石野純也の「スマホとお金」
あなたならどちらを選ぶ? 「Galaxy S25」シリーズのキャリア版とSIMフリー版を徹底比較
2025年2月6日 00:00
ソフトバンクから約10年ぶりの発売となって話題を集めたサムスン電子のGalaxy S25シリーズですが、同社はここ数年、徐々に販路を拡大しています。オープンマーケット(SIMフリーマーケット)への取り組みも、そのひとつ。当初は専用モデルとして投入していたオープンマーケット版端末ですが、その後、ストレージ容量を限定してフラッグシップモデルに拡大します。
さらに、昨年発売されたGalaxy S24シリーズでは、キャリア版とメーカー版を同時発売するに至ります。一方で、楽天モバイルを除く3キャリアが取り扱っているだけに、自キャリアで購入すれば済むユーザーも少なくない状況。あえてオープンマーケット版を購入するメリットは、どこにあるのでしょうか。価格面やそのほかの特徴を比較し、オープンマーケットならではの魅力を確認してみました。
本体価格はサムスン電子版が有利、割引ありなキャリア版も
まずは本連載のテーマでもある価格面から、それぞれの「Galaxy S25」「Galaxy S25 Ultra」を見ていきます。最初に比較するのは本体価格。サムスン電子のオンラインストアでは、Galaxy S25の256GB版が12万9000円、512GB版が14万7000円で販売されています。これに対し、最上位モデルのGalaxy S25 Ultraは価格が20万円に迫る勢い。256GB版が19万9800円、512GB版が21万7800円、1TB版が25万3800円で提供されます。それぞれをまとめると、以下のような形になります。
次に、キャリア版です。まず、Galaxy S25はドコモ、au、ソフトバンクのいずれも256GB版が中心。512GBはドコモとauで販売されますが、オンライン限定という位置づけです。256GB版の価格は以下のとおり。価格はドコモが13万5740円、auが13万5800円、ソフトバンクが12万9888円です。本体価格では、サムスン電子版が最安、ほぼ同程度なのがソフトバンク版、ほか2社は数千円高い値付けがされています。
Galaxy S25 Ultraも、256GBが中心。ドコモとauは512GBと1TB版をオンライン限定にしています。ソフトバンクは512GBを店頭でも販売するものの、1TB版の販売はありません。256GB版は、ドコモが22万5500円、auが23万4800円、ソフトバンクが21万5568円です。いずれも20万円を超えており、ギリギリですが20万円切りを実現したサムスン電子版よりは割高になります。
ただし、ドコモは「eximoポイ活」の契約で7700円の割引キャンペーン(Galaxy S25のみ)を実施。auも「auマネ活プラン+」への加入で、2万2000円の割引が適用されます。料金プランは限定されているものの、すでにそのキャリアで利用しているユーザーが機種変更する場合には、特段デメリットはありません。この割引を加味したGalaxy S25の価格はドコモ版が12万8040円、au版が11万3800円で、いずれもオープンマーケット版を下回ります。
特定の料金プランで契約するつもりがあるならキャリア版、割引対象外の料金プランやサブブランド/オンラインブランド、楽天モバイル、MVNOで使いたいならオープンマーケット版の方が負担は軽くなると言えるかもしれません。オープンマーケット版が常に最適解になるわけではありませんが、使っている回線や料金プランによってはおトクになることもある点は覚えておいた方がいいでしょう。
分割払いや端末購入プログラム加味ならキャリア版が有利
ただし、サムスン版は分割払いの選択肢が限定的なのがデメリット。同社のオンラインストアではPaidyがその手段として利用できますが、選択できるのは3回、6回、12回のみ。最長でも、1年間の分割払いしか選ぶことができません。最安となるGalaxy S25でも約13万円のため、1カ月あたりの支払い額は1万円オーバーとなかなかの負担に。大手キャリアのような24回払いや48回払いを選択できないので、少々買いづらいのも事実です。
また、大手キャリアの場合、単に分割払いにするだけでなく、購入した端末を下取りに出すことで残価を免除する端末購入プログラムを導入しています。これは、将来、下取りに出した際の価格がある程度確定される仕組みと捉えることが可能。機種変更後に下取りに出すより安心感があり、かつ一般的な下取りと比べると免除される残価の方が高くなる傾向があります。
本連載でも再三取り上げているように、これは、キャリアの定めた残価が市中の中古業者の下取り価格を超えても、そのぶんが割引と見なされるためです。Galaxy S25は最大で4万4000円、ミリ波対応のGalaxy S25 Ultraは最大で6万500円の割引が認められています。この範囲内であれば、一般的な下取り価格を超えても、残価を免除することが可能になります。
たとえば、ドコモのGalaxy S25の256GB版は8万1840円が残価。auも、5万6500円を残価として設定しています。ソフトバンクは、12回目までの下取りで残価10万7852円が免除される大盤振る舞い。他社と同様、2年間使ったとしても、8万6568円が免除されます。サムスン電子のオンラインストアでも下取りを行っているものの、1年前の「Galaxy S24」でも、256GB版は5万4800円にとどまります。2年前の「Galaxy S23」の場合、下取り価格は4万4700円まで下がります。8万円近い残価を設定しているキャリアとは、差がついていると言えるでしょう。
本体価格は割安なオープンマーケットモデルですが、分割払いや下取りなどまで加味すると、キャリアの方が買いやすく、安心感もあります。先に挙げたように、Galaxyの取り扱いがないキャリアやMVNOで使うといった理由がなければ、素直にキャリアモデルを選び、端末購入プログラムを選択した方がいいでしょう。せめて24回払いができれば、もう少しオープンマーケット版を検討する余地も出てくるため、今後の改善には期待したいところです。
お金では買えない価値もある? オープンマーケット版ならではの魅力とは
もっとも、スマホを選ぶ理由は価格だけではありません。オープンマーケット版ならではの“プラスα”な要素があり、それに魅力を感じるのであれば、そちらを選んでも損をしたと感じることは少ないでしょう。そのひとつが、限定色の存在。サムスン電子のオンラインストアには、キャリア版にないカラーまで取りそろえられています。Galaxy S25のブルーブラックやコーラルレッド、ピンクゴールドなどがそれにあたります。
ストレージ容量も、そのひとつです。先に挙げたようにGalaxy S25 Ultraの1TB版はソフトバンクで販売されていませんが、これもサムスン電子のオンラインストアで購入することが可能。また、カラバリとストレージの組み合わせも豊富。キャリア版ではストレージ容量が大きなモデルはカラーが限定されているのが一般的ですが、オープンマーケット版は自由な組み合わせで選択できます。
端末のカラーに強いこだわりがあったり、ストレージ容量がどうしても必要だったりするときには、オープンマーケット版が選択肢になるというわけです。また、Galaxyの場合、iPhoneやPixelと違って一部、キャリア向けのカスタマイズが施されています。これがない“素のGalaxy”を求める人にとっても、オープンマーケットはうってつけの選択肢になるでしょう。
以前はオープンマーケット版だと修理拠点が限られているという弱点もありましたが、Galaxy S24シリーズ以降、ドコモショップで店頭即時修理に対応しているリペアコーナーでは、オープンマーケット版も受け付けています。現時点では未発売のためかGalaxy S25シリーズの表記はありませんが、従来通りであれば、今後ここに新機種として追加されることになるはず。店頭での即時修理ができるという点では、それを実施していないドコモ以外のキャリア版よりも条件はいいと言えそうです(場所は限定されてしまいますが)。
このように、価格以外や支払い方法以外にも、オープンマーケット版を選ぶ意義はあります。かかる費用と、オープンマーケット限定の要素を天秤にかけ、メリットが上回るようであればそちらを選択してもいいでしょう。もちろん、サムスン電子やGalaxyの熱心なファンも、オープンマーケットをチョイスする動機にあります。昨年から追加されたもうひとつの選択肢として、キャリア版以外にも目を向けてみることをおすすめします。