レビュー
バルミューダの「BALMUDA Phone」はどんなスマホ? さっそく実機をチェック
2021年11月16日 21:19
かねてよりスマートフォンの開発を明らかにしていたバルミューダが16日、正式に「BALMUDA Phone(バルミューダフォン)」を発表した。
価格はSIMフリーモデルが10万4800円。ソフトバンク版が14万3280円となり端末購入プログラム「新トクするサポート」適用時の実質負担額は7万1640円となる。
11月26日に発売されるというそのスマートフォンは、果たしてどのような使い心地を実現するものなのか。発表会直後に披露された実機をご紹介しよう。
丸みを帯びた背面
「BALMUDA Phone」で最初に目をひくのは、やはりその外観だ。
バルミューダ創業者の寺尾玄社長が「十数年ぶりに自らデザインした」というそのフォルムは、曲線で構成され、手にフィットする形。「河原に落ちている石をイメージした」と寺尾社長は語っており、自然のなかに目立たず佇み、人々の生活にそっと寄り添う様を意識したようだ。
手に取ると、約69×123×13.7mmで、重さは138gというコンパクトさがよくわかる。丸みを帯びたボディは、写真であれば厚みを強く伝えるかもしれないが、実機を目の当たりにすると手のひらに収まる様に納得する。
背面中央には、スマートフォンを皮切りに、今後同社が展開する製品ブランド「BALMUDA Technologies」の発表時に示されたロゴが刻まれている。このロゴは寺尾氏が筆を走らせて描かれたもの。ボディは樹脂製とのことだが、ディスプレイに近い周辺はツヤのある仕上げ。一方、背面中央周辺の表面はいわゆるシボ加工が施されており、マットでややざらついた触感。シボ加工が施された部分は、「BALMUDA Phone」を使い込むほどすり減っていくようになっているという。
背面上部には黒い2つの円がある。右がメインカメラ、左は指紋センサー兼電源ボタンだ。メインカメラの右には着信などを知らせるLED、左にはスピーカーとカメラ撮影やライトとして使うLEDが配置されている。底面の端子はUSB Type-C。その左右に計4つの穴が配されているが、このうち一番左(ディスプレイを表にした場合は一番右)がマイク。残りはデザイン上、用意されたものだという。
4.9インチのディスプレイはフラット。インカメラはパンチホール型となる。ディスプレイ側のボディは、縁が立った形状。
11月8日に予告された際には、画面上のベゼル(額縁)はそれなりに厚みがあるように見えたが、実機を手にしてみると、コンパクトなボディに見合ったサイズという印象を与える。
一般的なスマートフォンでは、画面上に配置されることの多いインカメラも、大きくカーブする背面の「BALMUDA Phone」ではそれも難しかった。ボディの中央が厚みを持つ一方で、端のほうは薄い。インカメラが配置される周辺も薄いため、ベゼル内ではなくディスプレイ内にインカメラを配置することになった。
薄型ケースやガラスフィルム、保護フィルム、ACアダプター、ケーブルが用意される。
独自のアプリ
外観とあわせ「BALMUDA Phone」の特徴とされるのが、そのソフトウェア。Android 11を搭載する「BALMUDA Phone」では独自のホームアプリのほか、オリジナルアプリは、スケジュールや時計、電卓などベーシックな機能にフォーカスしたものが用意される。
たとえば電卓は、左上にある「億万」というボタンをタップすると、桁区切りのカンマを使った表記と、漢字の単位を切り替えられる。「1億」と「100,000,000」という具合だ。
ちなみに通知バーのアイコンもオリジナルで、たとえばライトのアイコンは、同社製品をモチーフにしたもの。機内モードはかつての超音速旅客機のシルエットを模したものだ。
ホーム画面は右上と左下にかかるストライプがデザインされている。そのカラーリングを好みのものにできるほか、ストライブの上にイニシャルを入れることもできる。
ストライプに指をあわせ、斜め上、あるいは斜め下にフリックすると、指定したアプリを起動するショートカット機能も用意されている。
カメラアプリでは、料理、人物といったモードが用意される。特に料理については、家電製品を多く手掛けてきたバルミューダらしく、これまでの製品を紹介する際にさまざまな料理の写真を撮影してきたノウハウが活用されているという。
手に馴染むボディ、そして日常のなかで利用頻度が高い機能をオリジナルアプリとして提供するなど、スマートフォンとしては基本的な部分を追求した「BALMUDA Phone」。
他社のスマートフォンが、カメラ機能に注力したり、ディスプレイの鮮やかさを訴求したりする中で、まったく異なる路線を打ち出すBALMUDA Phoneは、スマートフォンというよりもフィーチャーフォンのように思えてくる一台だ。
家電製品においてもバルミューダは、デザイン性だけではなく、一風変わった技法で快適さや美味しさを届けようとしてきた。スマートフォンを選ぶ際にはカメラ、価格など、いくつかの軸で考えることになるだろうが、独特の哲学を継承し道具としての存在にこだわった体験をもたらそうとする、挑戦的な一台になった「BALMUDA Phone」をユーザーはどう受け止めるのか、引き続き注目されるところだ。