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ドコモの2006年度決算は増収減益、「DoCoMo 2.0」を掲げる
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決算概要
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ドコモ中村社長
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NTTドコモは、2006年度連結決算を発表した。
営業収益は、前年比0.5%増の4兆7881億円、営業利益は7.1%減の7735億円、税引前利益は18.8%減の7729億円、当期純利益は25.1%減の4573億円の増収減益となった。
NTTドコモの中村維夫社長は、「携帯電話収入は245億円の増加となり、営業収益の増加に影響した。だが、端末の販売台数が前年の2,500万台から、2,600万台へと増加。さらに、FOMAの販売比率が上昇し、収益連動経費が735億円増加した。MNPの影響などもあり、端末の計画を110万台上回る実績。販売手数料の増加などにより、営業利益は通期予想の8,100億円を下回る7,735億円となった」とした。
MNPの影響を受けた11月には、純増シェアはマイナスとなったが、「その後、903iシリーズや703iシリーズの投入により、純増シェアは回復トレンドに移った。2007年度は40%のシェアを目指す」とした。
解約率は、第4四半期には0.97%になり、下期では0.95%。下期見通しの1.0%を下回った。中村社長は、これを受けて、「MNPの影響は小幅なレベルだった」と総括した。
だが、「MNPによって、63万件の純減があり、これは決していい結果ではない。顧客が乗り換えた理由は、FOMAを始めた頃の印象が抜けきれずに、3Gネットワークに対する不安があったこと、ドコモは料金が高いというイメージを払拭できなかったこと、端末料金に関しても他社が0円で販売したのに対して、当社は端末価格をそこまで下げなかったことが理由。しかし、ネットワークは継続して強化しており、心配はしていない。料金も決して高くはない。これからもいろいろと料金プランを考えていく。さらに、今後は、(未発表の)704iシリーズによって、競争力のある新たなものをラインアップできる」とした。
一方、FOMAへのマイグレーションは、順調に推移しており、今年3月末時点でのFOMAの契約数は3,500万を突破。2007年度末には8割以上がFOMAになると予測した。MOUは、前年から5分減少の144分。ARPUは、「2ヶ月繰り越し」の特殊要因を除くと、パケットARPUの増加分が影響し、3.8%減に留まった。
■ DoCoMo 2.0への取り組み
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一歩先の戦略
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また、NTTドコモでは、「DoCoMo 2.0」を掲げ、これを、5月以降プロモーションなどに活用していく考えを示した。
「Web2.0にあやかったDoCoMo 2.0。一歩先に進んだ、新たな価値創造に挑戦する」とし、サービス、料金、端末、ネットワークといった観点から新たな機軸を打ち出すことを示した。
「これまでの競争、対抗フェーズからの脱却を図り、より生活に密着した、生活インフラとしての定着を目指す」(中村社長)。
サービスおよび料金では、「新たなジャンルへの挑戦」を掲げ、定額制ビジネスの拡大、決済/クレジットの本格展開などをあげたほか、端末では先進的な端末の開発や、高速化、映像対応、国際対応などの観点からの強化を図る。エリアの拡充についても、面展開による整備から、高速大容量化、効率的な投資、顧客との双方向でのエリア展開などを進めるとした。
「相手が下げてきたら、こっちも下げるということは、ある程度やらなくてはならないが、それだけではいけない。年間300~400万台という純増規模しかない国内市場でシェア争いをしているのではなく、アジア全体でどうするのかといったことも考えなくてはならないだろう。携帯電話ビジネスは、これまでとは違う様相を呈してくることになる」とした。
従来の同社基幹システムでは、料金施策の意志決定からシステムに反映するまでに約半年を要したが、今年秋にも導入する予定の新システムでは、これを約1カ月に短縮できるため、柔軟なサービス展開ができるという。新システムの稼働も、同社の戦略に影響を与えることになるだろう。
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パケ・ホーダイ契約数の推移
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パケ・ホーダイの契約が956万契約に達し、1年で2倍規模に拡大。また、「iチャネル、メロディコールも、ともに1000万契約を突破。とくに、iチャネルの契約増加のペースは早い。サブスクリプションモデルとして、ARPUの底上げに寄与することになる」などとして、これもDoCoMo 2.0のビジネスモデルを構成するとした。
新サービスとしては、昨年10月に開始した検索サービスの利用数が増大していることをあげ、今後は、専門検索機能の開発や、2007年6月には検索連動広告の提供を開始することなどを明らかにした。
先頃発表した2つの契約を用途に応じて使い分けることが可能な「2in1」サービスを提供することも、一歩先を行くサービスの1つと位置づけ、新たな活用方法を提案していくとした。
DCMXは、3月時点で200万契約を突破。決済端末も約15万台となった。「家族カードやETCカードの追加などによるカードラインアップの充実、マクドナルドをはじめとするファストフードや主要コンビニエンスストアで利用できるようになることで、この分野は、今年が勝負の年になる」などとした。
さらに、2010年にサービス開始を予定しているSuper3Gに触れ、「Super3Gでは、100メガ級の速度を出せる。これにより、新たなサービスを創出できるようになる。そこに今後の成長を求めたい」とした。
同社ではIP化対応BTSや、フェムトセル用BTSなど、小さな屋内を基地局とする取り組みを開始することを明らかにし、「すでに欧州では実績があがっている仕組み。これをドコモとして活用していきたい」などと語った。
■ 2007年度の見通し
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FOMAネットワークは面的拡大から質的向上に
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一方、2007年度の通期見通しについては、営業収益は、前年比1.3%減の4兆7,280億円、営業利益は0.8%増の7800億円、税引前利益は1.9%増の7880億円、当期純利益は4.1%増の4760億円とした。
携帯電話収入は約640億円の減少、端末販売台数および代理店手数料の減少の収益連動経費は約1,050億円の減少になるとしている。
また、設備投資は、2006年度のFOMA基地局の設置を前倒しにしたことから、当初計画に比べて約200億円を増額し、9,344億円となったが、2007年度はFOMAの設備投資がピークを越えるとして、1,840億円減少の7,500億円を見込む。
「1万局以上の基地局増設は続けていくが、エリアの面的拡大ではなく、エリアチューニングや顧客との双方向でのエリア整備といったFOMAエリアの品質向上や、定額制普及によるデータトラフィック拡大に対応した設備の増強、HSDPAエリアの人口カバー率を90%に拡大するといった設備投資に取り組む」とした。
コスト削減については、FOMAの販売比率の上昇が収束することで端末調達価格の低減に加え、70Xiシリーズなどの調達価格の安いモデルの販売比率が5割を占めること、さらに、903iシリーズ以降に本格搭載した1チップLSIによるコスト削減効果も期待できるとしている。
2006年度における端末1台あたりのインセンティブは3万7000円。「2007年度は、これが1,000~2,000円程度下がるだろう」(坪内和人取締役執行役員財務部長)とした。
また、中村社長は、ワンセグ搭載製品に関して言及。「将来的には、ワンセグ機能が標準搭載することになる。いかに薄くして、安くできるかが鍵であるとともに、熱の問題がある。70系でワンセグがいるのかという議論もあるだろうが、無いよりはあった方がいい。厚さとコストと、顧客の要求を見て対応していきたい。また、GPS、GSM、おサイフケータイ、ワンセグといったものをすべて載せたものを、905シリーズで実現できるだろう」などとして、将来の製品計画にも触れた。
さらに、「2008年から、ワンセグ放送におけるサイマル方式をどう変えることができるのか。これを携帯電話会社は、どう収益につなげるのか。定額制との連動などを含めて、料金とセットにしながら施策を考えていく必要がある」とした。
■ URL
NTTドコモ 決算短信(PDF形式)
http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/ir/binary/pdf/library/earnings/fy2006_4q.pdf
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・ ドコモ、904iシリーズ5機種を開発
(大河原克行)
2007/04/27 19:46
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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