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KDDI第3四半期決算は増収増益、通信ARPUやマルチブランドID数ともに成長
2025年2月5日 21:49
KDDIは、2025年3月期第3四半期決算を発表した。売上高は1兆5084億8300万円、営業利益は2914億8100万円、当期利益は1853億2800万円だった。
第1~第3四半期の連結決算は、売上高が4兆3641億9500万円(前年比+2.3%)、営業利益が8645億6600万円(前年比+2.0%)、純利益は5365億3100万円(一過性影響を除くと5349億円、前年比+0.6%)となった。通信のARPU収入の増加や金融、エネルギーなどの主要事業の着実な成長、ローソンの好調な業績により増益となったと同社代表取締役社長の髙橋誠氏は説明する。
通信ARPU、マルチブランドID数ともに増加
モバイル関連の数字を見ると、auの累計契約数は7015万4000契約(前年同期比+5%)、主要回線数は8122万2000回線でうちスマートフォン稼働数は3270万2000回線。
解約率は、1.30%で前期の1.15%から上昇しているものの、同社の髙橋誠社長は競争激化の中でも低水準を維持していると評価する。コンシューマーにおけるマルチブランドID数は3117万4000契約で前期(2024年9月末)の3116万8000契約から+6000契約とプラス転換した。髙橋氏は要因を24年11月以降に新プランを導入した影響とみている。
総合ARPUは、5340円とプラス成長しており、金融決済などの付加価値ARPU、通信ARPUともに前期より増加している。UQ mobileからauへの移行数も前年同期比で1.5倍と増加傾向にある。
通信を軸にした施策では、「auマネ活プラン+」とクレジットカード、コード決済、銀行など金融分野での成長とともに、ローソンと連携した施策も拡大。Pontaパスやpovo Data Oasisなど通信とコンビニ双方にユーザーを呼び込む施策で、ローソンの日販拡大にも寄与した。
衛星通信Starlinkの直接通信は今春に
ネットワーク品質について、5G通信の強化とともに、衛星通信Starlinkとの直接通信によるエリアカバーを進める。
Sub6基地局は国内最多の約3.9万局で、その全域でSAサービスを提供する。
Starlink衛星との直接通信に関しては、サービス提供に向けた準備は完了し、今春より対象機種を拡大して本格提供を開始する。
通信をかけ合わせた付加価値領域で成長を持続
法人事業のビジネスセグメントでは、付加価値領域が順調に成長している。特にIoT関連サービスは、売上高が前年同期比+20.8%の1220億円、IoT累計回線数は同+22.2%の4852万回線と拡大が見られる。
法人向けのWAKONXでは、通信とかけ合わせた企業のDX化を推進する取り組みを進めている。ノートパソコンにあらかじめ通信を組み込んだ製品やセキュリティ事業の強化、グループと連携して内装からICT環境の整備までトータルに提供するソリューションなどで事業を拡大。春に移転する高輪新本社をモデルケースとし、スマートシティのノウハウを蓄積する。
AIへの取り組みでは、基盤とサービスの開発を進めている。多摩データセンターでは、データ分析と高いセキュリティネットワーク、GPUを活用したサービスの開発を進める。あわせて、シャープの堺工場跡地にAIデータセンターを設置し、最新GPUによるAI基盤構築を進める。
ガイドライン改定などの影響は
ここからは、主な質疑をご紹介する。回答者は、代表取締役社長の髙橋誠氏。
――フジテレビの一連の問題について、CMの放映再開条件などはあるのか?
髙橋氏
各社同じスタンスだと思うが、KDDIは3月末までCMを差し止める形にしている。再開については、第三者委員会の状況を見ながら対応していくことになると思う。
――端末購入プログラムに関するガイドライン改定(2024年12月)の影響はあったか
髙橋氏
改定による駆け込み需要の特定は、年末ギリギリだったこともあり特定がなかなか難しい。正直そこまで大きな影響はなかった印象。
お試し割などは、各社ともにあまり出してこなかった。引き続き他社の動向を見ながら慎重に検討していく。
――Starlinkの直接通信(Direct to Cell、D2C)で準備しているサービスはあるか?
髙橋氏
RCSの準備を進めている。StarlinkのD2Cでは、メッセージングサービスが中心となるので、それに対応していく。Geminiを相手にRCSでやりとりするということも可能だと思っているので、これらを春までに準備していく。
――Povo Data Oasisは順調か?
髙橋氏
すでに10万人くらい使われているので、おおむね好調なスタートだと思っている。
eSIMを販売していない段階で全店舗の9割で利用頂いている。店舗の近くに行くだけでデータ容量が100MBもらえるということで使われているが、全店舗でeSIMを販売するようになると、より活性化されると思うので、期待したい。
(施策の効果について)一番大きな効果は、プロモーションだと思う。全店舗にpovoのイラストが出て、povoの存在に触れてもらえるので、それによって加速すると、大きな期待を持っている。