バルミューダ寺尾社長が語る「円安」がもたらす原価高への悩み
2022年8月8日 19:14
バルミューダは、2022年度第2四半期(4月~6月)の業績を発表した。質疑応答では、寺尾玄社長が円安など現状を取り巻く環境について悩ましく考えている様子が示された。
【お詫びと訂正 2022/08/08 19:29】
記事初出時、「円安」とすべきところ、「円高」と記述しておりました。お詫びして訂正いたします。
売上増も原価率アップで利益減少
全体での売上高は87億8400万円で、前年同期より12.7%増となった。
営業利益は4億2100万円。黒字を維持したものの、円安などの影響で原価率が前年同期の57.7%→65%へと上昇。これにより前年同期の7億2400万円の黒字から41.9%減少した。
そうした中でも、将来に向けてエンジニアなどスタッフの採用を続けていることも紹介された。
スマホ事業、下期に売上見込む
スマートフォン「BALMUDA Phone」を手掛ける携帯端末分野の業績は、第1四半期に1億7800万円だったが、この第2四半期は500万円に留まった。
2022年度の携帯端末事業の売上高として、10.8億円の目標を示していた同社だが寺尾社長は、「携帯端末の売上予測は、通期で変わっていない」と説明。
その理由として、下期にまとまった納入があるため、とコメント。詳細は語られなかったが、2021年11月に登場した「BALMUDA Phone」に続く新製品が予定されていることが貢献するとみられる。
為替急変がもたらした悩み
利益が減少したことについて、寺尾社長は「想定より悪い。大きな要因は為替レート。ここまで(の円安)は想定しておらず、経費圧縮などを進めて、今回の実績となった」と解説する。
今年4月、家電製品の一部を値上げしたが、「今のところ、さらなる値上げの計画はない。また(2021年11月に発売した)BALMUDA Phoneの価格で、ソフトバンクさまに販売していただいているものの価格のコメントは差し控える」(寺尾氏)としたものの、今後の新商品の値付けは「難しい」と悩みを吐露する。
同氏は「スマートフォンでは、多くの部品が海外で製造されており、それらを集めて、海外、あるいは日本で作るなりにしても、必ず『輸入』というステップが含まれる。(円安の影響で)原価が高くなっている。どのメーカーも同じだろうが、これまでのような最終価格(店頭価格)で販売することが難しくなってくるんじゃないかと思っている」と語る。
どのようなスペック、価格でマッチングさせるかは知恵の絞りどころで、今後も取り組むとした同氏は「私たちの家電商品のように、価格・スペックではまらない部分での価値の提案と創出がこれまで以上に重要になる」とする。
部材のひっ迫度合いについては、「先々月(6月)ごろから少し緩んできた(供給が増えた)という感覚はある」(寺尾氏)としたものの、不足していた部材が半導体だけではなく、塗料など多岐にわたっており、端的に「供給が追いついたとは言えない。(部材に状況が異なるという意味で)バリエーションがある」とした。
BALMUDA Phone、2022年下期にAndroid 12
下期の予定のひとつとして、同社では、以前より「BALMUDA Phoneを今夏、Android 12へバージョンアップさせる」としている。今回の会見でも、下期(2022年7月~12月)の取り組みのひとつとして、Android 12へのバージョンアップがあらためて紹介された。
また、これまでに「BALMUDA Phone」で採用されたカレンダーアプリ「BALMUDA Scheduler」がほかのAndroidスマートフォン向けに公開されたり、「BALMUDA Phone」でフォント改善などの取り組みも進められてきた。
寺尾氏は、第1号機であるBALMUDA Phoneのリリースにあわせてソフトウェアを精一杯開発したものの、同氏自身が満足しているかどうか、という観点では「目指すべき場所は全然違うレベルにある」とコメント。
現状は、「当たり前の品質」を目指す作業にリソースの半数を費やし、その後のステップとして「素晴らしい品質」を追求しているとした寺尾氏は「家電と同じく内製が重要。今、(携帯端末事業の)チームを育てて、やり込んでいかなければ、思い描くクオリティにならない。そのための旺盛な採用活動をかけている」として、さらなるレベルアップをはかる方針が示された。
なお、「BALMUDA Scheduler」については、下期に大幅なアップデートが予定されていることも明らかにされた。