|
|
|
第292回:ユニバーサルサービス制度 とは
|
|
|
|
大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
|
■ 「全国均一インフラ」を支える負担を分担
「ユニバーサルサービス制度」とは、NTT東日本とNTT西日本が提供している、加入電話サービスや離島特例通信、公衆電話サービス、110番/119番などの緊急電話にかかる費用を、そのほかのIP電話などを含む電話会社、携帯電話、PHS事業者などが負担する制度です。
事業規模が一定額(10億円)を超える事業者から徴収される負担金は、基礎的電気通信役務支援機関である電気通信事業者協会(TCA)を通じて、交付金という形でNTT東日本、NTT西日本に交付されます。
この制度は、情報通信審議会によって諮られ、答申を受けた総務省の省令改正という形で実現し、2007年1月よりスタートすることになっています。
なお、携帯電話会社などから支払われる負担金の金額ですが、回線単位で、2007年1月から6月末まで番号あたり毎月7円、その後、6カ月ごとに見直しされることになっています。
その負担方法ですが、情報通信審議会による答申内で受益者負担の原則がうたわれていることから、KDDIが社長定例会見で「利用者に負担してもらう方向で検討している」、ドコモが社長会見で「まだ決めてない」としながらも、「答申を踏まえると、7円をご負担いただく方向になるだろう」との見解を示すなど、なんらかの形で最終的には利用者に転嫁する方向で考えられているようです。
■ ユニバーサルサービスとは
ユニバーサルサービスとは、全国どこにおいても公平かつ安定的に提供されるサービスのことを言います。日本国内では、加入者電話、郵便、電気などがユニバーサルサービスとして提供されています。
電話に関しては、「国民生活に不可欠であるため、あまねく日本全国における提供が確保されるべきものとして総務省令で定める電気通信役務」として、電気通信事業法と総務省省令によって、NTT東日本と西日本が提供しています。
この電話のユニバーサルサービスとしての提供は、民営化前から日本電信電話公社によって行なわれ、公社の民営化、電気通信市場への参入自由化も、民営化された日本電信電話株式会社の責務として、電気通信事業法と日本電信電話会社法によって定められ、これらのサービスはNTT東西の内部相互補助で維持される状況を念頭に、運用されてきました。
しかし、他の事業者との競争などが進展するにしたがって、NTTの内部補填、つまり採算のとれる事業での利益を、不採算の事業への補填などに使うことが難しくなってきました。競争相手は、採算を上げられる事業だけを行なうことができるからです。
たとえば、同じ電話を引くのでも都市部では面積あたりの加入者が多いので回線あたりのコストが低くできますが、地方ではコストが高くついてしまうために、結果的に、都市部であげた収益を地方の回線の維持のために補填する必要があります。
答申に使われた資料によれば、たとえば北海道の場合、もっとも低コストな札幌のある収容局では1回線あたり1,615円ですが、もっとも高いコストの夕張の収容局では40万5,305円というコストがかかっています。
赤字ということでは、公衆電話の存在も問題です。以前と違い、多くの人が携帯電話やPHSを持っているため、公衆電話が使われることは非常に少なくなりました。その結果、現在では、電話ボックスなどにおかれている公衆電話のほぼ全てが赤字、地方によっては、月数度程度しか使われないために平均通話コストが1分当たり数千円という局まで存在するようになりました。
これらを踏まえし、新しい制度では、ベンチマーク方式によって全体の約4.9%を占める高コスト地域で、全国平均とかかる費用の差額を、各電話事業者が回線数に応じて拠出する基金によって負担することとなりました。
試算では、補てん額は、平成17年度で110億円から170億円程度。平成18年度で195億円~275億円程度、平成19年で280億円から380億円程度が必要とされています。
これからNTT東日本、NTT西日本が自身が補てんを行なう対象額を引き、各事業者の回線数で割って、回線あたりの負担額が割り振られます。2007年度6月までに関してはNTT東日本、西日本の補てん対象額が共に75億円程度、1電話番号あたりの共に約3.5円となり、利用者は番号あたり7円の負担となったのです。
■ URL
総務省 ユニバーサルサービス制度
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/universalservice/menu1.htm
■ 関連記事
・ ドコモ中村社長、「20機種以上の新端末を投入する」と発言
・ KDDI社長会見、「MNPは法人市場でもチャンス」
(大和 哲)
2006/10/03 11:52
|
ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.
|
|
|
|
|
|