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第321回:フェムトセル とは
大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページは
こちら
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(イラスト : 高橋哲史)
携帯電話を英語で“Cellular Phone”(セルラーフォン)と呼ぶように、携帯電話には「セル」という概念があります。これは、電波を発して携帯電話と通信を基地局のカバーする範囲のことです。携帯電話のエリアは、セルをいくつも作ることで広い範囲をカバーしています。
フェムトセル(Femtocell)は、これまでより、ごく小さい範囲をカバーする基地局の方式です。
携帯電話のセル、つまり1つの基地局でカバーする範囲は、半径1km~数km程度ありますが、フェムトセルでカバーされるのは、たとえば家の中や小さなオフィスなど、せいぜい数m程度のエリアです。
フェムト(Femto)とは、ミリ、マイクロ、ナノ、ピコよりもさらに小さい、「1,000兆分の1」を示す接頭語です。実際にマイクロセルよりもフェムトセルが10億分の1もカバー範囲が小さいわけではありませんが、言葉の雰囲気として「非常に小さい」セルをあらわすために、フェムトという語句を使っているようです。
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フェムトセルのメリット
フェムトセルは、家庭やSOHOなどの小規模オフィスに設置される超小型基地局によって実現されます。超小型基地局は、家庭内の固定電話に繋がっている固定回線、つまり電話回線や光ファイバー、CATV用ケーブルなどと接続し、携帯電話がキャッチできる電波を発します。発している電波は、出力以外は普通の基地局と同様で、携帯電話からすると普通の携帯電話基地局と通信しているように見えています。超小型基地局と通常の基地局の異なる点は、電波の出力が小さく、携帯電話との距離が近いということになります。
メールやSMS、ブラウジング(WAP)のようなWebサービスも普通の携帯電話と同じように使えますし、HSDPA/HSUPAといった高速データ通信もサポートします。屋内での通信という面では、無線LANに似ているとも言えますが、フェムトセルであれば、携帯電話側で無線LANをサポートする必要はなく、今まで通りの携帯電話でも接続できます。
携帯電話事業者にとっては、携帯電話のエリアカバーの場合、特に2GHz帯など高い周波数帯では建物内などで電波が届きにくい場合があるとされていますが、フェムトセルでカバーできれば、より密なエリアカバーが可能になるというメリットもあります。
また、キャリアとしては、サービス提供のためのバックボーンを強化できる、というメリットもあります。というのも、携帯電話向けのマルチメディアサービス、特に音声や映像のオンデマンド配信への需要が高まっている一方で、携帯電話が利用できる電話の帯域は限られており、数多くの携帯電話からさまざまなリクエストがきてしまうと裁ききれなくなる可能性が高くなります。しかし、そう簡単に電波の周波数帯を広げることもできません。フェムトセルがあれば、1つ1つのエリアは狭くても、基地局自体を多く設置し、セル1つあたりの携帯電話の数を少なくすれば、繋がりやすくなり、さまざまなパターンでの配信ができるというわけです。
「フェムトセル」という概念に基づいた製品は、既にいくつかのメーカーから発表されており、近い将来製品として発売される予定になっています。たとえば、携帯電話施設メーカーとして世界大手のエリクソンは、「The Home 3G Access Point」として、2007年には複数の事業者を通じて超小型基地局を提供することを発表しています。
日本ではNTTドコモが、2006年決算発表時、「Docomo 2.0」の一環として、フェムトセル用超小型基地局への取り組みを開始することを明らかにしています。またソフトバンクモバイルは昨年秋から小型基地局の貸与を開始していますが、これもフェムトセルとして活用されることがあるかもしれません。
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URL
Ericsson introduces 3G/HSPA indoor access point for the home(英文)
http://www.ericsson.com/ericsson/press/releases/20061115-1088529.shtml
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(大和 哲)
2007/05/08 12:07
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ケータイWatch編集部
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