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第246回:ワンセグ とは
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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■ ケータイで使えるデジタルテレビ放送
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ドコモが開発したワンセグ対応のFOMA端末「P901iTV」
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こちらはKDDIの「W33SA」。ワンセグ対応だ
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「ワンセグ」は、2006年4月1日に本放送が開始される、携帯機器向けの地上デジタルテレビ放送サービスです。
対応する携帯機器を使えば、一般家庭の固定テレビ(地上デジタルテレビ放送)の番組と、同じ映像+音声のテレビ番組が見られるほか、天気予報やショッピング案内といった、テキストデータや静止画像付きのデータ放送の利用が可能になります。
料金体系は、民放ではCM付きの無料放送、NHKはアナログ放送の契約に含まれることになるので、ワンセグ放送が受信可能な状態の携帯機器さえ利用できれば、誰でも放送を見たり使ったりできます。これまでデジタル放送受信に必要だったB-CASカードなどは必要なく、スクランブルもかかりません。ただし、録画に関しては、できるかどうか未定です。コピー制御は仕様として盛り込まれていますが、他の機器へ録画した映像を移動できるかどうかといった点も未定です。
これまでもテレビ受信できる携帯電話はありましたが、ワンセグはデジタル放送であるため、移動中や屋外でもクリアな映像の受信が可能になると見られ、受信時の電力消費も少なくて済みます。
サービスエリアは、地上デジタル放送と同じで、本放送開始時には、首都圏、名古屋、関西、九州の一部などで視聴が可能なほか、2006年12月までにはほぼ全国で視聴が可能になる予定です。
ドコモのP901iTV、auのW33SAなど、ワンセグ対応の携帯電話も発表され、放送開始時にはこれらの携帯電話で視聴できるようになる予定です。
放送の電波を利用するため、基本的には携帯電話のパケット通信は利用せずに、ワンセグの番組自体を視聴できます。ただし、番組と連動したデータ放送からリンクされるインターネット上のWebページなどを閲覧するときには、携帯電話のデータ通信機能が使われ、パケット通信料がかかります。また、携帯電話以外では、車載用受信機などの発売も予定されています。
■ 地上デジタル放送の電波の一部を利用
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CEATEC JAPAN 2005では受信デモを披露。画面の上半分は番組の映像、下半分はデータ放送
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ワンセグは、仕組み的には、地上デジタル放送の仕組みと、帯域の一部を利用したサービス、ということになります。
現在、一部の地域で既に始まっている日本国内における地上デジタルテレビ放送は、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)と呼ばれる方式を利用しています。
この方式では、放送時に1つのチャンネルあたり6MHzの帯域が利用されていますが、その内部は、430kHzごとに14の「OFDMセグメント」と呼ばれる単位で分割されています。1つのセグメントでは280~624kbps程度のデータ送信が可能で、解像度が高くビットレートの高いハイビジョン番組では複数のセグメント(たとえばハイビジョン放送では12セグメントを組み合わせて)を利用し、携帯機器用向けの番組のように、解像度が低く低ビットレートの放送では1つだけセグメントを利用するというような使い方ができます。
この「1セグメントを使用する放送」がワンセグです。
ワンセグでは、放送の方式はARIB(電波産業会)で策定された、TR-B14/Cプロファイルが利用され、映像コーデックには、MPEG-2やMPEG-4よりも特に低いビットレートでの圧縮に優れた「H.264/AVC」を利用しています。
音声コーデックには、MPEG-2やMPEG-4でも利用されるAACが採用されるほか、低ビット帯域の拡張技術であるSBR(Spectral Band Replication)を加えた「AAC+SBR」での利用も可能です。
映像・音声のビットレートは約312kbps、画面サイズはQVGAサイズの320×240、または320×180ピクセルとなっており、家庭の固定テレビで受信できる地上デジタル放送のようには綺麗ではありませんが、携帯電話や携帯機器の画面には十分なクオリティが確保できるでしょう。
また、データ放送では、BML(Broadcast Markup Language)と呼ばれる、XMLベースの記述言語によるデータが送られるため、ワンセグ受信機には、テレビとしての機能だけでなく、BMLブラウザとしての機能も搭載されます。
テキストデータのほか、JPEG、GIFといった静止画像データの送信も可能で、XMLなどと同様、画面内にボタンを配置したり、インターネットへのリンクなどを書くこともできます。
たとえば、データ放送上に、画面中に文字やボタンを配置して簡単なホームページのようなデザインを施し、ボタンをクリックするとiモードなどのWebページにアクセスするといったようなことが可能です。
映像と音声を楽しめる番組を受信できること、そしてデータ放送も受信できるということは、これまでの放送の特長である「一斉に多くのユーザーに送信」「プッシュ配信」ということに、インターネットや通信の特長である「双方向性」「リンク情報の提供」などが融合したような番組を作ることも可能になるのです。
ワンセグ向けとして、BMLには、電子メールとの連携、スケジュール帳との連携、位置情報との連携などの機能も追加されているので、携帯電話の特徴的な機能を組み合わせたサービスも登場するかもしれません。
■ URL
地上デジタル放送推進協会
http://www.d-pa.org/
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(大和 哲)
2005/10/19 11:49
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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