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アップルとグーグル、新型コロナ「濃厚接触通知アプリ」APIを正式提供
2020年5月21日 02:00
アップルとグーグルは、新型コロナウイルス感染症対策の一環として開発してきた濃厚接触通知アプリのAPI(Exposure Notification API)の正式版の提供を開始した。これにより世界各国の公衆衛生機関は、濃厚接触通知アプリへグーグルとアップルのAPIを実装できるようになる。
両社では4月に開発を表明して以降、各国の公衆衛生機関、学識経験者、プライバシー専門家と情報を交換し、そのフィードバックを反映させてきた。たとえば、保健機関が「濃厚接触の要件」を定義できることや、濃厚接触(曝露イベント)の数を判断できること、あるいは、ユーザーが自発的な判断で報告した場合に、APIの情報と組み合わせてその人へ連絡できるようになるといった内容だ。
これまでに、日本を含む世界で5大陸22の国からAPIの提供を求めており、さらに今後数週間でより多くの国が参加する予定。日本では、政府の新型コロナウイルス感染症対策テックチーム(Anti-Covid-19 Tech Team、ACTT、アクト)が進めるアプリ開発において、同APIの利用が前提とされている。
アップルとグーグルのコメント
感染症の拡大時に公衆衛生機関が用いる最も効果的な対策のひとつに、濃厚接触者を追跡調査する「コンタクト トレーシング」と呼ばれる手法があります。このアプローチを用いることで、公衆衛生機関は感染者と接触した可能性のある人に連絡し、検査・治療・助言を提供することができます。
「Exposure Notification(濃厚接触の可能性を検出するシステム)」は、このコンタクト トレーシングの分野に登場した新しい要素のひとつで、デジタル技術を活用して、プライバシーを保護しながらウィルスへの暴露の可能性を知らせる仕組みです。Exposure Notification は迅速な通知を実現するという特定の目標があり、無症状で拡散する可能性のあるウイルスの感染拡大を遅らせる上で、特に重要な役割を担います。
このような取り組みを支援するために、Apple と Google は、公衆衛生機関が開発するアプリが Android と iOS においてより正確、確実、かつ効果的に機能するようサポートする Exposure Notification の技術を共同開発しました。過去数週間に渡り、両社のエンジニアが協力し、世界中の公衆衛生機関、研究者、プライバシーの専門家グループ、政府機関のリーダーとの対話を通じ(同技術に対する)助言やご意見を頂きました。
本日より、Exposure Notification の提供を開始します。同技術は公衆衛生機関が利用でき、Android 及び iOS 搭載端末上で動作します。両社が開発したものはアプリではなく、公衆衛生機関が独自に開発するアプリに組み込むための API です。Apple と Google が提供する技術は、上記のようなアプリがより効果的に機能するように設計されています。例えば、この技術は端末の位置情報を収集・利用しないだけでなく、さらにユーザーは Exposure Notification の機能を有効にするかどうか自体を選択することができます。新型コロナウイルス感染症に罹患した人が、公衆衛生機関が提供するアプリで陽性の診断を報告するかどうかも、ユーザー次第です。この技術の成功は、ユーザーの利用にかかっており、私たちはこれらの強力なプライバシー保護が、そうしたアプリの利用を促進する上で最良のアプローチであると考えています。
Apple と Google では、引き続き世界各国の公衆衛生機関を支援して参ります。
アップルとグーグルによるExposure Notificationの仕組み
- スマートフォン上で、毎日ランダムに生成するキー(仮称:鍵その1)と、「鍵その1」をもとに15分に一度生成するキー(鍵その2)が用意される。
- ユーザー同士が近くにいるとき、自分の端末で生み出した「鍵その2」(15分に一度のキー)が相手の端末へ保存される。
- 新型コロナウイルス感染症に感染し陽性になった人は、「Exposure Notification」API/プラットフォーム対応アプリで「感染しました」と自己申告する。
- ユーザー同意のもと感染報告者の「鍵その1」は政府か保健機関が提供するアプリを通じてサーバーへ送られる。
- API対応アプリは、定期的に全国から報告される「鍵その1」をダウンロードする。そして端末上で、誰かと会ったときの「鍵その2」とマッチするかどうか判定し濃厚接触の可能性を判定する。