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グーグルとアップル、新型コロナ濃厚接触の可能性知らせる「Exposure Notification」のUIとサンプルコードを公開
2020年5月5日 01:15
グーグル(Google)とアップル(Apple)は、新型コロナウイルス感染症で、陽性になった人との“濃厚接触”の可能性を知らせてくれる仕組み「Exposure Notification」のユーザーインターフェイス(UI)とサンプルコードを公開した。Android、iOS向けのもの。またAPIを使ってアプリを配信する際のポリシーも開示された。
新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、世界中で「コンタクト・トレーシング」と呼ばれる仕組みづくりが導入、あるいは開発が進められている。アップルとグーグルは4月11日、濃厚接触したかどうか判定する仕組みを共同開発する計画を発表。
当初は「コンタクト・トレーシング(Contact Tracing)」として発表されたが、1週間後、「Exposure Notification(直訳すると“曝露通知”)」となった。4月30日には、初期のAPIが開示されていた。
Bluetoothでキー交換
両社の「Exposure Notification」」ではAPI、プラットフォームが提供される予定。Bluetoothを使う仕組みとなっている。
その仕組みを簡単に紹介すると、スマートフォン上では、毎日ランダムに生成するキー(仮称:鍵その1)と、そのキーをもとに15分に一度生成するキー(鍵その2)が用意される。
ユーザー同士が近くにいるとき、自分の端末で生み出した「鍵その2」(15分に一度のキー)が相手の端末へ保存される。
数日後、新型コロナウイルス感染症に感染し陽性になった人は、「Exposure Notification」API/プラットフォーム対応アプリで「感染しました」と自己申告する。すると「鍵その1」は政府か保健機関が提供するアプリを通じてサーバーへ送られる(送信することにユーザーが同意する必要がある)。「鍵その1」は、陽性報告があるまではずっと手元に留まる。つまり、不必要な情報は収集しない形。
各ユーザーのスマートフォンは、定期的に全国から報告される「鍵その1」をダウンロードする。そして端末上で、誰かと会ったときの「鍵その2」とマッチするかどうか判定、その結果「濃厚接触したかどうかわかる」という流れ。
Bluetoothのみ使う形で、GPSは用いていない。ユーザーの個人情報も活用しない。グーグルとアップルの仕組みと連携するかどうかは各国の政府次第、連携するとしてそのアプリを使うかどうかは、ユーザー次第になる。
これまでに開示されている「よくある質問」によれば、APIを活用できるのは公衆衛生当局のアプリでの追跡のみ。両社は地域ごとにシステムを無効にできる。
4月29日のアップデートによれば、アップルが開発者向けに提供した「iOS 13.5」のベータ3版において、Exposure NotificationのAPI対応アプリを実行するためのコードが含まれている。
サンプルUIとサンプルコード、方針を公開
5日(現地時間4日)の発表で公開されたものは、アプリのサンプル画面(UI)とサンプルコード。またポリシーについても公開された。
iOS版は開発者向けサイト、Android版はGitHubで開示された。オープンな形で公開することで透明性を確保する一方、政府が担保するアプリのみがApp StoreとGoogle Playだけに登場する。APIへアクセスできるのは、保健機関だけに限定される。
ポリシーを見ると、APIを利用できるアプリは、あらためて政府の保健機関が作成し、新型コロナウイルス感染症対策のみに利用が限定される。
アプリがAPIへアクセスする際にはユーザーの同意を必ず得ることもうたわれている。収集するデータは最小限、新型コロナウイルス感染症対策に制限され、それ以外の利用は許可されない。アプリによる位置情報サービスへのアクセスも禁じられる。
同様のアプリが乱立することを防ぐため、APIを使えるアプリは各国1つのみ。