KDDIは20日、小野寺正代表取締役社長兼会長の定例会見を実施した。会見では法人向けの携帯電話端末とサービスを発表。また、ユニバーサルサービス制度については、1電話番号あたり月額7円と決まった負担金について、利用者に負担してもらう考えであることを明らかにした。
■ MNP導入は法人市場にとっても大きなチャンス
会見では、番号ポータビリティ制度(MNP)の導入は法人市場においても大きなチャンスであると説明。KDDIでは、法人契約は携帯電話市場全体の約10%に達すると推測しているが、法人市場でも「電話番号が変わること」がキャリア移行の障壁になっており、これがMNPの導入により市場の流動化が期待できるとした。
その上で、法人向けの新端末としてカシオ計算機製の「E03CA」を12月に発売することを発表。また、テキストや音声などを最大20人のグループ間でやりとりできる法人サービス「Business Messenger」を2007年1月に開始し、2007年1月~6月までは試験提供期間として無料で提供することを明らかにした。Business Messengerは、個人向けのコミュニケーションサービス「Hello Messenger」をベースにしたもので、新端末のE03CAが対応機種となる。
■ ユニバーサルサービス基金はユーザー負担の方向で
質疑応答では、ユニバーサルサービス制度で「1電話番号あたり月額7円」と決まった負担金については、「利用者に負担してもらう方向で検討している」とした。これについて小野寺社長は、「事業者が負担すればいいではないかという意見もあるだろうが、ユニバーサルサービス基金の趣旨をきちんと説明していくことで理解をいただきたい」と語った。
また、ユニバーサルサービス制度の見直しについては、「ユニバーサルサービスとは何かという議論や、コスト面での議論が十分ではない。例えば、固定電話よりも携帯電話の方が安く提供できるエリアがあるかもしれないし、技術革新でもっと安くサービスが提供できるかもしれない。この地域の固定電話は赤字だから基金で埋め合わせればいい、という安易な考えでは困る」として、基金の対象となるサービスや基金そのものの継続についてもきちんと議論すべきであるとした。
■ 携帯端末のインセンティブ見直しについては「影響を踏まえた上での議論を」
9月19日に総務省が発表した「新競争プログラム2010」の中で、携帯電話端末のインセンティブ(販売奨励金)やSIMロックといったビジネスモデルについての検証が必要であるとされたことについては、「現行のビジネスモデルは、インセンティブがあるという前提に完全になっている。これを変更すると、我々事業者よりもメーカーなど周辺への影響があまりにも大きすぎるのではないかと考えている。インセンティブを無くすという考えもあっておかしくないが、そのことでどういう影響があるのかを十分把握した上で議論を進めて欲しい」と語った。
また、DIONの顧客情報流出事件について、データを持ち出した人物が著作権法違反で書類送致されたことについて、なぜ著作権法違反なのかという質問に対しては、「罪名については警察が決めることで、著作権法違反がいいのかは法律の専門家ではないのでわからないが、事件が起こった時点では(適用できる法律が)著作権法しか無かったと伺っている」とコメントした。
■ URL
KDDI
http://www.kddi.com/
TCA、ユニバーサルサービス制度の番号単価は月額7円と公表
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/09/19/13332.html
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(三柳 英樹)
2006/09/20 19:26
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