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第370回:緊急地震速報 とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


テレビやラジオ、携帯電話などで地震を揺れる前に知らせる

NTTドコモの「エリアメール」の画面表示イメージ

NTTドコモの「エリアメール」の画面表示イメージ
 「緊急地震速報」とは、気象庁が中心となって提供しているサービスで、地震発生直後に震源に近い地震計で捕らえた情報を解析・送信し、地震の揺れが始まる前に予想震度や揺れの到達予想時刻を情報として各地に知らせます。「緊急地震速報」を受けることで、ユーザーは大きな揺れが始まる前に地震が発生する可能性が高いことを知ることができ、地震による被害を小さくすることを目指しています。

 このサービスは、鉄道事業者や電力・ガス事業者などのライフライン事業者、地方公共団体などに提供されるほか、一般ユーザー向けにもテレビやラジオ、インターネットのIPv6などを利用したサービス提供も行なわれています。

 一般ユーザー向けとしては、携帯電話を利用したサービスも提供されています。既にNTTドコモが「エリアメール」というサービスで、905iシリーズや705iシリーズの一部機種向けに緊急地震速報を配信しています。またKDDIは、auの2008年春モデルの一部機種から緊急地震速報受信機能を導入しています。


受信には携帯電話の設定を「受信する」に

 NTTドコモの「エリアメール」は、セル内で一斉同時配信を行なう3GPPで標準化された仕組み「CBS(Cell Broadcast Service)」を利用した緊急情報メール配信サービスです。2008年5月現在、FOMAの905iシリーズ、N705iμ、P705iμ、N705i、P705i、SO705i、PROSOLID μが対応しており、これらの機種では、緊急地震速報が配信される地域にいた場合、専用着信音とバイブレーション、それに画面上に地震速報の情報が表示され、ユーザーに注意を促します。

 ただし、CBSの仕組み上、電波環境によって受信できなかった端末があっても情報再配信などは行ないません。また、どの端末が受信に成功したかも、送信側は把握できません。このサービスにはあらかじめ受信設定は必要ですが、申し込み、通信料、月額使用料などは必要ありません。

 一方、auの緊急地震速報受信機能は、3GPP2で標準化されている「ブロードキャストSMS」を利用した一斉同時配信機能です。こちらも緊急時に輻輳なしに緊急地震情報を、対象地域内にいる端末宛に通常と異なる呼出音で通知するとともに、バイブレーションと画面表示で大きな揺れのある地震が発生する可能性が高いことをユーザーに伝えます。2008年5月現在の対応機種は、W61CA、W61H、W61K、W61SA、W61SH、W62SAの6機種で、これらの機種を利用している場合は、申し込み不要、利用料、通信料なども無料で利用できます。ただし、auの場合も初期状態では受信機能が「オフ(受信しない)」になっていますので、同機能を利用するには、ユーザー自身が操作して、受信機能を「オン」に設定しておく必要があります。


緊急地震速報の仕組み

 緊急地震速報が発信される仕組みは、地震波を計測することで実現しています。一般向けの緊急地震速報は、2カ所以上の観測点で地震による揺れが観測され、さらに震度5弱以上の地震が想定される場合に配信されます。

 気象庁では、緊急地震速報を発する際に、「地震の発生時刻」「発生場所(震源)の推定値」「地震発生場所の震央地名」に加えて、全国を約200の地域に分けて、「強い揺れ(震度5弱以上)が推定される地域」「震度4が推定される地域」を発表します。

 携帯電話への配信の場合、気象庁の地域分類に従って、該当地域にいる携帯電話宛に緊急地震情報が配信されます。

 地震の揺れは、まず最初に揺れる初期微動(P波)、それから主な大きな揺れである主要動(S波)の揺れが観測されます。2カ所の地震観測点でP波を観測し、気象庁が速報を発表します。携帯電話の場合は、キャリアの設備に気象庁からの速報が届いてから10秒程度で端末に配信されることになります。

 地震波の観測に2カ所以上での観測が必要なこと、また、そこから震源地の計算、システムを使って携帯電話への配信などに時間が必要であることから、直下型地震など震源に近いエリアについては、S波が到達した後で緊急地震速報が届く、つまり「緊急地震速報が間に合わない地域」になってしまうことがあります。


緊急地震速報を受けたときにすべきこと

 緊急地震速報は、地震の揺れが到達する前に受信できたとしても、強い揺れが来るまで最大でも数十秒程度しか猶予はありません。ですので、あらかじめ地震速報を受けたときに何をすべきか把握しておき、その短い時間で身を守るための行動を取る必要があります。

 気象庁では、ホームページなどで、緊急地震速報を見聞きした時に取るべき行動として、の具体例について解説しています。

 たとえば、屋内、家庭にいるときは、

・頭を保護し、丈夫な机の下などに隠れる
・あわてて外に飛び出さない
・無理して火を消そうとしない

 また、屋外にいるとき、街中については、

・ブロック塀の倒壊等に注意
・看板や割れたガラスの落下に注意
・丈夫なビルのそばであれば、ビルの中に避難

といった行動が推奨されています。

 公共機関などでも同じく、緊急地震速報を見聞きしたときの対応方法を掲載していることがありますので、そういったポスターや掲示を見て、対応方法を事前に把握しておくべきでしょう。たとえば、高速道路で自動車運転中に緊急地震速報を知った場合の対応方法については、JARTIC(日本道路交通情報センター)のWebサイト内に解説が載っています。それによると、

・あわててスピードを落とさない
・ハザードランプを点灯し、周囲の車に注意を促す
・急ブレーキはかけず、周囲の車の動きに注意して、ゆるやかに速度を落とす
・大きな揺れを感じたら道路の左側に停止

という行動が案内されています。後続車が「緊急地震速報」を聞いていないことが考えられますから、緊急地震情報を見聞きしたときに急ブレーキを踏むことで、追突事故を起きる危険が大きくなるため、こういった行動を取ることが推奨されているのです。



URL
  気象庁 緊急地震速報について
  http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/EEW/kaisetsu/
  NTTドコモ エリアメール
  http://www.nttdocomo.co.jp/service/anshin/areamail/
  au 緊急地震速報受信機能
  http://www.au.kddi.com/jishin_sokuho/

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(大和 哲)
2008/05/13 12:05

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