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第49回:迷惑メール・悪質メールとは
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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無断で送られる迷惑メール、電話機を悪用する悪質メール
以前からインターネットではありましたが、最近では、携帯電話でも、見知らぬ相手からの、不要な勧誘のメール、出会い系サイトなどの宣伝を目的としたメールやチェーンメールなどが送られてくることがあります。これが最近話題になっている携帯電話の「迷惑メール」です。
iモードメールなどでは、通常はメールを受信するためだけでも利用したパケットに対して課金がされるために、ユーザーはこのようなメールに対しても料金を払わされることになります。その意味では、インターネット上のSPAMメール(無差別に送られるe-mailを使ったダイレクトメール)よりもさらに悪質な迷惑メールであると言っていいでしょう。
また携帯電話事業者などによると、最近は、これに加えて、「悪質メール」による被害も出はじめているようです。この悪質メールとは、メールを読んでしまうと携帯電話のボタンなどを押しても反応しなくなる(いわゆる「フリーズ」という状態)、あるいはメールの手順に従っていくと、電話機が特定の番号に電話をかけてしまうなどのいやがらせを意図したメールです。
迷惑メールの送られかた
迷惑メールの多くは先にあげたように出会いサイトなどの宣伝目的で、あるいはいたずらのためにメールをします。そのため、無差別にできるだけ多くの人にメールを送ることが考えられているようです。
たとえば、iモードメールの場合、メールのアドレスは工場出荷状態では「電話番号@docomo.ne.jp」というアドレスになっています。電話番号は090ではじまりNTTドコモの電話であれば2,3で始まる……というようにある程度決まっていますので、この電話番号の部分を無作為に組み換えることで不特定多数のメールアドレスを作り、無差別にメールを送る、というようなことがされていることが多いようです。特に、サイトの宣伝目的などで、無差別に大量のメールを発信する場合、パソコンなどから送るインターネットメールは携帯電話から送るメールより圧倒的にコストが低いこともあり、ほとんどの場合携帯電話からではなく、インターネット上のパソコンから発信されています。
また、悪質メールの方は、一部の携帯電話に「確認画面を出さずに自動発呼する機種」や「確認画面を出さずに自動メール送信する機種」があるため、メール中やメール内から呼び出されたWebページ中にこれらの機能を悪用したデータを入れておくことで、ユーザーの意図しないところで勝手に電話をかけたり、メールを送信したりするといういたずらをする、ということがあるようです。ドコモの発表によれば、確認画面が出ずに自動発呼や自動メール送信を行なう可能性のある機種は以下の通りです。ただし、悪質メールについては、宣伝目的などの迷惑メールに比べ、被害の数はずっと少ないようです。
【確認画面が出ずに自動発呼する機種】 F502i、F502it、N502i、N502it、D502i、SO502i、N503i、F209i、N209i、N210i、N821i、P821i 【確認画面が出ずに自動メール送信する機種】 F502i、F502it、SO502i、F503i、SO503i、F209i
対策1:なにはともあれ電話番号のみのメールアドレスはやめる
迷惑メール・悪質メールには根本的な対策は難しいものの、ユーザー側でできる対処方法はいくつかあります。
まず、メールアドレスを090……というような電話番号そのものではなく、変更することでぐっと届きにくくなるはずです。
前述したように、迷惑メールを送る際に、無作為に作られている送り先のメールアドレスは、090で始まる電話番号をコンピュータでアトランダムに生成している場合がほとんどです。迷惑メールが毎日のように届く、という人の話を聞くと、やはりこの電話番号そのもののメールアドレスから変更していない、というパターンのようです。
iモードの場合、携帯端末で、メールアドレスの@マークより前(ユーザー名)部分を、半角英数字および「_」(アンダーバー)、「.」(ピリオド)、「‐」(ハイフン)の記号を使って、3文字以上30字までで自由に変更することができます。
ただし、この方法も決して万能ではありません。例えば、NTTドコモのサンプルでも「docomo.taro@docomo.ne.jp」のようなユーザー名にしていますが、迷惑メール対策という意味ではこのタイプのユーザー名にこだわらないほうがいいかもしれません。
というのも、アトランダムな数字、というアドレスの作り方ができなければ、次はSPAM業者がメールアドレスによくあるパターンを考え出してそのパターンでメールを送る、というようなことも考えられるからです。
特に、名字、名前、あるいは英単語などというのは辞書データをもとに、これらを組み合わせて簡単に無作為の名簿を作り出すことができます。たとえば、よくありがちな(例をあげるとするとスズキさん、サトウさん、ヒロシさん、タカシさん……といったもの)名前の場合は、これにひっかかってしまうこともあり得ます。
・名前 (hiroshi@…… ・名字.名前 (suzuki.hiroshi@…… ・名前.名字 (hiroshi.suzuki@…… ・イニシャル+名字 (hsuzuki@…… ・イニシャル+名前 (shiroshi@……
というようなメールアドレスは分かりやすいとも言えますが、迷惑メールを避けるという観点からは避けた方がいい命名方法かもしれません。ただし、こうした名前そのままのアドレスでも、番号のままよりは迷惑メールがずっと少なくなると思われます。
対策2:メール着信の制御でいらないメールをはじく
他の方法としては、たとえば、iモードメールの場合は、携帯電話の使い方にもよりますが、メールの指定拒否、指定受信、一括拒否を設定できますので、このような機能を使うのもひとつの手でしょう。
ただし、メールの指定拒否というのは、特定のメールアドレスからのメールを拒否するという機能です。ただし、この手の迷惑メールの発信者は多くの場合、簡単にメールアドレスを変えて送ってきますので、あまり効率のよい方法とはいえません。
電話の使い方にもよりますが、一般的には、便利なのは指定受信や一括拒否の方ではないかと思います。
指定受信は特定のメールアドレスからのメールのみを携帯電話で受けるように指定する方法です。緊急に連絡が必要になりそうな人にのみ、携帯電話のメールアドレスを教えておく、というような使い方でもいい場合は、これでほぼ確実に迷惑メールはなくなるでしょう。
緊急を要さないメールは普段はインターネットメールを使ってパソコンで見ることにして、携帯電話を使うときはリモートメールでこのメールを見るようにする、などという使い方もひとつの手でしょう。
また、迷惑メールは普通、インターネット上から送られますから、「メールの受信をiモードからだけに限る」ことができるメール一括拒否機能を使って、基本的にはインターネットからのメールを拒否すれば迷惑メールの多くはほぼ防ぐ事ができます。基本的には、SPAM業者は、iモードからメールを送るのでは手間も採算もあいませんから、まず、やらないだろう、というわけです。ただし、そうすると当然、インターネットとメールを自由にやりとりできるメリットがなくなってしまいます。
悪質メールに関しては、まず、メールが怪しいものではないかを確認することが大事です。NTTドコモの場合、開封してしまうだけでアクションを起こされてしまうようなものを開封してしまった場合、通話終了ボタンを即座に押すこと、また送信不明のメールの場合は開封しないことを勧めています。
事業者も努力はしている……
なお、ユーザーの努力だけでなく、最近話題になっているように、携帯電話事業者もこの迷惑メールに対していくつか対策を取り始めています。NTTドコモの場合、本誌5月25日の記事、6月18日の記事でお伝えしているように、以下のような対策を発表しています。また、悪質メールについては、注意を呼びかけているほかに、今後法的措置も考えていくと発表しています。
指定受信・指定拒否を10件に拡大する ・新規契約時のメールアドレス初期値「電話番号@docomo.ne.jp」を、7月9日から電話番号部分を英数字をランダムに組み合わせたものに変更する ・8月1日から、全てのiモード契約者を対象に最大月400パケットまでパケット通信料を無料にする
・ iモード 悪質メールについて(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/itazura.html
・ iモードを利用した新たな悪質メールへの対応(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/01/whatnew0613b.html
・ ドコモ、初期アドレスの変更など迷惑メール対応策を発表
・ iモード端末、特定コマンドメールで勝手に電話をかける問題
・ ドコモ、1カ月につきメール約60通分のパケット通信料を無料に
(大和 哲)
2001/06/26 00:00
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