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第138回:出会い系サイト規制法案 とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 出会い系サイト規制法案は、正式には「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律案」という名称となります。

 この法案は、いわゆる「出会い系サイト」での児童の犯罪被害を防止することを目的に不正な勧誘を規制する法律を作るためのもので、2003年6月9日に参議院を通過しました。6月中に公布(国民が成立した法律を知ることができるように公表、官報に掲載される)され、9月中に施行、つまり実際に法律が有効になり、取締りなどを行なうことができるようになります。

 この法律が施行されると、出会い系サイトなどのインターネット上のサイトで大人が18歳未満の売春を誘うような書き込みをした場合、罰則として100万円以下の罰金が科せられることになります。年齢性別を問わず、買う側・売る側どちらも罰せられます。ただし、18歳未満の者が大人を誘った場合など、罰する対象が18歳未満の場合は、少年法があるため、罰金ではなく、家庭裁判所に送致の上、保護観察などの処分が行なわれることになります。

 出会い系のサイトには、携帯電話で使えるものの他にパソコンでも使えるインターネットの出会い系サイトもありますが、このどちらを利用しても、違反した場合は罰せられることになります。


法案の内容は

警察庁による出会い系サイト数の推計データ
 以前から、出会い系サイト、特に携帯電話で利用できる出会い系サイトには、18歳未満の援助交際(児童買春)の温床になってなっているという意見がありました。警察庁が発表した資料によれば、2000年以前は児童買春の検挙件数はテレクラ(テレフォンクラブ。電話による出会い提供の事業のことで、ここにはツーショットダイヤルなども含む)が圧倒的に多かったものが、2001年にテレクラと出会い系サイトの割合が逆転。件数自体も2002年には出会い系サイトの児童買春・児童ポルノ法違反の検挙数だけで2002年の児童買春検挙件数そのものに近づく勢いで増加しました。

 この法律は、このような出会い系サイトが18歳未満の援助交際の交渉の場としての機能を失わせるために作られました。

 この法案ができるまでには、中間報告で携帯電話のサイトのみが対象であったのに、途中でパソコンでの利用が規制されることになったり、また、出会いサイトの定義が曖昧で、問題サイト以外のサイトが規制される「過剰規制」だとして、法案見直しを求める意見書が日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)、マイクロソフト、ヤフー、インフォシークから警察庁に提出されるというように一時は日本のインターネットの主要企業がそろって異議を唱えるという状態になったりするなどの紆余曲折がありましたが、今月、公布されることになりました。


警察庁のデータでは、被害者の8割強が子どもという 出会い系サイトが絡む事件では、携帯電話から利用したケースが多くを占めるという

 この法案は最終的に参院を通過した時点で次のような内容が盛り込まれています。

1.インターネット異性紹介事業(つまり「出会い系サイト」)とは、異性と交際をしたい人に、交際に関する情報をインターネットを利用して、いろいろな人がその情報を見られたり、送ったり、メールなどの電気通信を利用してメッセージを伝えたりして、お互いに連絡ができるようなサービスを提供する事業である」という“出会い系サイトの定義”が示されました。

2.出会いサイト事業者や事業に必要なサービスを提供する事業者(ホスティング業者やASP、プロバイダなどが含まれるのでしょう)は18歳に満たない人(法律では「児童」と呼んでいます)の健全な育成に配慮して、この人たちが出会い系サイトを利用防止に努力しなければいけない、とされました。

3.18歳未満の人が出会いサイトを利用しないように出会いサイトは「18歳未満は出会いサイトを使ってはいけません」と表示しなければいけません。また、利用する人が18歳以上であることを確認する必要があります。もし、これらに違反していると認められるときは、都道府県公安委員会が、この出会いサイトの事業者に対して、違反を是正するために必要な措置をとるように命令できます。

4.18歳未満の人に関連する「誘い」の規制に関して次のようなことをすると罰せられます。
 a.18歳未満の人にセックスの相手になるように「誘う」こと。
 b.18歳以上の人に、18歳未満の人をセックスの相手にさせるべく「誘う」こと。
 c.お金や品物などを与えることをほのめかして、18歳未満の人を(セックスのない)交際に誘うこと。
 d.お金や品物を受け取ることをほのめかして、18歳未満の人が、18歳以上の人に交際するように誘うこと。

 つまり、

・18歳未満が使えるように出会いサイトを作るとその事業者は罰せられる
・出会いサイト上で、18歳未満を対象にセックスかお金を目的とした勧誘をしたものは18歳未満でも罰せられる。
・買春でなくても、お金を使って交際をもちかけてはいけない(18歳以上からも18歳未満からどちらからもダメ)


ということになったわけです。


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(大和 哲)
2003/06/24 12:01

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