「Wnn」は、ワークステーションや携帯電話、家電製品など幅広い製品で利用されている、かな漢字変換システムです。最初のバージョンは1987年に京都大学や、立石電機(現オムロン)、アステック、慶應義塾大学によって共同開発され、Wnn2としてワークステーション(パソコンよりもさらに高性能な、エンジニア・デザイナ向けコンピュータ)向けに開発・リリースされました。
リリース当初から、かな漢字変換に頻度を優先するか、文節の長さを優先するかなど、ユーザーによってパラメータを変更して、自分好みの変換システムにできるといった機能が評判となり、UNIXユーザーなどから愛されたシステムと言えます。
Wnnには、これまでにもさまざまなバリエーションが登場しています。現在ではワークステーションのほか、携帯電話やゲーム機、液晶テレビ、DVDレコーダーなどにも搭載されています。
携帯電話には、Advanced Wnnシリーズがオムロンソフトウェアより提供されています。たとえばauのW62SAなどのかな漢字変換システムとしてAdvanced Wnn αという製品が採用されています
。
携帯電話向けの最新製品として、2008年5月に「iWnn」の開発が発表されました。「iWnn」では、季節や時節、現在時刻、送信相手、文脈などから入力時のシチュエーションを自動的に判断し、最適な予測候補を表示する予測変換機能や、機種変更したときに辞書を新しい携帯電話に移動できる辞書再構築機能などが用意されています。6月3日に発表されたauの2008年夏モデルでは、W62KとW63Kの2機種に「iWnn」が搭載されると案内されています。
■ 製品名は「私の名前は中野です」から
Wnnは、「うーんぬ」、もしくは「うんぬ」と読みます。
Wnnという名前は、開発時に目標として「Watashino Namaeha Nakanodesu(私の名前は中野です)」という文を一括で漢字変換ができること、という項目があり、その文の各文節の頭文字Wnnをとって名付けられました。オムロンソフトのWebサイトでは、「私の名前は中野です」という文章が一括変換できることから命名されたとしていますが、Wnn開発に携わった方のWebサイトでは、単文節変換を主張する京都大学に対し、立石電気の担当者である中野氏が「私の名前は~」程度は一発で変換できるようにすべきと主張したことから開発目標の1つとなり、ソフトウェアそのものの名称の由来になったと紹介されています。
かなを漢字に変換する場合、単文節変換方式というタイプのシステムでは、ユーザーが入力した文字は文節ごとにユーザーが変換する必要があります。
watashino[変換]namaeha[変換]nakanodesu[変換]
↓ ↓ ↓
私の 名前は 中野です
という具合です。これに対し、文を全て入力しても変換システムが文節を判断して自動的に最適な漢字かな混じり文章にするのが連文節変換です。
watashinonamaehanakanodesu[変換]
↓ ↓ ↓
私の 名前は 中野です
Wnnの開発が開始された1985年当時、連文節変換ができるかな漢字変換システムは、ジャストシステムから発売されていたパソコン用ワープロソフトに添付のATOK3など、ごくわずかしか存在していませんでした。現在では、多くのかな漢字変換システムが、連文節変換方式を採用しているほか、連想変換、辞書学習機能などを備えています。
■ URL
オムロンソフト Wnnの歴史
http://www.omronsoft.co.jp/SP/mobile/history.html
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(大和 哲)
2008/06/04 12:05
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